卯凪
梅雨の話題をする間もなく、今まで経験したことがない6月末という異例の早さで梅雨が明け、本格的な夏が到来してしまいました。6月28日および29日には京都府でも環境省から「熱中症警戒アラート」が発表されるほど。今後も戻り梅雨のような雨模様と酷暑が断続的に到来するようですので、特にヒートアイランド現象の影響を受ける都市部にお住まいや観光される人は十分お気をつけください。サテ、先日訪問した「柴半」のREPORTで“京都人は玉子好き、取り分けだし巻き好き”と書きましたが、だし巻きには上位互換が存在します。アップグレード版、プレミアム版と言い換えてもOKでお値段も高めなため管理人は食べる機会も少なく、これまでREPORTしていません。ただ、こう暑いと早くも自暴自棄になってしまい、夏バテ予防にだし巻きの上位互換を食べてしまおうと決意しました。だし巻きの上位互換、それは「う巻き」です。「う巻き」とはだし巻きの中心部にウナギの蒲焼きがINされた贅沢品であり、少なくとも関西の鰻屋さんであればほぼ確実に用意されています。ただ、管理人だけかも知れませんが、鰻屋さんへ伺った際に「う巻き」を注文することはほとんどありません。なぜなら「う巻き」はあくまで副菜であり「う巻き」だけを食べて帰ることはなく、メインの鰻丼または鰻重を注文した時点ですでにお財布の心配をしてしまい、副菜まで手が出ないからです。なにかしらの臨時収入を得てウナギをたらふく食べられるお財布事情になったとして、白焼きや肝焼き、うざく、お店によってはドジョウの丸鍋、柳川鍋やコイの洗いを注文することはあっても、「う巻き」までなかなか到達しません。同行者が「う巻き」を注文した場合のみ、同行者のスキを見てくすねるぐらいでしょうか。しかし今回は、正々堂々と自分のお金で「う巻き」を食べます。もちろん鰻丼も。当ブログのルールとして一人前¥3,000以内というオキテが存在するものの大丈夫なんです。そんなお値打ちな鰻屋さんへ伺おうと、北大路通を西へ向かいます。
北大路通と堀川通の交差点(堀川北大路)を西へ280mほど行き、大宮通を南へ140mほど行ったところになる鰻屋さん「卯凪(うなぎ)」。こちらは2021年(令和3年)1月に開業されたまだ新しいお店ながら、京都人はウナギが大好物なため、すでに話題となっています。管理人も開業時から訪問する機会をうかがっていたものの、ランチタイムには行列ができる人気店であり、ついついスルーしていました。こちらのお昼の営業時間は11時〜14時で11時過ぎなら並ぶこともないだろうと11:15に到着。幸い並んでいる人は見受けられません。シメシメとほくそ笑みながら、店内へ入ってみました。
7〜8割がたの座席がお客さんで埋まっていました。危なかった。こちらは4名テーブル席のみなのですがひとり客も多く、確かにお一人様でも入りやすい雰囲気です。ただ、4名テーブル席をひとりで占有するのはちょっと申し訳なく感じるので、混雑していない時間帯を狙ったつもりだったのですが、平日にも関わらず11:30にはすでに行列が発生していました。これは急いで注文して早く食べて退去しなければ、とメニューを確認します。
実はもう注文するメニューは決まっています。鰻巻き1/2と鰻2切と書かれている「う巻き丼 上」¥2,310。う巻きとウナギの蒲焼きの両方を食べられる丼です。こちらの価格設定は鰻屋さんとしては相当にリーズナブルで、加えて丼のご飯は大盛りでも無料なのもうれしい。「うな丼 並」なら¥1,540でいただけるため、ちょっと贅沢にウナギを食べたい場合にも重宝するお店ではないでしょうか。もちろん本格的な鰻屋さんであり焼き立てをいただけるため、牛丼チェーン店や和風ファミレスチェーン店などのウナギとお値段を比べてはイケマセンよ。こちらのメニュー表に記載の価格は消費税が含まれていませんので、店内飲食の場合は料金×1.1を、テイクアウトの場合は料金×1.08を暗算なりアプリなりで計算してください。管理人の「う巻き丼 上」ができ上がるまでの間、テイクアウトの注文もひっきりなしでした。
「う巻き丼 上」が到着。テンション爆上がりです。改めて鰻丼の素晴らしさをビジュアル面でも実感できました。日本人にはウナギの蒲焼きがDNAレベルで刻み込まれているのです。管理人は本当なら、毎日でもウナギを食べたい。もし、これから寿命を迎えるまで1種類の料理しか食べられませんよ〜、と神様に命じられたら、三日三晩悩みに悩み抜いて“鰻重、肝吸い付き、神様のオゴリで”と答えるでしょう。などとあり得ない妄想を垂れ流している時間はありません。すでに多くのお客さんがこちらのウナギを食べたくて、食べたくて、食べたくて先程からお店の外でお待ちなのです。なので、まずは肝吸いからいただきます。
あぁ…おいしい。数ある吸い物の中でも肝吸いの旨さ、高揚感は別格です。甘辛ダレで焼いた肝焼きもおいしいのですが、肝吸いには心の奥底からしみじみおいしい謎の味わいがあります。吸い地も京都らしくダシが効いた薄味仕立てで、ウナギの肝の旨味が引き立っている逸品です。鰻屋さんで鰻丼や鰻重を注文した際、付いている汁物が肝吸いでなかったときの絶望感はハンパありません。ウナギの肝はウナギ1尾から当たり前ですが1つしか取れない貴重品で肝吸いでなかったとしても文句を言える筋合いではまったくないものの、心に小さな穴がポッカリと空いた気分になるのも仕方ないことでしょう。こちらでは丼にはすべて肝吸いが付きますので、それだけで良店と言わざるを得ません。
いよいよ今回の主役である“う巻き”です。この大きさでハーフサイズとのことで、一人前ならマクラ代わりになるのでは?と思わせるボリューム感となっています。アツアツ、フワトロなだし巻きに包まれたウナギの蒲焼きがマズいワケがありません。この世のおいしいは、このう巻きであると本日決まりました。だし巻き自体の火加減も申し分なくダシが効いている本格派で、だし巻きだけでも十分おいしいのに、さらにウナギの蒲焼きまで参入しているのですから、和の卵料理の極致と言っても過言ではないでしょう。ちなみに各テーブルには鰻丼のタレが常備されていますので、ご飯のオカズとしてもう少し塩気が欲しいと感じた場合は、鰻丼のタレをご自由にご活用ください。
そして今回の主役である“ウナギの蒲焼き”です。香ばしくパリッパリに焼かれた蒲焼きは関西風で、ウナギの旨味と脂の甘みがとにかく際立っています。このサイズが2切れですから満足度も十分。本日2回目とはなりますが、この世のおいしいは、このウナギの蒲焼きに決まりました。京都にお越しの際には、ぜひこちらのリーズナブルなウナギ料理の数々を堪能していただきたいと思います。もちろん、観光ならわざわざ暑い夏の京都ではなく、涼しくなってからがオススメです。こちらの西向かいにはおもむきのある「若宮神社」があり、織田信長を祀る「建勲神社」や京都屈指の禅宗寺院「大徳寺」といった名所も多いエリアですので、秋になれば観光ついでにでもぜひお立ち寄りください。
[2022年6月29日訪問]
卯凪
●住所…京都市北区紫野雲林院町90-4(Google マップ)
●TEL…050-8881-3686
●定休日…火曜日および不定休
●備考…禁煙
●ホームページ…Instagram
※さらに詳細は食べログ「卯凪」でご確認ください。
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