喫茶フィガロ
和食の根本である京料理など、イメージとして和や伝統を感じさせる京都は、パンの消費量も全国屈指レベル。学生の街ということもあり、昭和の時代は街ナカで多くの喫茶店がゆる〜く営業していました。管理人も学生時代に喫茶店でアルバイトをしていたので喫茶店事情についてはそこそこ知っているのですが、正直、喫茶店を1軒経営するだけで生計を立てるのは至難の業。比較的利益の大きいアルコール類を置いていない、いわゆる純喫茶となるとさらに難易度が上がります。個人経営の場合、そのほとんどが副業としての喫茶店経営か退職後の年金を確保しながらのセカンドキャリアではないでしょうか。ただ、最近では若い方や働き盛り世代でも喫茶店経営を始める方が少しずつ増えているような気がします。今回はそんな働き盛り世代のマスターが経営する喫茶店をREPORTしてみました。
東大路通と北大路通の交差点(高野)を南へ300mほど行ったところにある「喫茶フィガロ(きっさ ふぃがろ)」。管理人が勝手に命名している京都のチャイナタウンこと元田中エリアにある喫茶店です。開業は2015年(平成27年)9月で、今年で5周年を迎えられます。以前は別のシニアの方が喫茶店をされていましたが、閉業を期に現マスターが店名や内装などをリニューアルしてクラシカルな雰囲気の喫茶店を営業されています。時刻は14:20、ランチ代わりに軽食を取ろうと店内へ向かいました。
昭和テイスト漂う、古き良き時代の喫茶店です。店内にはかつてのような、ゆったりとした時間が流れています。ただし令和の時代ですので禁煙。愛煙家の方には少し物足りないかも知れませんが、これも時代ですので諦めましょう。昭和の喫茶店と言えば喫煙するお客さんが主流派を占め、紫煙で霧がかかったような店内が普通でした。それはそれで風情があったような気がしないではないものの、現在は喫煙率も激減し、もはや喫煙するお客さんも少数派。禁煙の喫茶店は時代の要請であり、これまで利用を敬遠されていた喫煙しない方が新たなお客さんとなるメリットも生まれます。管理人がもし喫茶店を経営するとすれば…これまで逆張り人生で失敗続きだったこともあり、おそらく最後の賭けとしてやはり逆張り、喫煙者しか入店できない喫茶店にするかも知れません。すぐに潰れそうでイヤなんですけど。とにかくメニューを確認してみましょう。
こちらはコーヒーにこだわられている喫茶店で、ランチでは「バターチキンカレー」¥700が評判なんだとか。しかし、重たいものを食べたくない気分であったため、軽めのパンメニューに。そこで目についたのが「フレンチトースト」¥690です。フレンチトーストと呼ばれるだけあってフランス料理かと思いきや、実はフランス発祥のパンメニューではありません。バターが香る、何となくフランスっぽい感じに騙されている人も多いのではないでしょうか。諸説ありますが、有力なのはアメリカ発祥のパンメニュー説。もともとアメリカでは「ジャーマントースト」、つまりドイツ風のパンだったものが、第二次世界大戦でドイツが敵国となったことから「フレンチトースト」に変更したそうです。言われてみればアメリカ的な料理のような気はします。もっとも、ドイツ料理にフレンチトーストのようなものがあるのか?という疑問も拭えません。ただ、フランス発祥でないのは間違いなく、フランスではフレンチトーストのことを「pain perdu(パン ペルデュ)」などと呼びます。意味は“失われたパン”で、時間が経ちカチカチになってトーストしたぐらいでは食べられなくなったパンを再生させる料理ということなのでしょう。と、いう訳で、今回は「フレンチトースト+生クリームのセット(アイスコーヒー)」¥1,140を注文してみました。
弱火でじっくり時間をかけて焼き上げられた「フレンチトースト+生クリームのセット(アイスコーヒー)」が到着。もう見た目からして正統派のフレンチトーストで、これは時間がかかって当然だなと納得できました。まずはアイスコーヒーをいただきます。少し酸味のあるコーヒーの風味が心地よく、軽やかな後口で素晴らしい味わいだと感じました。ストレート(ブラック)でも爽やかに飲めますが、ミルクを入れて少しコクを足してもおいしい。さすがコーヒーに定評がある喫茶店だけのことはあるクオリティです。
そしては「フレンチトースト+生クリーム」。これは仕込みの段階から時間がかかっているシロモノですよ。牛乳と卵を調合した卵液に、おそらく一昼夜は浸されているハズ。もうプリンのようなトロトロの食感となっています。弱火でじっくりと丁寧に焼かれていることもあり、焦げなどは一切感じません。濃厚な生クリームとの相性も抜群で、休日のブランチなどにも最適。現代人は日々時間との戦いで疲れている方も多いと思います。そんな時、こちらのフレンチトーストでちょっと贅沢にリラックスしてみられてはいかがでしょうか。昭和を感じさせるゆったりとした時間の流れに身を委ねながら、コーヒーやフレンチトーストをゆっくりと愉しむ幸せをぜひ体感してください。
[2020年9月12日訪問]
喫茶フィガロ
●住所…京都市左京区田中上大久保町13-2(Google マップ)
●TEL…075-755-7166
●定休日…月曜日(祝日の場合は営業)
●備考…禁煙
●ホームページ…twitter/facebook
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