本格的な味を手軽に楽しむことができる町家中華店

2019冷やし中華
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中国料理 鳳城

当ブログの「2019冷やし中華」で目標としていた40店舗めのREPORTを迎えることができました。実は昨年「2018冷やし中華」で伺えず、今年も訪問できていないお店が数店舗あるのですが、来年必ず訪問することとして「2019冷やし中華」はいったん終了する予定です。今年最後となる冷やし中華はどのお店にしようか迷ったものの、歴史・人気・味の三拍子が揃っている以上に、管理人にとっては謎多き中華の名店「中国料理 鳳城(ちゅうごくりょうり ほうじょう)」に伺いました。

烏丸御池の交差点を西へ200mほど行ったところにある御池通に面しているお店です。こちらはおそらく昭和の終わりか平成の初めに開業されたと記憶しています。特徴の1つめは京都の町家(町屋)を改装された中華料理店の先駆けであるということでしょうか。今でこそ昨日REPORTした「MACHIYA 兪」をはじめ、多くの有名店や人気店が町家(町屋)で中華料理を提供されていますが、その元祖はおそらく「鳳城」。当時、町家(町屋)の和食店やフレンチレストランはわずかながらあったものの、中華料理店はなかったため「鳳城」の出現にかなり驚いたことを覚えています。そして2つめは店名。「鳳」の字がつく京都の中華料理店は、そのほとんどが今はなき名店「鳳舞」ゆかりのお店です。過去にREPORTした「広東料理 鳳泉」や「廣東餐館 鳳飛」も、京都中華の第一人者である高華吉氏が最後に手がけられたご自身の集大成「鳳舞」出身の料理人が開業された中華店。当然「鳳城」も、と言いたいところですが、何度か伺っているものの「鳳舞」出身者のお店とは断言できない謎が残るのです。とにかく先を進めようと、店頭に掲出されているメニューを見てみましょう。

本格中華料理も提供されていてハイレベルな中華料理店なのはわかるのですが、鳳舞出身者のお店(以下、鳳系)だとすれば違和感があるのは四川料理の多さ。こちらは「担々麺」¥650が人気メニューなものの、鳳舞の高華吉氏は主に広東料理を提供されていて、管理人の幼い頃の記憶でも鳳舞で担々麺などの四川料理は提供していなかったと思うのです。もちろん師弟関係にあったからといって、弟子が師匠の料理以外を作ってはいけない、なんて決まりはありませんが。時刻は22時、とにかく店内へ入ってみましょう。

4名テーブル席と2名テーブル席があり、お一人様でも安心して利用できます。かなり年季の入った建物や調度品が永年お客さんに愛されてきた証しと言えるでしょう。平日は深夜0時まで営業されていて宴会のグループ客も多いほか、観光や商用で来られた近隣ホテルの宿泊客も食事をされています。では改めてメニューを確認してみましょう。

高級中華料理店クラスの料理をリーズナブルの価格でいただける良店です。しかし、やはり鳳系のお店であればメニューにあるであろう「椒醤酥鶏(からし鶏)」や「撈麺(エビカシワソバ)」、「鶏肉入り卵焼き(鳳凰蛋)」などはありません。また、「春捲き(管理人註:春巻)」¥680も鳳系おなじみの薄焼き玉子の皮ではなく、一般的な小麦粉製の皮。ここまでくれば「鳳城」は鳳系のお店ではないと思うでしょう?確かに「鳳○」や「○鳳」といった店名は、全国的に見れば特に珍しい店名でもありません。しかし…とにかく注文しましょう。今回は「2019冷やし中華」の最後を飾る「冷めん」¥800と「ステーキチャーハン」¥800を注文してみました。なぜあれほどアカン!と心に誓っていた麺+飯をまた頼んでしまったのかも謎ですわ。

「冷めん」が到着。ビジュアルだけでも本格中華店の冷やし中華だとわかる美しさ。具は蒸し鶏にキクラゲ、レタス、キュウリで本格中華店らしさが際立っています。さっくりと混ぜて早速いただきましょう。

麺は極細の中華麺で京都の中華店ではスタンダードなタイプです。タレは酢醤油ベースですがまろやかかつコクのあるおいしさで酸味が苦手な方でも大丈夫。濃厚なコクはどうやらタレに秘密があるようで、奥深い味わいにプロの技術が光っていると感じました。極細麺との相性も抜群で、シャキシャキとしたレタスやキュウリが箸休め的なアクセントとなっています。キクラゲのコリコリとした食感、蒸し鶏の旨味とバランス的にも申し分のない逸品ではないでしょうか。

「ステーキチャーハン」が運ばれてきました。なぜオーソドックスな「カニチャーハン」¥700や「エビチャーハン」¥700ではないのかと言えば、わずかプラス¥100でステーキが付いてくるからです。肉大好き肉食獣としては「ステーキチャーハン」で決まりでしょ。もちろんステーキからいただきます。

おそらく牛モモ肉ですが脂もしっかりと入っていて、牛肉の旨味と脂の甘みの両方を味わえる一皿です。焼肉風の味付けも絶品で、まずい訳がありません。そしていよいよ鳳系か否かを最終ジャッジするチャーハン本体を食べてみましょう。……塩気は強めなものの、しっとりとしたやさしい豊かな味わいは鳳系のチャーハンに似ている気がします。ただ、油の使い方や全体的な味付けは京都の中華店全般の味とも言えそうです。判断に迷うところではありますが、管理人の感想としては鳳系とは別モノのおいしさではないでしょうか。個人的には塩をもう少し抑えられた方が食べやすいように感じたものの、十分においしいチャーハンだと思います。

鳳系のお店ではありません、と断言したいのですが、どことなく鳳系の味わいが感じられるのも正直なところです。ビジネスマンが多い立地で年月を経て環境に応じた味の最適化が図られた結果、現在の「鳳城」の味となった、とも言えなくはありません。お店の方に尋ねようかとも考えたのですが、しばらく謎は謎のまま残しておいて解明は今後の楽しみにしたいと思います。今回いただいた「冷めん」も「ステーキチャーハン」もお手頃価格で本格的な味わいでした。「冷めん」と「冷し担々麺」¥780は9月末から10月初旬までは提供されるそうですので、烏丸御池付近に来られた方は一度試してみてはいかがでしょうか。“京都中華”の1つのカタチを存分に堪能することができますよ。

[2019年9月5日訪問]

中国料理 鳳城
●住所…京都市中京区西横町170
●TEL…075-252-2466
●定休日…火曜日
●備考①…「冷めん」および「冷し担々麺」は夏季限定(9月末から10月初旬まで提供予定
●備考②…喫煙可
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「鳳城」を検索してください。

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