夢のように穏やかな時間と空間が流れる喫茶店

喫茶店・カフェ編
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チタチタ喫茶

昨日「カツ丼」をREPORTする際、“カツ丼を食べよう”を決めた管理人が真っ先に思い浮かべたお店は「千成食堂 丸太町店」でした。実はいずれREPORTするつもりのストック店としていたのですが、今年2019年4月ぐらいに閉業。大将もご高齢でたまにお店の前を通っても休まれていることが多く心配していました。そして少し時間を巻き戻して2019年3月、とにかく常連さんが多い京都でも有名な堀川丸太町北西エリアの喫茶店が閉業されたのだとか。管理人も数年前に一度伺ったことがある喫茶店「チタチタ喫茶(ちたちたきっさ)」で、そちらが7月「千成食堂 丸太町店」跡地に移転・リニューアルオープンされたと聞き、伺ってみました。

店構えはほぼ「千成食堂 丸太町店」のまま。店主と常連さんの会話でわかったのですが、この建物自体が取り壊し前提の物件で、こちらで営業されるのは2年〜6年の間になるそうです。そういう事情であれば店舗の外装などにお金をかけるのはもったいないですね。管理人は「チタチタ喫茶」についてまったく詳しくないものの、常連さんに愛されまくっているお店のようで、「チタチタ喫茶Fan Club」なる常連さん運営のブログが存在するほど。世の飲食店経営者にとってはかなりうらやましく思うお店ではないでしょうか。時刻は15時、早速店内へ入ってみましょう。

雨模様の昼下がりにも関わらず半数ほどの座席が埋まっています。お店入ってすぐのところに置かれている古時計は「千成食堂 丸太町店」にあったアンティークな置時計だったハズ。テーブルやイスは旧店のものを持って来られているものの、「千成食堂 丸太町店」の面影が色濃く残っています。店内にいたお客さんはほぼ常連さんのようでした。旧店から400mほどの移転とは言え、常連さんがしっかりとついているのはさすがと言えるでしょう。ではメニューを確認してみます。

こちらはモーニングでも有名なお店で、各種トーストも人気が高いメニューです。「昼定食」¥860は残念ながら14:30までのようでしたので、今回は30年近くぶりに食べる「ナポリタン」と「アイス珈琲」のセット¥1,000をチョイス。最近でこそ昭和回顧的な雰囲気でナポリタン(店によってはイタリアン)が注目されているものの、そのネーミングとは異なりパスタの本場・イタリアには存在しないスパゲティとして知られています。昭和のスパゲティ(非パスタ)の二大巨頭は「ミートソース」と「ナポリタン」。そして世間をアッと言わせた「たらこスパゲティ」をはじめとした和風スパゲティが世の中を席巻、次に漫画「美味しんぼ」や日本人イタリアンシェフの台頭といったグルメブームの影響で「カルボナーラ」や「ペペロンチーノ」などホンマモンのパスタが広まりました。昭和のオッサンである管理人ですらナポリタンは10代で食べて以来。何の資料も確認せず自らの記憶だけが頼りという後世に絶対残していただきたくないスパゲティ&パスタ史を語っていると、「ナポリタン」が到着しました。

これぞ正統派な「ナポリタン」です。味噌汁が付いているのは「チタチタ喫茶流」なのでしょうか。具はロースハムにマッシュルーム、ピーマン、タマネギ、ドライトマト。そこでふと気づいたのですが、ドライトマトは別として、残りはすべてピラフやオムライスなど、昭和の喫茶店フードに欠かせない具材ではないですか。言われてみれば昭和の頃にイタリア料理店はごく一部しかなく、「ナポリタン」が提供されていた主戦場は喫茶店。つまり喫茶店にとっても都合のいいフードメニューだった訳で、当時の日本人にも受け入れられ、永らく昭和のスパゲティ(非パスタ)の二大巨頭として活躍していたものと推察されます。ちなみに「ミートソース」はほとんどが缶詰ですから、こちらも喫茶店で簡単に提供されていたのでしょう。「ナポリタン」や「ミートソース」の必須アイテムである粉チーズ(パルメザンチーズ)とタバスコも用意されていますので、早速いただきましょう。

粉チーズ(パルメザンチーズ)を雪山のごとく振りかけ、タバスコを5〜6回振っていただくのが昭和のオッサン流。よ〜く混ぜていただくと、学生時代を思い起こさせるナポリタンの味わいが蘇ってきます。味付け自体は程よいケチャップ味の上品なナポリタンです。昭和の喫茶店によってはデルモンテの回し者か?”と疑うぐらいケチャップまみれでトンデモナイ味付けのナポリタンも結構ありました。こちらの「ナポリタン」は懐かしさはありつつも丁寧な調理技術によって生み出されているハイレベルな“令和のナポリタン”と言えるのではないでしょうか。

食後すっきりタイプの「アイス珈琲」をいただきながら、気づくと外は土砂降りでお客さんもほとんどいなくなっていました。のんびりと穏やかな時間と空間が流れているお店で、普段は落ち着きがない気ぜわしい管理人もつい長居してしまったようです。“チタチタ”とはインドネシア語で「夢」をあらわします。日頃忙しい方や得体の知れない何かに追いかけられている人は、こちらでのんびりと上質な時間を過ごされてみてはいかがでしょうか。新しく常連さんに加わるのも悪くないかも知れませんよ。

[2019年9月22日訪問]

チタチタ喫茶
●住所…京都市中京区横鍛治町98
●TEL…不明
●定休日…水曜日
●備考…喫煙可
●ホームページ…twitter

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