トリオ
関西で私大の雄と言えば“関関同立”と呼ばれる関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の4大学でしょう。その中で京都に主要キャンパスを構えているのが同志社大学と立命館大学で、おそらく京都の企業採用では私大の中で最も人気なブランド大学だと思います。管理人は仕事で主に大阪の大学に出入りしていますが、大学ごとに学生の雰囲気が異なると感じることもしばしば。入学時の偏差値などとは関係なく、おとなしい学生が多い大学もあれば積極的に話しかけてくる学生が多い大学もあって、大学ごとに異なる校風を肌で感じています。同志社大学と立命館大学については仕事をしたことはないものの、京都人なら何となく雰囲気の違いを感じることもあるでしょう。管理人にとって同志社大学の学生のイメージは男女を問わずオシャレでスマートな印象。今出川キャンパスの外観も古い歴史がありながらレンガ造りを基調としたミッション系大学らしい清潔感があります。周囲の飲食店も昔ながらのお店がある一方、スタイリッシュなカフェなども多いのが特徴です。他大学の学生街とは一線を画しているように見受けられます。そんな同志社大学今出川キャンパスのすぐ近くに、管理人が生まれる前から同志社の学生や教職員などに愛されてきた“同志社御用達”とも言える喫茶店があり、訪問してきました。
今出川通と烏丸通の交差点(烏丸今出川)の北西角から西へすぐのところにある喫茶店「トリオ」。2階は現在も営業しているかは不明ながら雀荘で、1階・2階ともこれまで多くの同志社大学の学生が足を運んできたことでしょう。「トリオ」は1966年(昭和41年)創業で55年の歴史を誇ります。この昭和らしい外観も、開業当初は最先端の喫茶店として若者に人気だったハズ。そして当時としてはハイカラであった洋食メニューも豊富に用意されています。
店頭のサンプルやメニュー表を拝見すると、もはや喫茶店ではなく現在のファミレスクラスのメニューがズラリとラインナップ。ソフトドリンクや軽食だけでなく、アルコール類からツマミ、洋食、うどん・そば、丼まで一見、何の脈絡もないメニューです。が、学生街の飲食店としては正しい。創業当時は今ほど飲食店が多くなかったでしょうから、学生のあらゆるニーズに応えた結果のメニューなのでしょう。2階の雀荘でコテンパンに負けたらアルコール類でも飲まないとやってられないでしょうし、女子をデートに誘うためにはデザートも必要です。モーニングからディナーまですべてこちらで完結できる、いわゆるワンストップソリューションを55年前から実践されている時代を先取りしたお店ではないでしょうか。管理人はハンバーグ、クリームコロッケ、海老フライの「ミックス定食」¥1,000に決めて店内へ向かいました。
オオバコな店内は一応分煙だそうですが、仕切りなどはありませんので、タバコが苦手な方にはあまりオススメできません。とは言え、近年の喫煙者の減少もあってか、訪問時はそれほど煙たさを感じませんでした。昔の学生街の喫茶店はみんなタバコを吸っていて、濃霧がかかったような店内が当たり前。まさに“紫煙”という表現がふさわしい、絶対健康に悪そうな空気だったことを思い出しました。どんどん肩身が狭くなっている愛煙家にとっては今や貴重なお店だと思います。そして、ちょっと驚いたのが客層です。実は先ほどからさんざん学生、学生と連呼していたものの、実際にはミドルやシニアの巣窟になっていると予想していました。東隣に「モスバーガー烏丸今出川店」、西へ行くとすぐ「やよい軒 烏丸今出川店」や「天下一品 今出川店」など、学生好みの飲食店がたくさんあり、こちらのような昭和のクラシカルな喫茶店をイマドキの学生は利用しないだろうと勝手に思い込んでいたのです。しかし、実際には同志社の学生さんでしょうか、シュッとしたスタイリッシュな男子学生が洋食メニューを食べていたり、文庫本を片手にコーヒーを飲んでいたりと、結構利用されています。管理人にとってはまるで40年前の学生時代にタイムスリップしたかのような奇妙な気分。もちろん芸術肌の教授のような少しアバンギャルドなシニア男性や、ご近所で井戸端会議を開催しているシニア女性もいらっしゃって、想像以上にカオスな雰囲気となっていました。では管理人もシュッとしていない他大学の垢抜けない学生を装って「ミックス定食」を注文してみましょう。
「ミックス定食」が到着。ビジネスパーソンのランチであれば¥1,000はリーズナブルに感じるものの、学生にとっては贅沢なのかも知れません。もっとも、最近のバイトの時給を考えれば、¥1,000は安いという感覚なのでしょうか。管理人が仕事先の大学へ行った際、学生街の飲食店で食事をしていても“学生の方がリッチなのでは?”と思わざるを得ない光景に出くわします。社会人になって所得税や住民税の金額にビビるがいいわ!と心の中で悪態をつくことも少なくありません。オッサンをまったく優遇してくれないこの国はおかしい、と政治体制に不満を抱きつつ海老フライをガブリ。カラリと揚げられていて、海老の味わいがしっかりと楽しめる本格派に怒りも静まります。
ハンバーグやクリームコロッケも安定感のあるおいしさです。洋食店とは比べられないものの、¥1,000の喫茶店ランチとしては十分に満足できるクオリティだと感じました。何よりオッサンひとりでもフラリと入れる気軽さや、ゆったりと落ち着いて食事できるのがうれしい。昭和のゆるやかな時間が流れる店内で、のんびりとランチなどを楽しめるお店です。同志社大学今出川キャンパスの近くまで来られた際には、こちらで学生時代に戻ってみられてはいかがでしょうか。
[2021年2月20日訪問]
トリオ
●住所…京都市上京区今出川町327(Google マップ)
●TEL…075-441-6943
●定休日…日曜日
●備考…分煙
●ホームページ…facebook
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