鰹ダシ香るトロトロ絶品の他人丼

和食編
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そば処 志な乃 本店

牛丼、天丼、海鮮丼、カツ丼…など、日本ならではの丼は、多くの人が大好きなメニューです。「全国丼連盟」なる組織もあり、丼を愛する人が多い証拠と言えるでしょう。連盟員ではないですが、管理人も丼は大好き。京都は特に親子丼を提供する店が多く、親子丼をもととした京都独自の丼も発展してきました。例えば「衣笠丼」は、薄揚げと九条ネギを玉子とじにした丼。親子丼の鶏肉が薄揚げに変わったもので、近畿の他府県では「きつね丼」と呼ばれています。「木の葉丼」は薄切りのカマボコと青ネギを玉子とじにした丼。主に関西の2府4県で提供されています。

そして忘れてはいけないのが「他人丼」です。親子丼の鶏肉を薄切り牛肉にした丼で、牛肉文化の発達した関西圏で提供されています。関東圏では「開化丼」、全国的には「牛とじ丼」として販売されることの方が多いようです。しかしどちらにしても、いまいちメジャーでないのが個人的にはとても悔しく感じます。多分「ロコモコ丼」よりも知名度、人気ともに下。「カツ丼」や「親子丼」ほどメジャーになれず、「衣笠丼」や「木の葉丼」ほど京都感が薄い“中途半端さ”は否定できません。ただし、おいしさは保証します。「カツ丼」よりも低カロリーで「親子丼」や「衣笠丼」「木の葉丼」よりも旨味が強い逸品。せめて京都内だけでももっと普及してほしいと願っています。

そこで今回はおいしい「他人丼」を求めて、東山二条までやってきました。京阪三条駅または神宮丸太町駅から近く、周辺には平安神宮京都市役所などがある利便性の高い地域です。「イオン東山二条店」の隣にある「そば処 志な乃(しなの)」本店は、蕎麦もおいしいですが丼メニューも秀逸なお店です。「木ノ葉丼」¥750、「親子丼」¥780、「天丼」¥930などともに、「他人丼」¥780も堂々ラインナップ。他にも「あぶ玉丼」¥750や「いもかけ丼」¥780など、管理人が聞いたことのない丼メニューまで用意されています。ちなみにこちらのお店には「きつね丼」¥680もありますが、これはおそらく「衣笠丼」のことではありません。普通のキツネうどんの具を“玉子でとじず”ご飯に乗せた丼で、かつての京都のそば・うどん店ではよく目する丼でした。

では早速、「そば処 志な乃(しなの)」本店に突撃してみましょう。

店内に入ると、鰹節のダシの香りに包まれます。もうこれだけでおいしいお店の予感しかしません。今回は「他人丼」の普及が目的の訪問ですから、もちろん「他人丼」を注文します。

黄金色の玉子でとじられた牛肉と青ネギの美しいビジュアル。横には京都漬け物界の千両役者「刻みしば漬け」が多めに添えられているのも高ポイントです。テーブルには「七味」と「粉山椒」が備えてありますので、お好みでふりかけてください。管理人は「粉山椒」派ですので「粉山椒」を軽くふりかけ、いただきます。

箸で持ち上げるとトロトロの玉子とご飯に感動します。具は鰹ダシが香るものの、京都らしく極薄味。とても上品で贅沢な「玉子粥」のような食感です。そこに粉山椒の風味と辛味がアクセントとなり、また、刻みしば漬けが丼の味をふくらませます。トロトロ玉子をまとった牛肉と青ネギの濃厚な旨味にご飯が加わった、まさに絶品の丼。生卵をかけた牛丼とは比べようもない、次元の異なるおいしさです。

やはり蕎麦屋の丼はおいしい。そして特に他人丼は、なぜマイナーな位置に甘んじているのか理解できない味わいです。京都に来られた際は騙されたと思って、一度「他人丼」を試していただきたいと強くおすすめします。こちらのお店は支店として「二条城」近くに「千本店」もありますし、何だったらどこのお店でもいいので、とにかく「他人丼」をぜひ食べてみてください。

[2018年9月9日訪問]

そば処 志な乃 本店
●住所…京都市左京区聖護院蓮華蔵町31
●TEL…075-761-7904
●定休日…月曜日
●備考…店内喫煙可?
●ホームページ…http://www.geocities.jp/sobadokoro_shinano/index_n.htm

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