飲茶・点心 美龍
最近、ちょっと遅くまで仕事をさせられているせいで、夜の外食がなかなかできていません。新型コロナ第3波の影響もあり、飲食店の時短営業がすっかり定着した感のある2020年の年末、管理人のように夕食を作って待ってくれている人がいないミジメな夜を身も心も温めてくれるのがコンビニです。近頃のコンビニは惣菜にもチカラを入れていて、気を許すとうっかりトリコになってしまいます。管理人も30年近く前となる学生時代、コンビニでバイトをしていたことがあり、当時と現在の惣菜や弁当、おにぎりなどのクオリティの進化をまざまざと体感しているところ。そもそも当時はビーフシチューや豚の角煮といった本格的な惣菜は存在しませんでした。余談ですが、気が向けば“コンビニビーフシチュー食べ比べ選手権(仮称)”をREPORTするかも知れませんので、あまり期待せずにお待ちください。で、さまざまな惣菜や弁当などがある中、当時とさほど変わらずおいしい冬のご馳走が“肉まん”です。寒い冬、しかも夜。コンビニに立ち寄って買い食いする肉まんは何物にも変えられません。ちなみに一般的には肉まんと呼ばれていますが関西地方、特に大阪では“豚まん”と呼びます。関西で肉と言えば牛肉を指すことから“豚まん”となったのでしょう。それはさておき、ともかく久しぶりに豚まんなどの点心が食べたい!と思い立ち寒い中、原付で円町エリアへ向かいました。
西大路通と丸太町通の交差点(円町)を南へ350mほど行き、新二条通の交差点(西大路太子道)を西へ70mほど行ったところにある中華料理店「飲茶・点心 美龍(ヤムチャ・テンシン メイロン)」。以前REPORTした洋食店「slowflow」と同じ建物の1階にあります。さて、ここで“飲茶と点心って何が違うの?”と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。まず「点心」とはざっくり言うと中国の軽食です。肉まん・豚まんや小籠包、餃子、焼売などが思い浮かびますが、実は小皿に盛られた中華料理やお菓子なども点心に入ります。極論すれば、小皿にサーロインステーキを盛っても点心ですし、小皿に海鮮丼を盛り付けても点心、ショートケーキも点心になるのだとか。点心のことがよりわかりにくくなったところで飲茶の説明をします。「飲茶」とは主に中国茶とともに点心をいただく飲食スタイルを指し、料理のジャンルや料理名ではありません。日本に置き換えると日本茶を飲みながら草だんごやお焼きを食べたり、コーヒーを飲みながらサンドウィッチやケーキを食べたりする喫茶スタイルの中国版が飲茶なのです。以上、東洋イチわかりにくい飲茶と点心の違いを説明したところで、店頭のメニューを確認してみましょう。
ランチのセットは6種類で、「焼きそばセット」¥950や「酢豚定食」¥900などの町中華メニューも用意されています。しかし今回の目的は点心ですので、鹹点心4種・甜点心2種・本日のお料理(この日はムキエビのてんぷら)1品・皮蛋ととりのお粥が付く「飲茶セット」¥900に決定。鹹点心とはシェンテンシンと読み、肉まん・豚まんや小籠包など皆さんが想像されているオカズ的な点心です。甜点心はテンテンシンと読み、ゴマ団子や杏仁豆腐など甘いスイーツ系の点心となります。皮蛋(ピータン)はアヒルの卵を熟成させた黒い卵で、中国では珍重されているものの、日本では好き嫌いがかなり分かれる中華食材。管理人も味は好きですがビジュアルが苦手でこれまで可能な限り避けてきました。ただ、中華粥に皮蛋は驚くほどよく合いますので、今回は目をつむっていただこうと思います。時刻は11:45、ランチタイムに突入する前に店内へ入ってみましょう。
開店直後にも関わらず、すでにお一人様2名がカウンター席に着席されていて、人気店であることが伺えます。カウンター5席に4名テーブル席2組のコンパクトな店内で、マスターお一人で切り盛りされているコンパクトなお店です。こちらのマスターは点心が特に盛んな香港で修行を積まれたそうで、しかも点心づくりだけを担う点心のスペシャリスト・麺点師に教えを受けた本格派。フランス料理のシェフがスイーツをパティシエに任せているのと同様、本場ではハイレベルなお店ほど点心については料理人(厨師)ではなく麺点師に任されています。日本の中華店でも肉まん・豚まんや小籠包などを提供されていますが、その多くは手作りではなく中華食材店などから購入されているそうです。こちらでは本場香港同様、作りたての味を楽しむことができる、京都市内では貴重なお店ではないでしょうか。
「飲茶セット」が到着しました。せいろから出ている激しい湯気がおいしそう。鹹点心4種は豚まんに蒸し餃子と蒸し焼売2種、甜点心2種は蒸しパンと杏仁豆腐です。まずは蒸し餃子からいただきます。
モチモチの皮と餡の旨味がご馳走です。トゥルンとなめらかな皮の食感が心地よく、焼き餃子や水餃子以上に皮のおいしさが際立っています。餡もやさしい味付けながらコクがあり、十分に満足できる逸品。蒸し焼売2種も市販品とは次元の異なるおいしさで、高級な香港料理店にも匹敵する味わいだと感じました。
次に豚まんです。とにかく皮がおいしい。ふわふわ&ふかふかで掛け布団にしたいぐらいの柔らかさ。皮にもほのかな味わいがあり、チャーシューベースの餡との相性も抜群です。この餡も見事な味で、普通の肉まん・豚まんだと思って食べると驚きますよ。本場香港の人々に愛される豚まんの実力をはっきりとわかることができました。
そして皮蛋ととりのお粥。皮蛋は細かく刻まれているおかげで目を開けて食べることができます。中華粥は五臓六腑に染み渡るやさしい味わい。そこにアッサリとした鶏肉の旨味、そして皮蛋の濃厚でコクのある味わいがアクセントとなっていて、消化に優れ栄養価が高いお粥となっています。中国や香港、台湾では庶民も大金持ちも朝食に中華粥を食べるそうですが、朝昼だけでなく夜食にも最適ですね。蒸しパンや杏仁豆腐も食後のデザートにピッタリな手作りのおいしさ。後ほど中国茶である温かいジャスミンティーもいただけますので、本場の飲茶をゆっくりと満喫できると思います。円町エリアにお越しの際は、京都市内では味わえない本格点心をぜひご賞味ください。
[2020年12月5日訪問]
飲茶・点心 美龍
●住所…京都市中京区西ノ京北壺井町88-1 二条プラザ1F(Google マップ)
●TEL…075-841-4765
●定休日…火曜日
●備考…禁煙
●ホームページ
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