90年の歴史を誇る河原町三条のティーサロン

喫茶店・カフェ編
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ティーハウス リプトン 三条本店

管理人はコーヒー党で紅茶はあまり飲みません。なぜか…と考えると生まれ育った家庭環境にあると気づきました。普段から当たり前のように紅茶を飲む上流階級の家庭ではなく、せいぜいたまーにどこからかいただくティーバッグを飲む程度。しかも子どもの頃は勝手に飲むことは許されず、母から許可があった時だけ飲める特別なものだったと記憶しています。ミルクとグラニュー糖をたっぷりと入れたミルクティーはまさに至福の味わいでした。ただ悲しいかな紅茶を飲む習慣を得るまでには至らず、気づけばコーヒーばかり飲む太った中年となった現在。年末という浮かれモードでもあるため、久しぶりに紅茶を飲もうと河原町三条までやってきました。

三条通河原町通の交差点(河原町三条)を西側に見える「三条名店街」。常に観光客などで賑わうスポットです。「三条名店街」を西へ100mほど行くと「ティーハウス リプトン 三条本店」が見えてきます。こちらの創業は1930年(昭和5年)で、来年2020年(令和2年)8月には91年目を迎えられる老舗喫茶店です。創業当時の写真はこちら。

メニューに掲載されている開業当時の店舗です。

イギリスにある「リプトン」の本社直轄喫茶部 極東支店として開業されたのが始まりだとか。紅茶のシェア世界No.1のリプトンティーバッグでもお馴染みですね。戦前に東京ではなく京都の「三条名店街」で生まれ、現在まで多くのお客さんに紅茶や軽食、スイーツなどを提供されています。また、昭和のお店らしく洋食にも力を入れておられ、その味は折り紙付き。喫茶店ですのでお一人様でも入りやすいものの、常にお客さんで賑わっていて席はあるかな〜と平日の19:15に訪問してみました。

相変わらず混雑していますが幸い2名テーブル席が空いていましたのでスンナリ着席できました。まるで英国貴族のサロン(?)のような店内には、紅茶やケーキなどの洋菓子を販売するコーナーも併設されています。ゆったりとした造りのイスに腰掛けただけでリッチな気分になるのもこちらの特徴です。定員さんもきっちりとした制服姿で伝統と格式が感じられます。ではメニューを確認してみましょう。

支払い時のレシートを見ると「Side A」と記載されたテーブルチャージ¥300が必要なようで、決して安くはない価格帯のお店ですが、たまにはプチ贅沢気分を味わうのも悪くはありません。何を食べようかな〜と悩んだ末に決めたのは「12月のこだわり洋食」で期間限定の「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」¥2,000。洋食どころか古典的なフランス料理です。パンかライスを選べるのですが、いつもの洋食感覚で反射的にライスを注文してしまいました。赤ワイン煮込みやシチューならパン1択でしょう。なぜなら残ったソースを最後までキレイにいただくにはパンでぬぐうのが最適だからです。店内のエレガントさにすっかり冷静さを欠いていました。こんなところでも生まれ育ちが影響します。皆さんは赤ワイン煮込みやシチューを注文される際、必ずパンを選択してください。

「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」が到着しました。付け合せはマッシュポテトと蕪のロースト。旬の蕪を使うあたりはさすが老舗店と言えるでしょう。フランス料理では意外と蕪を使います。大根と比べて大地の風味を感じさせる蕪は、フランス料理の濃厚なソースと相性抜群。今回はライスを注文してしまった以上、マッシュポテトと蕪のローストでどうにかパンの代わりにソースを使い切らなければいけません。蕪の土臭いどこか郷愁を誘う味わいと赤ワイン煮込みのソースが絶妙なおいしさです。まずソースが凄い。赤ワイン煮込みと言いながらデミグラス系のビーフシチューのような料理を提供する店が多い中、こちらは赤ワインの味がしっかりと楽しめる本物の赤ワイン煮込みです。赤ワインのふくよかな旨味と独特の渋味に牛肉や香味野菜のフォン(ダシ)で重層的な味わいとなっています。赤ワインを贅沢に使われているのがわかる、フランス料理の基本とも言えるソースではないでしょうか。

牛ほほ肉も素晴らしい仕上がりです。口の中でとろける柔らかさの牛ほほ肉は、中までしっかりと赤ワインの風味が活きている逸品。肉質も良く、煮込み料理のひとつの完成形だと感心しました。赤ワイン煮込みは大前提として牛肉や野菜を赤ワインで数日間漬け込み、なおかつ数時間かけてコトコトと煮るシンプルな料理です。シンプルながら手間暇のかかる料理で、素材の良さと丁寧な調理ができれば誰にでも作れるものの実際にはかなり面倒。さらに調理する人のセンスも試される難しい料理でもあります。管理人も自宅で何度か牛スネ肉や牛ほほ肉を購入して作ったことはあるのですが、シンプルな料理だけに味付けがなかなか決まらず苦戦した経験があるほど。やはりプロの技術と経験、センスには敵いません。こちらで本物の赤ワイン煮込みをしっかりと堪能することができました。

食後にはもちろん紅茶です。今回は王道の「ロイヤルミルクティ(Hot)」¥770を注文しました。紅茶の茶葉をお湯、ホットミルクで煮出すスタイルの「ロイヤルミルクティ」、おそらくインド料理でお馴染みの「チャイ」から着想を得られたのでしょう。暑い地域のインドではシナモンなどのスパイスを効かせたチャイが人気ですが、スパイスを入れないことで茶葉の風味や香り、ミルクのコクや甘みが堪能できる「ロイヤルミルクティ」が生み出されたのだと思います。ちなみ「ロイヤルミルクティ」は日本生まれ。しかも京都。そうです、こちらの「ティーハウス リプトン 三条本店」が「ロイヤルミルクティ」発祥のお店だと言われています(諸説あり)。一般的なミルクティーに比べて濃厚で芳醇なコクと香りは「ロイヤルミルクティ」ならではの贅沢で気品のある味わいです。そんな「ロイヤルミルクティ」や洋食、洋菓子などで、年末年始のひとときを貴族風に過ごされてみてはいかがでしょうか。

[2019年12月20日訪問]

ティーハウス リプトン 三条本店
●住所…京都市中京区石橋町16(Google マップ
●TEL…075-221-3691
●定休日…なし
●備考…禁煙
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