リーズナブルでも上質な味を楽しめる四川料理店

中華編
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中国料理 花凜

かつてフジテレビ系テレビ番組「料理の鉄人」で中華の鉄人として活躍された陳建一さんが2023年(令和5年)3月11日、お亡くなりになられました。享年67歳。NHK「きょうの料理」の講師としても有名で、日本に四川料理を浸透させた偉大な料理人のその早過ぎるご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。お父様は日本における四川料理の第一人者で“四川料理の父”と呼ばれた陳建民氏。陳建民氏が日本に四川料理を広め、そのご子息である陳建一さんが日本の四川料理を確固たる地位にまで高められた言っても過言ではないでしょう。「料理の鉄人」マニアの管理人は番組開始当初から陳建一さんの料理をテレビ画面を通じて拝見しており、いずれは本店格である「四川飯店 赤坂」に伺いたいと思っていたものの、中華の鉄人ご存命中に実現することはできませんでした。ただ、「料理の鉄人」放映以降、日本での中華料理店の主流であった広東料理店以上に四川料理店が増加し、どこでも気軽に四川料理を食べられることができるようになったのは、陳建一さんの影響と考えて間違いありません。日本に根付いた四川料理の代表は麻婆豆腐とエビチリ、担々麺ではないでしょうか。中でも麻婆豆腐は、四川料理が本場にも関わらず、日本では広東料理店、いわゆる昔ながらの町中華店や大衆中華店のものが大勢を占めていました。しかし、四川料理店が増えると本場に近い味わいの麻婆豆腐に触れる機会が多くなり、痺れる辛さ「シビカラ」のおいしさが広まったように思います。広東料理系の旨辛な、甘さ強めで辛さ控えめな麻婆豆腐もおいしいですが、オトナにはチトもの足りない。花椒などスパイス香るピリ辛な麻婆豆腐は、辛いのが得意ではない管理人ですら、たまに食べたくなる中毒性があります。そこで今回は、四川料理の麻婆豆腐をいただこうと、銀閣寺方面へ向かいました。

今出川通白川通の交差点(白川通今出川)を西へ310mほど行ったところにある「中国料理 花凜(ちゅうごくりょうり かりん)」。2022年(令和4年)12月に移転開業されたお店で、以前は京都市伏見区で営業されていました。ネット情報ではホテルのシェフをされていた人が独立されたお店のようです。現在地に移転されてからは管理人にとって初めての訪問となりますが、京都市伏見区時代と同様なら本格派ながら日本人の好みにも合う四川料理の数々をいただけるでしょう。こちらの営業時間は、昼は11時〜ラストオーダー14:30、夜は17時〜20:30と遅めのランチにも対応。叡電「元田中駅」から徒歩17分、京阪「出町柳駅」から徒歩18分程度ながら京都市バスの利用ならバス停「北白川」から徒歩2分、「銀閣寺道」から徒歩4分、「京大農学部前」から徒歩5分程度と、哲学の道散策や銀閣寺観光がてらなどであれば便利ではないでしょうか。時刻は13:30、早速店内へ入ってみましょう。

オープンから4ヵ月ほどだけあって清潔感あふれる店内は中華店とは思えない上質なカフェのような空間です。1階は2名テーブル席5卓と4名テーブル席1卓となっていて、お一人様も数名利用されていました。イスも座りやすく、高級店のようにくつろげます。デートはもちろん、ハレの日にも利用できるでしょう。ランチとしては遅めの時刻にも関わらず、7割程度の客席が埋まっており、すでに人気店となっているようです。店内の雰囲気から察するに価格も高級かも…と、少し不安がよぎるかも知れませんが、とてもリーズナブルですのでご安心ください。ではメニューを確認してみましょう。

ランチメニューの「花凜特別弁当」¥2,200はプチ贅沢にはピッタリの価格ですが、その他の定食類は¥1,000前後でいただけます。個人的には麻婆豆腐の焼きそばが大好物なこともあり「麻婆焼きそばセット」¥1,250にそそられるものの、今回は麻婆豆腐を純粋に味わいたいため「四川麻婆豆腐ランチ」¥1,100に決めました。本格的な麻婆豆腐の定食がデザートの杏仁豆腐まで付いて¥1,000ちょっとは、かなりお値打ち価格です。「日替わりランチ(訪問日は回鍋肉でした)」や「唐揚げランチ」に至っては¥1,000でオツリが来る価格となっていて、しかも全ランチメニューのご飯・スープはおかわり自由と、破格のお得さではないでしょうか。食べ盛りの若者や中高年も思わずニッコリ。管理人はおかわり厳禁を自らの戒めとして生きていますので、逆におかわり自由のお店は呪ってやりたいほどの恨みしかありませんが。では歯ぎしりしながら「四川麻婆豆腐ランチ」を注文してみましょう。

「四川麻婆豆腐ランチ」が到着。これはもう勝ったも同然のビジュアルです。花椒の良い香りが鼻腔をくすぐります。まずはスープをひとすすり。あぁ…これは上品で高級中華店の味わいです。さまざまな旨味を感じられるやさしいリッチな味に食欲も高まります。ではでは、麻婆豆腐をいただきましょう。

贅沢な味わいです。豆腐とたっぷりの豚ひき肉のおいしさに、重層的かつ複雑な旨味の餡にピリ辛な味付けとなっています。辛味は激辛ではないものの、それなりに辛さを感じられるレベル。辛いのが得意ではない管理人でもギリギリ大丈夫ですが、子どもにはちょっと厳しいかも知れません。ただ、本場四川料理のシビカラほどではありませんので、オトナなら十分楽しめるのではないでしょうか。この適度な辛さがあってこその四川の麻婆豆腐です。そしてもちろん、ご飯のオカズとしても最高と言えるでしょう。

オン・ザ・ライスで麻婆豆腐の威力がさらに発揮されます。ただただ旨い。この麻婆豆腐の旨味と辛味がなせるおいしさです。ご飯と食べると改めて豚ひき肉の肉味噌の重要性がわかります。豆腐の典雅な味に肉味噌の旨味が補強され、これが麻婆餡のベースとなっている旨味や辛味と絶妙にマッチしているのです。湯豆腐などとは異なる、豆腐の新たな実力を世に知らしめた麻婆豆腐は、日本の食文化の発展に大きく貢献した料理と断言できます。

食後の杏仁豆腐はなめらかでサッパリとした、甘さ控えめな味わい。濃厚でピリ辛な中華の後のデザートとしては最適です。口の中がリセットされます。こちらで日本人にも食べやすい四川の麻婆豆腐を堪能することができました。気がつけば京都市内でもあちらこちらで桜が満開に。桜咲く春は卒業の季節です。卒業は現在では主に学校などで教育課程を修了した際に使われていますが、もともとは仏教用語で“業(カルマ)”を“卒(終える)”という意味なんだとか。日本における四川料理の普及と発展に尽力された陳建一さんは、この世での使命をまっとうされ、天国へ旅立たれたのでしょう。そしてあちらでも大きな中華鍋を振るいながら親子でおいしい四川料理を作られているに違いありません。陳建民陳建一親子の四川料理は、日本でも大勢の料理人によって受け継がれ、満開の桜のように花開くことを願ってやみません。

[2023年3月25日訪問]

中国料理 花凜
●住所…京都市左京区北白川久保田町60-21(Google マップ
●TEL…075-744-6507
●定休日…木曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…Instagram

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