“はようて・やすうて・おいしいし”な昭和の食堂

洋食編
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食堂 はやし

京都観光を言えば昔は“修学旅行生”が多いことで知られていました。金閣寺をはじめとする寺社仏閣や新京極などでは、さまざまな制服を来た中高生の集団がぞろぞろと観光していたのを覚えています。今でも修学旅行生は見かけますが、それ以上に目にするのが外国人観光客です。少し前はアジア系が多かったものの、今ではさまざまな国や地域の観光客が京都に訪れています。そんな時代を反映してか、飲食店でも外国人観光客をよく目にするようになりました。中でも以前であれば地域の人しか利用しなかったであろうお店が、入ってみると外国人観光客だらけだった時はちょっとした衝撃を受けます。今回はそんな外国人観光客にも人気がある「食堂 はやし」へ伺いました。

東山通(東大路通)三条通の交差点(東山三条)を南へ100mほど行ったところにある定食店・食堂です。東山通を隔てた西向かいには以前REPORTした「マルシン飯店」があるなど、このあたり一帯は京都有数の歓楽街としても知られています。まずは、こちらの歴史をご覧ください。

戦後まもなくとなる1953年(昭和28年)の創業です。終戦から戦後の復興で日本全体が好景気を迎えた頃に始められたお店で、日本が豊かになり始めた時期でもあります。当時は建築・土木工事が急ピッチで進められていた関係もあり、京都でも多くの労働者が仕事をしていたのでしょう。そうした時代背景に伴い、また物資も整ってきたこともあって、労働者などを目当てとした飲食店も多く開業され始めたようです。現在では当時開業したお店の多くは閉業されていますが、こちらのように代替わりに成功したお店は現在でも営業されています。

店頭には料理の写真と“English menu available(英語メニューあり)”と書かれたショーケースがあり、お客さんにアピール。これも時代の流れを見極め、外国人観光客に向けた取り組みです。最近はこのあたりでも宿泊施設が数多く建築され、これまでにない数の外国人観光客が周辺を散策しています。続いて店頭のメニューを確認してみましょう。

レギュラーメニューはすべて店頭に掲出され、中に入らなくてもメニューがわかる親切設計です。店内に入らないと何が食べられるかわからない飲食店がほとんどで、初めて訪問する人にとってはありがたいシステムではないでしょうか。店頭にメニューが書かれていない飲食店の場合、管理人のように“何か食べたいものぐらいあるだろう”という雑な性格であれば関係なさそうですが、神経質な方であれば“もしお店に入って食べたいものがなければ困る…どうしよう”と躊躇され、結果そのまま立ち去られる「売上機会の損失」につながります。店頭のメニューひとつ取っても、さすが70年近く営業されているだけはある経営戦略だと感心しました。では店内に入ってみます。

22時営業終了のお店で時刻は21時。さすがに満席ではありませんでしたが、席の半数を占められているお客さんはすべて欧米系の外国人観光客でした。特に京都らしい料理を食べられる訳ではないものの、リーズナブルな価格設定も外国人観光客に受けている理由のひとつのようです。また、近くの外国人観光客向け宿泊施設では、スタッフがお客さんにこちらを勧めているという話も聞いたことがあります。そして外国人観光客だけでなく、近隣にあるよしもと祇園花月の芸人さんたちも多く来店されているようでした。

ズラリと並んだ色紙のほとんどが吉本の芸人さんです。吉本新喜劇の重鎮である池乃めだかさんのサインも見られます。舌の肥えたベテラン芸人さんにまで愛される定食店・食堂という宣伝効果で、日本人観光客も増えているのかも知れません。今回は黒板に書かれていた「本日のお造り」¥550と人気上位の「ビッグバーグ定食」¥820を注文してみました。

まずは「本日のお造り」が到着。黒板には「コチ」と書かれていたものの、すでに売り切れていたようで「マグロとタコ」に変更されています。こちらは定食店・食堂ということで洋食から和食、ひとり鍋まで多種多彩なメニューが用意されていて、「日替わりのお造り定食」¥920など海鮮メニューも充実。実際食べてみると、タコはマダコの旨味が凝縮された味わいで、マグロの赤身も和食店レベルの鮮度と品質です。生臭さなどは一切なく、街の定食店・食堂レベルではない刺身を堪能できました。そしていよいよ「ビッグバーグ定食」の到着です。

ご覧ください、目玉焼きよりひと回り大きなハンバーグ「ビッグバーグ」を。マカロニサラダとレタス&刻みキャベツのグリーンサラダもたっぷりボリューミー。これで¥820ですから、外国人観光客や吉本の芸人さんに限らず、皆さんに人気があるお店なのもうなずけます。大盛りなどの注文はしていませんが、ご飯の盛りも申し分のないボリュームです。では「ビッグバーグ」を食べてみましょう。

ソースはデミグラスソースかと思いきや甘じょっぱいのテリヤキソース風で、ご飯が進みます。ハンバーグ自体は肉々しいタイプで、合挽き肉の濃厚な味わいに満足度も高まるおいしさ。洋食店にはあまりない、定食店・食堂らしい和のテイストも感じられる味わいではないでしょうか。特にテリヤキソースが好きな外国人や若い方にぴったりなハンバーグ定食だと感じました。リーズナブルな価格でガッツリと食べられるお客さん思いのお店でしょう。

立地面から考えても手頃な価格で、¥1,000あればお腹いっぱいになります。地下鉄「東山駅」から徒歩3分程度と電車でも便利。京都に観光や商用などで来られる方は、東山三条近辺にも足を運ばれる機会があると思いますので、ランチやディナーに一度訪問されてみてはいかがでしょうか。65年以上にわたり「早い・安い・旨い」を実践されているお店の実力をぜひ実感してみてください。

[2019年10月17日訪問]

食堂 はやし
●住所…京都市東山区北木之元町523
●TEL…075-561-1530
●定休日…日曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「はやし」で検索してください。

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