絶品親子丼が食べられる鶏料理専門店

和食編
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八起庵 京都髙島屋店

幕末の時代、政治を変えようと京都を中心に活躍した坂本龍馬は軍鶏鍋、いわゆる鶏鍋や水炊きが好物であったと伝えられています。一般的に江戸時代までの日本では仏教信仰により、一部の例外を除き獣肉は食べられていませんでした。しかし鳥の肉はおおっぴらには食べられていなかったものの“獣は四本足だが鳥は二本足なのでセーフ”という謎理論で意外と食べられていたようです。もちろん仏教の戒律では四本足だろうが二本足だろうがご法度なのですが。京料理でも椀物や焼き物で鶏や鴨、ウズラ、スズメ、鶴などが使われ、特に富裕層は好んで食べていました。そんな食文化を背景に、京都では明治時代から鳥料理店が急速に発達します。中でも味が良く繁殖しやすく歩留まりもいい鶏は食肉の中心となり、多くの鶏料理専門店が誕生。現在でも京都にはさまざまな鶏料理の名店が存在します。そんな名店の1軒が京阪「神宮丸太町駅」近くにある「八起庵 丸太町本店(以下、本店)」です。1970年(昭和45年)の開業以来、鶏料理専門の高級料亭として多くの京都人に愛されてきました。名物の「鳥の水炊き」は¥9,000と庶民には縁のない価格設定で、店構えも管理人のような貧乏人が入れる雰囲気ではありません。しかし本店が京都高島屋に出店している「八起庵 京都髙島屋店(はちきあん きょうとたかしまやてん)(以下、八起庵)」なら、ギリギリ利用できる価格です。そこで今回は、久しぶりに京都高島屋まで出かけてみました。

7階のレストラン街「ダイニングガーデン京回廊」の中にある八起庵。本店とはメニュー構成がまったく異なり、比較的リーズナブルな価格設定となっています。ちなみにレストラン街にはさまざまな飲食店が営業していますが、どのお店も特に和食店は高級な価格で初訪問の方は驚かれるそうです。その中でも八起庵は低価格で飲食できるお店だと思います。時刻は19:45、早速店内へ入ってみましょう。

支店と言えども名店だけあって、高級そうな店内です。奥にはテーブル席があり、お一人様は手前のカウンター席に誘導されます。こちらは20:45ラストオーダーレストラン街自体、お客さんはまばら。しかしランチタイムともなれば、どのお店にも行列ができているほどで、管理人は何度かレストラン街でのランチに挑戦したもののすぐに諦めていました。夜の方が混雑は緩和されていますので、夜の食事が狙い目かも知れません。ではメニューを確認してみましょう。

ランチメニューの延長線上のようなメニューラインナップです。本店が誇る「鳥の水炊き」などの高額メニューは用意されていません。逆に本店にはない(軍鶏丼はある)ものの、こちらでは昼夜を問わずいただけるのが「こだわりの親子丼(お味噌汁・香物付)」¥1,650です。鶏専門の料理店が多い京都では親子丼もかなり浸透していて、ほぼ親子丼のみを売りにしているお店もあるほど。それだけに京都人は親子丼にも異常にうるさく、まずい親子丼を食べると殺される勢いで文句をつけるイヤな方もいらっしゃいます。管理人は京都人としては異端視されている他人丼&カツ丼派ですので親子丼にこだわりはあまりありません。しかし名店・八起庵の親子丼と聞けば興味はあります。そこで今回は当ブログ初掲載となる親子丼をREPORTしようと「親子丼と小鴨なんばセット(香物付)」¥2,343を注文してみました。

黄色が鮮やかな親子丼と小鴨なんばのセットが到着。ちなみに「小鴨なんば」とは食べてみてわかったのですが、鴨(合鴨)のひな鳥の肉ではなく、おそらく鴨なんばの小という意味でしょう。「鴨なんば(小)」と記載する方が正確ではないでしょうか。このメニューが運ばれてきた際、店員さんから“親子丼には粉山椒を、鴨なんばには粉山椒と黒七味をお使いください”とアドバイスをいただきます。

赤い容器が粉山椒、黒い容器が黒七味です。この“粉山椒推し” はやはり京都のお店。七味や一味よりも粉山椒を好む京都人の特性をよく理解されています。この件に関しては、管理人も主流派の粉山椒派。世間では粉山椒をうな丼やうな重にしか使わないそうですが、玉子とじの丼にはたいてい粉山椒がよく合います。うどんや蕎麦には七味ですけどね。まずは「こだわりの親子丼」からいただきましょう。

まろやかなダシの味わいと鶏肉の旨味、とろける玉子のコクが絶妙な親子丼です。玉子の火の通り具合も文句なし。やさしい味わいながら濃厚さもあり、上品ながら食べごたえもある逸品です。そしてやはり特筆すべきは鶏肉。鶏肉独特の匂いや臭みなどは一切なく、皮は甘く身はジューシーな味わい。薄味のダシで煮て玉子でとじただけとは思えないおいしさです。こちらの親子丼だけでも食べる価値はあるでしょう。ただし、普段はお店への文句をできるだけ控えている管理人ですが、こちらは名店ですので1つだけ指摘させてください。それは“なぜ鳥スープを付けないのか”ということ。本店ではすべての料理にお店の命とも言うべき鳥スープが付くハズです。百歩譲って鴨なんばとのセットは汁物がかぶるため鳥スープが付かないのも理解できます。しかし「こだわりの親子丼(お味噌汁・香物付)」は味噌汁ではなく鳥スープにすべきではないでしょうか。“八起庵”の名を冠しているすべての店舗で、あの絶品鳥スープを提供していただきたいと勝手ながら要望します。

続いて「小鴨なんば」、こちらでは蕎麦ではなくうどんです。管理人はいつになったら温かい蕎麦の鴨南蛮をいただくことができるのでしょうか。こちらの凄さはやはりダシ。蕎麦ではなくうどん用に塩味を抑え、あっさり上品でいて濃厚な味わいに仕上げられています。うどんは細めで柔らかめの京風うどん。山椒&黒七味がアクセントとなり、うどん専門店にも劣らないおいしさだと感心しました。

合鴨肉は地鶏に似た風味と味わいながら、鶏にはないコクのある旨味が口いっぱいに広がります。一般的な合鴨肉のような野性味はありませんが、その分クセもなく万人に受け入れられるおいしさではないでしょうか。鶏料理の名店だけあって、ひと味もふた味も想像の上をいく味を堪能することができました。四条河原町近辺まで来られた方は、ぜひ京都高島屋の7階にあるこちらまで足を運ばれ、鶏料理の真髄をお楽しみいただければと思います。

[2019年12月4日訪問]

八起庵 京都髙島屋
●住所…京都市下京区真町52 京都高島屋7階(Google マップ
●TEL…075-252-7944
●定休日…不定休(京都高島屋に準ずる
●備考…禁煙
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