カレーハウススパイシー 熊野神社店
40歳以上で京都在住の方もしくは以前京都に住んでいた方であれば、三条河原町と四条河原町の間に「春陽堂(しゅんようどう)」というレストランがあったのを覚えておられるかも知れません。洋食を手頃な価格で提供する現在のファミリーレストラン的な店舗と、少し南に行くとカジュアル中華レストラン的な店舗がありました。立地的には申し分なく時流にも乗り、持帰り・宅配寿司「茶月」やピザ・パスタ料理「サンマルコ」などを展開。最盛期には全国で619店舗を展開する一大外食チェーンとなっていたようです。
しかし外食産業の多様化やバブル景気の崩壊などさまざまな要因で経営が悪化、2013年の倒産を経て、現在は株式会社スパイシークリエイトが事業を引き継ぎ、茶月12店、カレーハウススパイシー5店、イタリア料理サンマルコ1店、京都ラーメン春陽堂1店、レストラン春陽堂1店を運営しています。管理人は幼い頃、春陽堂の洋食が大好きでした。家族で河原町へ買物に行った際など、父が「春陽堂に行こか?」と声をかけてくれるのを心待ちにしていたものです。
そんな春陽堂の洋食をもとにカレーショップとして作られたのが「カレーハウススパイシー」。現在は大阪に2店舗、兵庫に2店舗、そして創業の地・京都に1店舗展開していて、京都唯一の店舗「熊野神社店」は、丸太町東大路の南西角を数m西へ行った所にあります。チェーン店らしい外観と内装で低く評価されがちなものの、味はなかなかの欧風カレーです。管理人は年に1、2回伺う程度ですが、本日11月1日は無性にカレーが食べたくなったため、久しぶりに訪問してみました。
店内はカウンター席とボックス席があり、牛丼チェーンのような、良く言えば入りやすいお店です。
個人的には今風のカフェのような外観・内装にするだけでも、女性客やグループでの来店が増えると思います。かなり本格的な欧風カレーであり、値段も激安とは言えない微妙な価格設定にも関わらず、牛丼チェーンやファストフードチェーンなどの土俵で戦うのは経営戦略の失敗と言わざるを得ないでしょう。カフェやカジュアル洋食店の顧客層なら対抗できるだけの品質ですので、関係者の方がご覧になっていればぜひ検討してみてください。そしてもしよろしければコンサルもいたします、と露骨に宣伝を打ったところでメニューを拝見。
「国産牛ステーキカレー」¥950、「手付けパン粉 ロースカツカレー」¥800など魅力的なメニューが並ぶ中、“当店のイチオシメニュー”として一際大きく紹介されているのが「国産牛ビーフカレー」¥780。また、トッピングの種類も大手カレーチェーンに匹敵する豊富さなのも特徴です。今回は「国産牛ビーフカレー」にトッピングとして「ハンバーグ」¥250、温玉とカップサラダがセットになった「タマサラ」¥190を注文してみました。
まずは「タマサラ」が到着。
キャベツの千切りにスイートコーンをあしらったカップサラダです。ゴマドレッシングがしっかりとかけられていて、管理人のようにゴマドレッシングが大好きな人ならきっと気に入ると思います。温玉はカレーのトッピングとするつもりですので、サラダにはトッピングしません。なぜサラダに温玉をトッピングしようと考えたかの理由もさっぱりわかりません。このチグハグ感のある思想こそ、経営悪化の原因 であると肝に命じてください。
ではいよいよ「国産牛ビーフカレー」の登場です。
欧風カレーらしい佇まいは、さすがかつて洋食店として人気を博した春陽堂の系譜を継ぐだけのことはあります。カレーソースを一口いただくと、奥深い欧風カレーの豊かな味わいです。中辛でも結構ピリリとスパイシーで刺激があり、次に濃厚な欧風カレーの風味、そしてかすかにフルーティーさを感じることができる重層的な仕上がりになっています。国産牛の角煮もビーフシチューのような贅沢な柔らかさ。ハンバーグも肉汁をしっかり蓄えた本格仕様です。合計¥1,000ちょっとでこの味が出せるのですから、料理自体は本物の証し。そう考えるとお店のブランディングは本当に重要だな、と改めて痛感しました。
ただ、入りやすい雰囲気と23時まで営業していることもあり、お一人様にとっては行きやすいお店であることも事実でしょう。京都で手軽に欧風カレーを楽しみたい方、そして河原町通にあった春陽堂の洋食がなつかしいと感じる方は、ぜひ一度「カレーハウススパイシー」各店まで足をお運びください。古き良き昭和モダンなカレーライスを改めて食べてみて、そのレベルの高さに驚かれるに違いありません。
[2018年11月1日訪問]
= カレーハウススパイシー 熊野神社店 =
●住所…京都市左京区聖護院山王町43
●TEL…075-752-4661
●定休日…なし
●備考…店内禁煙
●ホームページ
※さらに詳しくは食べログ「スパイシー 熊野神社店」で検索してください。
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