化学調味料不使用な千本通沿いの老舗蕎麦店

和食編
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つち福 千本本店

日本の食文化を語るうえで避けては通れないものの1つに「化学調味料」があります。最近のメディアなどでは「うま味調味料」と表現する場合が多く、商品名としては「味の素」が代表格でしょう。この「化学調味料」、かつては(今も)どうも悪役として叩かれることが多く、某超有名グルメ漫画でも目の敵にされていました。「化学調味料」が悪として語られる最大の理由は“カラダに悪そうだから”で、人工的な製造方法から人工防腐剤や食品添加物などの薬品イメージがあるからでしょうか。実際の「化学調味料」は主にサトウキビなどの糖分を抽出し、発酵させることでグルタミン酸などの旨味成分へと変化させた調味料で、グルタミン酸は昆布の旨味成分としても知られています。この「化学調味料」摂取による健康への安全性について、管理人はよくわかりません。国際的な専門団体や研究機関から安全であると認定されている一方、未だ批判的な意見や研究論文などもあり、管理人のようなド素人の手には負えないテーマとなっています。ただ、あくまで個人的にですが、管理人は自炊する際、「化学調味料」は積極的に使う派。手間なく味が決まり、まとめやすいから使うのですが、手間暇を度外視すれば昆布や鰹節など古来からのダシの旨味があればわざわざ使うこともないと思います。食品メーカーや飲食店ではほぼ当たり前のように使われているものの、一部の飲食店では“無化調”などの謳い文句で「化学調味料」を使わない料理を提供している場合も。そこで今回は、昔から「化学調味料」不使用にこだわる蕎麦店をREPORTしました。

千本通今出川通の交差点(千本今出川)を南へ550mほど行ったところにある、千本中立売の交差点すぐそばにある蕎麦店「つち福 千本本店(つちふく せんぼんほんてん)」。“本店”と言われるのは、支店として四条河原町の交差点を南へ470mほど行ったところに「つち福食堂(旧:つち福 河原町店)」を営業されているからです。創業者が1905年(明治38年)頃に夜鳴き蕎麦を提供し始め、現在の店舗を開業されたのが1919年(大正8年)と、100年を超える老舗として地域に愛されています。現在は三代目の店主が経営されていて、化学調味料不使用だけでなく、蕎麦店らしからぬ取り組みで、老若男女を問わない人気店として千本通を代表する飲食店の1軒と言えるのではないでしょうか。お昼の営業時間は11:30〜ラストオーダー14:30で、遅めのランチにも対応しています。時刻は13:50、まずは店頭のメニューを確認してみましょう。

蕎麦店ながら定食類も充実していて、実はヒレカツ推しなお店です。もちろん蕎麦店の王道メニューもしっかりと用意されているのですが、定食店や食堂のようにも利用できるため、ガッツリ食べたい場合でも満足できます。本格派と呼ばれる蕎麦店は“ウチは蕎麦しかやってないよ”的なお店がほとんどなものの、それはあくまでも最近の蕎麦店の風潮です。少なくとも京都市内の老舗蕎麦店は、さすがにヒレカツなどの洋食メニューはあまり見かけないものの、蕎麦以外のメニューも充実しているお店が少なくありません。蕎麦を中心としながらも、定食店や食堂のような使い方もできるお店も多く、蕎麦や丼では物足りない大食い健啖家にも対応されています。管理人は昭和生まれの古いタイプの人間ですので、蕎麦しか提供していない蕎麦のみを追求している風潮のお店は緊張して味がよくわからないのです。特にカウンター席に着席し、蕎麦を打つ無言の店主とマンツーマンで対峙するのは本当にカンベンしてほしい。“蕎麦屋のカレーライスって、おいしいですよね〜”とでも言おうものなら、間違いなく叩き出されるでしょう。でもこちらなら大丈夫。誰もが安心してリーズナブルにお腹いっぱい楽しむことができます。では店内へ入ってみましょう。

昔ながらの蕎麦店らしい雰囲気の店内。さまざまな能面などのお面が飾られているのは、面と麺をかけているからでしょうか。知らんけど。テーブル席だけで意外と席数も多く、お一人様でもゆったりとくつろいで食事ができます。そこに緊張感などはありません。たまにお面に見られているような気がしないでもないですが多分気のせいです。お面のことは気にせず改めてメニューを確認してみましょう。

蕎麦やうどんなどの麺メニューや丼、定食だけでなく、アルコール類やツマミも充実しています。昼間から蕎麦屋で1杯というオトナの楽しみ方もできそうです。こちらへ伺う前は「天丼」¥980とプラス¥200で付く「ミニ蕎麦(温・冷)」にしようと考えていたのですが、やはりヒレカツ推しなお店ですのでヒレカツは食べたい。そういえば店頭に掲出されていたメニューの本日の限定ランチは、エビフライ・白身魚フライ・ヒレカツと蕎麦(温・冷)、ご飯、漬物、コーヒー(温・冷)まで付いて¥980の「ミックスフライランチ」だったことを思い出し、蕎麦もヒレカツも食べられる!しかもお得!!と考え直して「ミックスフライランチ」を注文してみました。

「ミックスフライランチ」が到着しました。これなら腹ペコな若者でも満足できそうなボリュームです。蕎麦がなければ洋食店か定食店と勘違いしそうな陣容となっています。もはや蕎麦が味噌汁代わりのポジションとなっているものの、こちらは老舗蕎麦店。まずは化学調味料不使用のこだわりの温かい蕎麦からいただきます。

昆布やカツオなどダシが効いた豊かな蕎麦ツユです。薬味は青ネギとユズだけのシンプルな素蕎麦だけに、ダシの香りや風味を存分に楽しめます。蕎麦は二八蕎麦でしょうか、蕎麦としてはかなりコシがあり、蕎麦の風味も活きているように思いました。化学調味料を使っていない分、昆布やカツオといったダシの素材の味がダイレクトに濃く感じられるおいしさです。化学調味料を使われていない理由がわかる、クッキリとしたダシの味わいを存分に楽しむことができました。

そしてエビフライ・白身魚フライ・ヒレカツです。ランチセットのエビフライとは思えない大きさにニッコリ。タルタルソースも添えられていて完璧です。白身魚フライはキスでしょうか、上品な白身魚の味を堪能できます。そしてヒレカツは推しだけあって柔らかで揚げ加減も申し分なし。洋食店レベルのクオリティです。トンカツソースでいただくカジュアルさも普段づかいにはもってこいではないでしょうか。近頃、また活気を取り戻しつつある千本通商店街もあり散策するには穴場な京都の観光スポットです。千本通へお越しの際には、こちらでランチやディナーを楽しまれてみてはいかがでしょうか。定食メニューだけでなく、京都の蕎麦として有名な「にしん蕎麦」¥930も、さすが老舗の味わいですよ。

[2021年11月4日訪問]

つち福 千本本店
●住所…京都市上京区亀屋町55(Google マップ
●TEL…075-462-1904
●定休日…水曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…Instagram

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