京都中華を進化させた新京極の中華料理店

中華編
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中国料理 龍鳳

河原町三条から三条名店街商店街を西へ120mほど行くと新京極通が見えてきます。新京極通は南北の通りで新京極商店街があり、修学旅行生や若い人で混雑するエリアです。さらに南へ120mほど行くと、いきなり格式のありそうな寺院に出くわします。

由緒正しき浄土宗の古刹「総本山 誓願寺」です。どれぐらい由緒正しくて歴史があるかについては各自ホームページでお調べください。6種類もの霊場であるお寺であり、霊験あらたかなのは間違いないでしょう。若者の街には少し不釣り合いな感じがしないでもありませんが、繁華街であっても神社仏閣に到着してしまうのは京都らしいとも言えそうです。で、「総本山 誓願寺」の裏手に行くと、どこにでもありそうな中華料理店が目に飛び込んできます。

「中国料理 龍鳳(ちゅうごくりょうり りゅうほう)」。古くからある大衆中華店らしい店構えです。当ブログの2020年(令和2年)第1回目の中華編が、何の変哲もない大衆中華店でいいのでしょうか。いえいえ、「総本山 誓願寺」ほどではないものの、京都の中華料理店としては相当に由緒正しきお店なのですよ。店名に付けられた“鳳”の字は、当ブログでもたびたびご登場いただいている京都中華の祖・高華吉氏が最後に手がけられた中華料理店「鳳舞」の“鳳”。つまりこちらも「鳳舞」で修行された後に、この地で独立された京都中華の流れを汲む名店なのです。しかもかなり古いお店で、管理人の記憶では少なくとも30年前にはすでに営業されていたと思うのですが確かではありません。こちらは中華料理店としては珍しく通し営業をされています。時刻は14:30。遅めのランチをいただくため、久しぶりに入店してみました。

店内の様子もごくごく普通の大衆中華店ですね。新京極をウロウロしている若者がうっかり入って“ラーメン”などと注文してしまいそうになる雰囲気です。まぁ、それはそれで特に問題ではありませんが。ではメニューを確認してみましょう。

こちらも鳳舞系列(以下、鳳系)のお店らしくランチセットのようなものはありません。そして鳳系唯一の料理である「龍鳳撈麺(カラシ入そば)」¥700、さらに高華吉氏の教えを受けたお店でも滅多に提供されていない「鳳凰蛋(かしわ玉子焼)」¥750があります。「鳳凰蛋」は当ブログではわずかに「芙蓉園」で提供されている程度。メニューを眺めている際、若いお客さんが入って来られ「炸子肥鶏(とり空揚げ)」¥750や「鍋貼餃子(ギョーザ)」¥350、「什錦炒飯(ヤキメシ)」¥550などを注文されていて、心の中で“ド素人め”と悪態をついてしまいました。管理人はプロ(何の?)ですので鶏の唐揚げや炒飯はうらやましくありません。当然、注文するのは「龍鳳撈麺(カラシ入そば)」と「鳳凰蛋(かしわ玉子焼)」。餡かけ祭りになりそうなバランスの悪いオーダーと見せかけて、実はバランスの悪いオーダーをあえて実行するプロ(何の?)ならではの一手です。

まずは「龍鳳撈麺(カラシ入そば)」が到着しました。餡からモノ凄い湯気が出ています。そして芳しいカラシの香りがたまりません。管理人は猫舌で正直アツアツは苦手なのですがプロ(何の?)ですので大丈夫。女性にフーフーして欲しいとは思います。ただ、もし同行の女性や見知らぬ女性のお客さんに“フーフーしてくれたまえ”とお願いすれば、確実に逮捕、処刑されますので皆さんもお気をつけください。

カラシの風味と控えめな辛味、鶏肉や野菜の旨味が凝縮された餡が絶品です。その餡に細めの中華麺がよくからんで、絶妙な味わいとなっています。やはり繁華街で長年営業されているだけあって、万人に受け入れやすい味になっているような気がしました。個人的にはもともと修行されていた「鳳舞」の「撈麺(カラシソバ)」よりもおいしいと感じたほど。ほどよい辛味が餡の旨味やコクをより引き立たせていて、辛いのが苦手な方でもおいしさを感じられるのではないでしょうか。

そして「鳳凰蛋(かしわ玉子焼)」です。予想通りトロミ大会となってしまいました。周りから“どんだけ餡かけ好きやねん”と思われていることでしょう。ド素人どもめ。せめてノンアルコールビールがあれば…恥をしのんで「白飯」¥150を追加注文するか?と一瞬考えたものの、プロ(だから何の?)ですのでこのまま勢いでいただきます。

う、旨い!要はカニ玉のカニが鶏肉の料理で、このテの料理はボンヤリとした味になりがち。しかしこちらの「鳳凰蛋(かしわ玉子焼)」は絶妙な塩梅の醤油味が効いていて、塩っぱくもなくボーッとした味でもない最適な味加減です。ノンアルコールビールや「白飯」の手を借りずとも、パクパクと食べられるおいしさ。もちろんビールのツマミにもぴったりでしょうし、「白飯」や「什錦炒飯(ヤキメシ)」にもよく合うでしょう。「鳳舞」の味を踏襲しつつ、より万人受けする味へと進化したおいしさを堪能することができました。

一般的な中華料理の特徴でもあるラードやニンニクなどを極力使わず、京都人に受け入れられるあっさりとした滋味深い味わいを追求された高華吉氏が編み出された京都中華。その思想や技法を受け継ぎながら新京極という繁華街に合わせ、若者や京都以外の方にも楽しんでいただける味へと進化されたのが「龍鳳」の料理ではないでしょうか。地元の方にも愛されるこちらで、他の鳳系のお店とはひと味違う親しみやすい旨味たっぷりのおいしさをぜひご賞味ください。

[2020年1月11日訪問]

中国料理 龍鳳
●住所…京都市中京区桜之町450(Google マップ
●TEL…075-255-3966
●定休日…水曜日
●備考…喫煙可
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「龍鳳」で検索してください。

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