手頃な価格で懐石料理を味わえる料亭

和食編

京料理 春神

令和元年5月1日、新元号が開始されて新しい時代の幕が上がりました。当ブログでは普段使いができる京都のB級グルメをREPORTしていて、やれ冷やし中華だの洋食だのと京都に根ざしたグルメ情報を発信しています。しかし京都のグルメとして最もREPORTすべきなのは本来であれば“京料理”でしょう。1200年の都で培われてきた京料理こそ京都文化の根本です。ただ、管理人は単なる安月給のサラリーマンですし、京都生まれの京都育ちとは言え料亭や割烹に連れて行ってもらえる人脈などありはしません。そもそも料亭や割烹に1回行ったとして、いくらぐらいの価格が必要かご存知でしょうか。夜の相場なら低く見積もってもお一人様¥10,000ぐらい。昼なら店にもよりますがおおむね¥5,000ぐらいは必要です。安月給なので絶対ムリ。破産します。そういう訳で料亭や割烹はREPORTしていなかったのですが、今回は令和最初の日ということもあり、手頃な価格で京料理を味わえるお店へ伺うべく先斗町(ぽんとちょう)へ向かいました。

先斗町は同じ花街で近隣の祇園木屋町と比べ、リーズナブルな飲食店が多い印象です。もちろんチビるぐらいの高級店もたくさんありますのでご注意ください。京都の代表的な観光スポットだけのことはあり、令和初日はあいにくの雨模様だったものの観光客など多くの人で賑わっていました。今回伺うのは管理人が知っている数少ない料亭の1店「京料理 春神(きょうりょうり はるかみ)」。夜はムリですが、ランチならギリギリOKな価格で京料理(懐石料理)を味わうことができます。

高そうな店構えですね。こちらは京都を代表する桜の名所「円山公園」内にある「いもぼう 平野屋本店」が展開する京料理店で、「いもぼう 平野屋本店」自体そんなに高くない京料理を提供しています。実は「円山公園」内に“いもぼう”の名をもつ料理店は2店舗あり、両者の違いや関係性を説明するのはかなり面倒、というか正直よくわからないので割愛しますが、どちらもほぼ同じ内容・同じ価格の料理です。味覚に自信のある方は食べ比べてみられてはいかがでしょうか。ともかく母体のお店が低価格な京料理を提供していることもあり、昼の懐石料理は「春神」¥2,000と「舞妓」¥3,000。事前に予約すれば「先斗町」¥4,000、「鴨川」¥5,000を頼むこともできます。もちろん一品料理は常時注文可能です。管理人は¥2,000の「春神」一択と固く決意し、店内へ入ってみました。

京都らしい鰻の寝床に花街特有の舞妓さんのうちわが先斗町らしさを演出しています。“柴田 豆こま”って豆柴みたいな小さな舞妓さんでしょうか。と思ってググってみたら簡単に見つかってしまいました全然小さくなくて逆にびっくりです。お店の方に案内されて指定された部屋へ向かいます。

そうなんです、こちらのお店はほぼ全室個室。今回は知り合いと2名での訪問となりましたが、満席でもない限りお一人様でも個室になります。個室なので気兼ねなくくつろげる、何だったら全身金粉まみれになれるのでは?と思うでしょうが、そんなに甘くはありません。料亭をナメるな!と一喝したところで「春神」のメニューをご確認ください。

何だか凄いラインナップですね。とても¥2,000のコースとは思えません。しかも5月ということで鯉のぼりなどの季節を感じさせるあしらいも京料理らしさにあふれています。かなり詳細に書かれたメニューで、管理人のような不慣れな人でもある程度は内容がわかるようになっている心配りもうれしい。しばらくすると「先附(さきづけ)」が運ばれてきました。

「ヨモギ豆腐」です。ごま豆腐にヨモギが練り込まれている新緑を表現している一品。「先附」とは前菜のことで、軽いながら食欲をかき立たせる料理が基本です。ヨモギの風味とごま豆腐のコク、そしてなめらかで口当たりのいい食感が前菜らしくて次の料理への期待感も高まります。

「小吸物(こすいもの)」とは食事の合間の軽いお吸い物のことで、懐石料理の流れの中ではとても重要。あっさりし過ぎてもいけませんし、旨すぎてもいけないとされています。こちらは「ワカメのすり流し」で、ワカメの清々しい味わいが印象に残るものの主張し過ぎず、口の中をさっぱりとさせる一品。次の料理への備えとなります。

「造里(つくり)」は魚などの刺身でメインディッシュに近い料理です。左が生湯葉、右がカンパチの刺身となっています。生湯葉のとろけるようなクリーミーな味わいと、旬を先取りしたカンパチの脂の旨味を味わえる一品。贅沢なおいしさを堪能することができます。

そしていよいよメインディッシュの「取肴(とりざかな)」です。旬の素材を中心としたさまざまな京料理を少しずつ味わえるように計算されています。どれも京料理らしい上品な味わいで、特に日本酒に合いそうな料理の数々。目でも楽しめる盛り付けで、プロの料理人ならではの技術、そしておいしさを実感できるのではないでしょうか。

〆はゆかりご飯に赤だし、香物2種、そしてほうじ茶です。赤だしは一般的な濃厚なものではなく、あっさり味でコースの流れを崩さない味わいとなっています。香物の塩昆布と漬物はそれぞれご飯のオカズらしいしっかりとした味付けながら塩味は抑え気味。こちらもやはりこれまでの料理の印象をぼかさない工夫がされた味付けです。ほうじ茶でホッと一息ついたところで「水物(みずもの)」が運ばれます。

目にも涼やかな「白ワインゼリー」です。ブドウ、イチゴ、キウイと白ワインゼリーの爽やかな甘さがうれしい真の〆の一品でしょう。これが濃厚な和菓子では懐石料理として成立しません。すべて食べ終えたあとに「先附」から「水物」までの味の余韻を思い出せること、そして本来は茶の湯(和菓子と抹茶)を愉しむ前の軽い食事であることが懐石料理の目的です。そのため、途中で刺身舟盛りや牛ロースのステーキが出てきたりしてはいけません。そんな料理が出てきたら、食後に舟盛りやステーキしか思い出せなくなり、しかも満腹になって茶の湯を愉しむどころではなくなってしまいますから。

¥2,000とリーズナブルな価格ながら、一品一品食べ終わりのタイミングを見計らって次の料理が運ばれるなど、京料理を代表する懐石料理を存分に味わうことができました。個室だからといって金粉まみれになっていればお店の方に見つかって関係各所へ通報された挙げ句に人生が終了する事態へと発展しますので絶対にやめてください。京料理に馴染みのない方はランチでこちらのお店を入門編として利用されてみてはいかがでしょうか。懐石料理は腹八分目の量で使用されている食材も極めてヘルシーですから、実はとても健康的。若い方にとってはさすがに物足りないと思いますので、茶の湯の代わりにラーメンや牛丼などを食べても問題ありません。しかし、せっかくの懐石料理の味わいを消してしまわないよう、せめて小1時間はその余韻をお愉しみください。

[2019年5月1日訪問]

京料理 春神
●住所…京都市中京区柏屋町169-3
●TEL…075-221-0011
●定休日…年中無休
●備考…店内禁煙(?)
●ホームページ…http://harukami.jp/

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