天馬鮨
今はどうかわかりませんが管理人が小学生の頃の昭和後期、京都市内の公立小学校の児童が行事でほぼ必ず行くスポットがあります。例えば奈良市の若草山は遠足の定番スポット。鹿にビビりながら鹿せんべいを与える恐怖体験は、ほとんどの京都人の記憶にあるハズです。そしてプラネタリウムと言えば京都市青少年科学センター。星や星座など、宇宙を視覚的に学べる教育機会であり、プラネタリウム見学をキッカケに宇宙飛行士をめざす小学生も少なからずいることでしょう。そんな京都市青少年科学センターの最寄駅は京阪「藤森駅」。この近辺は住宅街でありながら紫陽花まつり(紫陽花苑)で有名な藤森神社があるなど、歴史に彩られた街でもあります。そして人気の和食店やカフェ、ラーメン店などの名店が多いのも特徴です。そんな中、ほぼ地元の方しか利用しない、ひっそりと営業されている街の寿司店があります。
師団街道と名神高速道路の高架下近くにある藤ノ森の交差点を南へ120mほど行ったところにある「天馬鮨(てんまずし)」。京阪「藤森駅」から徒歩3分程度の便利な立地です。かなり古くから営業されている街のお寿司屋さんで、地元の方に永年愛されてきているお店と言えるでしょう。外観はちょっと高級そうで入りくく感じられるかも知れませんが、とにかくリーズナブルでお一人様でも気軽に立ち寄れます。まずは店頭のメニューを確認してみましょう。
「上にぎり」でも¥1,700という安心なお値段。京都市にある寿司店の相場の2割〜4割は安いお手頃価格で提供されています。そして14時までのランチタイムはさらにお得で、¥1,000以内で寿司を楽しむことができる、まさに地元密着型のお店です。ひとりでフラリと寿司店へ行けるようになれば、もう立派な大人。管理人のようなメンタル弱めで大人になりきれていないダメ人間でも、こちらなら大丈夫ですよ。時刻は13時、早速店内へ入ってみましょう。
寿司店らしい清潔感がある店内。こじんまりとしたお店で、温和ながら寡黙な大将がお一人で切り盛りされています。観光客向けのお店ではありませんので、ゆったりと落ち着いて食事できるのもいい感じ。ランチタイムということもあり、カウンターのショーケースにネタは並べられていませんでしたが、逆にセットメニューを注文しやすく、お財布にもやさしい寿司店です。店内に掲出されているメニューも念のためチェックしておきます。
最高額は「さば寿し(一本)」¥3,000。もちろんひとりで食べる量ではありませんので、テイクアウト想定です。「にぎり(特上)」ですら¥2,100と、本当に京都市内とは思えない良心的な価格と言えます。また、通常¥1,200の「すし定食」がランチタイムは吸物付き¥1,000でいただけますので、今回は「すし定食」を注文してみました。
「すし定食」が到着、¥1,000とは思えない陣容です。握り寿司3貫にカッパ巻き2切れ、太巻2切れ、小チラシ、刺身、吸物で、くどいようですが¥1,000。スーパーのパック寿司よりお安い価格で寿司職人が作る寿司をいただける穴場店と言えるでしょう。まずは刺身からいただきましょう。
今が旬のハマチです。ハマチはブリの幼魚で関西では人気の魚。養殖物でしょうが、この最も脂の乗る時期のハマチはトロっとした脂の甘みをしっかりと味わうことができます。旬のブリもおいしいのですが、刺身としては脂がキツ過ぎです。照り焼きや塩焼き、煮魚、ブリしゃぶなど、火を通すことで余分な脂を落としているのに対し、ハマチであれば適度な脂が刺身にピッタリ。しかもこちらのハマチはかなりの肉厚で、贅沢な味わいを楽しむことができました。
太巻は玉子とカンピョウ、高野豆腐、ミツバのオーソドックスな仕様です。子どもの頃に比べ太巻を食べる機会がめっきり少なくなったものの、久しぶりにいただくと遠足や運動会などを思い出す懐かしい味に心も踊ります。あっさりとして食べやすく、軽くつまむには最適な太巻ではないでしょうか。
握り寿司もさすがの味わいです。タイ、マグロ、玉子と握り寿司のスターが揃い踏み。特にマグロの赤身はネットリとした食感と新鮮な味わいがたまりません。マグロの赤身は最近でこそトロやイクラ、ウニなどの影に隠れた存在となってしまいましたが、本来はマグロの赤身が握り寿司の王様です。握り寿司の創成期から愛され続けてきたマグロの赤身のおいしさを再確認できる仕上がりになっていると感じました。
高級なネタや珍奇なネタはありませんが、ホッとできる味と価格の寿司を堪能できるお店です。肩肘張らずに食べられる雰囲気も見逃せません。お一人様だけでなく、家族連れなどでも利用しやすいのではないでしょうか。こういう街の寿司店が次々に店を畳まれている状況ではありますが、こちらは末永く営業していただきたいと切に願っています。京阪「藤森駅」近辺に来られた方は、ぜひ手軽な価格の寿司をお試しください。
[2020年2月15日訪問]
天馬鮨
●住所…京都市伏見区深草飯食町781-1(Google マップ)
●TEL…075-642-7610
●定休日…火曜日
●備考…喫煙可
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「天馬鮨」で検索してください。
コメント