タルタルクラブ
洋食店や定食店、持ち帰りのお弁当などで困ることがあります。それは“タルタルソース足りない問題”。エビフライや白身魚フライなどに少しだけ添えられたタルタルソースを見て、人は心の淋しさと今後の食事運営に不安をかかえながら食べ進めるハメになります。中にはエビフライや白身魚フライなのにタルタルソースがまったくない不誠実な店もありますが、そこは割り切ってウスターソースなどで完食した後“この店で二度と海鮮系フライを頼むものか!”と心の中でブチギレてやればスッキリするでしょう。しかし“タルタルソースが少ないお店”は厄介です。お店的には適量を添えましたよ、というスタンスですので簡単にブチギレる訳にもいきません。ただ現実問題としてエビフライの半分でタルタルソースがなくなる悲惨な状態に陥ります。そして泣き寝入りするしかありません。管理人は年に2〜3回程度、タルタルソース不足でむせび泣いています。タルタルソースの量を気にせずベットリとフライに付けて思いっきり食べたい。そんな人類の夢を実現してくれるお店が、京都市山科区にあります。

国道1号と京都外環状線の交差点(山科区東野)を東へ300mほど行った南側の通り沿いにある「タルタルクラブ」。その名のとおり、タルタルソースが主役のちょっと珍しい洋食店・カフェです。もともとは「タルタルおやじ」と呼ばれた初代が開業されていたものの、今年2019年6月に67歳という若さで急逝されました。そこで現役ミュージシャンでもある二代目がお店を継がれ、「タルタルおやじ」が考案した秘伝のタルタルソースを提供されています。早速店頭のメニューを確認してみましょう。

ほとんどのメニューにタルタルソースが付いています。しかも世界初となるタルタル食べ放題の「タルタルまみれ」も実施中なんだとか。さすがにデザートはタルタルソースが付いていないものもあるようですが、こちらでは原則として必ずタルタルソースを食べてください。今回に関してだけメニューは何でもよく、いかにタルタルソースをおいしく食べるかがミッションとなります。では入店してみましょう。

さすがにミュージシャンが経営されているお店だけあって、軽音クラブの部室といった雰囲気です。しかしこちらはタルタルクラブの部室ですので勘違いしてはいけません。こちらは昼のラストオーダーが14:30で、管理人が伺ったのは13:30とランチタイムとしては少し遅めでしたが、多くのお客さんで混雑していました。おそらくたまたまだとは思うのですが、お客さんほぼ全員がガタイのいい男性ばかりで、管理人も違和感なく部員のように溶け込め、部活気分を味わえ本当によかったです。さてメニューですが店頭で確認した「お得なフライアラカルト5種盛り!タルクラAセット」¥1,000を注文してみました。

ご飯は白ごはんとキンピラの炊き込みご飯のいずれかを選べます。こちらのキンピラの炊き込みご飯はどこかなつかしい郷愁を誘う味わいで、個人的にはかなりおすすめな逸品です。そして味噌汁は豚汁風の食べごたえある味噌汁。根菜類がたっぷりと入っていて、野菜の旨味がしっかりと感じられます。タルタルソースに突き刺さっているフライはニンジンで、皿の上にはエビ、チキン、白身魚、アジのフライ。とにかくタルタルソースを食べるためのフライです。まずは肝心のタルタルソースを味見してみましょう。

一般的なタルタルソースとは異なり、ピクルスは入っていません。やわらかな酸味でサッパリと仕上げられています。全体の味付けもかなり甘さや油分控えめで、タルタルソースをたっぷり食べることに特化して作られているようです。コクがありながらクドくはない、「タルタルおやじ」秘伝のレシピなのでしょう。ベースとなるマヨネーズ自体があっさりめのようで、おそらく手作りされているのではないでしょうか。味にクセはほとんど感じられないこともあり、タマネギやパセリなどの下処理を丁寧にされて作られているのでは?という感想を持ちました。

タルタルソースに突き刺さっていたニンジンのフライをいただきます。中まで火がとおったニンジンはホクホクしていて、ニンジン本来の甘みが凝縮されたおいしさです。揚げることによりニンジン特有のエグ味はなくなり、旨さだけを味わうことができます。もちろんタルタルソースとの相性も抜群です。他のエビ、チキン、白身魚、アジのフライも文句のない味わい。そしてやはりタルタルソースが活きています。ただ…もし卓上にウスターソースがあれば、ちょっと味変して、また新たにタルタルソースを楽しめるような気がしないでもありません。いやいや、ここは「タルタルおやじ」の魂が息づいている「タルタルクラブ」です。最初から最後まで秘伝のタルタルソースでいただくのが礼儀というものではないでしょうか。
“タルタルソース足りない問題”は無事解決し、今回のミッションは完了しました。常にフライを引き立たせる脇役だったタルタルソースが主役として活躍している貴重なお店です。地下鉄「東野駅」から徒歩5分程度の場所にありますので、タルタルソース好きはもちろん、タルタルクラブに入部希望の方もぜひ足を運んでみられてはいかがでしょうか。日によってさまざまなミュージシャンが料理を作ってらっしゃるそうですので、営業日と併せてホームページをチェックしてみてください。
[2019年10月22日訪問]
タルタルクラブ
●住所…京都市山科区東野中井ノ上町11-30(Google マップ)
●TEL…075-606-6020
●定休日…不定休(営業日などはホームページで)
●備考…禁煙
●ホームページ
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