チョット台所二居マス
“京都らしい食事”と言えば、やはりハモやグジ(アマダイ)などを使った京料理が代表格でしょう。しかしそれはあくまでもハレの日の特別な高級料理であり、京都人であっても滅多に食べることはありません。京都の家庭で昔からごくごく普通に食べられてきたのは“おばんざい”と呼ばれるお惣菜(オカズ)です。各家庭によりお惣菜もさまざまなですが、基本的には野菜多めでヘルシーなのが特徴。京料理風のあっさり味ではなく、ご飯にもよく合う意外と濃い味付けのご家庭も多いような気がします。そこで今回は、京都の家庭料理らしい雰囲気をもつ定食店をREPORTしました。

烏丸通と丸太町通の交差点(烏丸丸太町)を北へ100mほど行き、椹木町通を西へ30mほど行ったところの南側に路地が見えます。路地の前には時間帯にもよりますが熱盛り蕎麦の名店「竹邑庵太郎敦盛」の看板が出ていれば正解。南へ20mほど行くと「竹邑庵太郎敦盛」、その南隣にあるのが今回訪問する「チョット台所二居マス(ちょっとだいどころにいます)」です。

町家(屋)や古民家風の外観。昔の京都の家はみんなこんな感じでした。こちらはおそらくそんなに古いお店ではなく、近隣オフィスのビジネスパーソンや地元の方がランチに利用したり、お惣菜はテイクアウトされています。土・日・祝日は休業されていてランチは11時〜14時まで。しかもその日に手作りされた料理が売り切れると終了されますので、14時までランチをされているのは稀だそうです。伺った2019年12月20日は午前中に京都市内で仕事があり、予想より早く終わったこともあって11:20に到着。まずは店頭のメニューを確認してみましょう。

ランチメニューは「おばんざいの盛り合わせ」¥900のみというシンプルさ。コーヒーなどのドリンク類やお菓子なども店内でいただけます。「おばんざいの盛り合わせ」は日替わりで日によって何が出てくるかわかりません。こういったところも友達の家で昼食をいただく感覚となり、なつかしさを覚えます。早速、店内へ入ってみましょう。


土間で靴を脱いで店内へ。本当に友達の家へ来たような不思議な気分になります。カウンター3席と掘りごたつの4名座敷が1組という超コンパクト設計ですが、友達の家なら広い方でしょう。カウンターの向かいが厨房、ではなく台所で奥まで続いています。カウンターから覗きこんでみるも、途中でノレンで遮られていてどこまでが台所なのかはよくわかりません。当日は友達のお母さんとそのお姉さん風の女性2名で切り盛りされていて、どんどん友達の家感が強まってきました。とりあえず友達のお母さん(?)に「おばんざいの盛り合わせ」を注文してみます。

「おばんざいの盛り合わせ」が到着。京都の冬の風物詩でもある「粕汁」とおばんざいは全9品。メインはおでんと豚の生姜焼きでした。京都の冬は底冷えしますので「粕汁」は本当にありがたい。食べると身体の中からポカポカします。おでんはダシが具材によく染み込んでいて、これぞ家庭の味。おでん専門店のように日本酒やビールが欲しくなるおでんではなく、ご飯のオカズにピッタリなおでんではないでしょうか。生姜焼きもこの普通さ加減が絶妙です。京都の家庭で食べられている味付けに似てはいますが、やはり洗練されています。副菜も野菜中心で栄養バランスにも優れた家庭料理を堪能することができました。
家庭の味と言いながら、実際には家庭の味を数段ランクアップさせたクオリティの料理を味わうことができるお店です。ただ本質は家庭料理と言って差し支えないでしょう。豪華な食材を使うこともなく、特殊な調理法で料理されている訳ではありませんが、心からホッとできるやさしくてどこかなつかしい味わいです。京都人が普段食べているおばんざいのおいしいバージョンを食べてみたい方は、友達の家へおじゃまする感覚でお越しください。
[2019年12月20日訪問]
チョット台所二居マス
●住所…京都市上京区養安町242-14(Google マップ)
●TEL…075-585-4084
●定休日…土曜日および日曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「チョット台所二居マス」で検索してください。
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