歴史ある花街に佇む京都らしいうどん・蕎麦店

和食編
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上七軒 ふた葉

京都市内には現在、6地域の花街が存在しています。“花街”についての解説は大学生の卒業論文レベルのボリュームになると思われますので、現状をごく簡単に説明すると、芸妓・舞妓遊びができるお店が集まっている地域、と言えるのではないでしょうか。管理人は粋に遊ぶ文化についてはまったく詳しくありませんが、例えるなら和の高級キャバクラ店が集まっている地域というイメージなのかも知れません。スミマセン、そもそもキャバクラにも何ひとつ詳しくないため、完全に想像となります。なので管理人にとっての“花街”は、いにしえから続く大金持ちが粋に遊ぶエリア、という印象しかありません。当然、京都人であっても花街に足繁く通う、なんてことも無縁のハナシとなります。逆に“花街”と聞いて鼻の下を伸ばす人は、かなりの年配者でしょう。ただ、花街は総じて古くからの文化が受け継がれている地域ですから、それなりに歴史ある飲食店が多いのも事実です。もちろん大金持ち率が高い地域ですので、高級飲食店も必然的に多くなるものの、全部が全部、管理人では手が出せないような高級店ばかりではありません。そこで今回は、北野天満宮近くにある花街・上七軒にあるうどん・蕎麦店へ向かってみました。

七本松通今出川通の交差点(上七軒)の西北西に、進行方向に一方通行の上七軒通があり、100mほど行ったところにあるうどん・蕎麦店「上七軒 ふた葉(かみしちけん ふたば)」。この通りだけ一般的なアスファルトとは異なる石畳風の地面で、情緒ある花街の雰囲気ですが、皆さんお気づきだろうか。この上七軒通、実は電柱や電線などが一切ないことを。これは同じ花街である祇園エリアなどと同様、電柱や電線が見えないようにする無電柱化事業で、上七軒通は2012年(平成24年)に整備されたそうです。花街ではない観光地やオフィス街なども少しずつですが無電柱化は進められているらしく、電気などのインフラは生活では欠かせないものの、電柱や電線などが見えない風景はスッキリとして粋に感じますね。当ブログでもようやく京都らしい雰囲気の風景をお見せできたところで、店頭の写真もご覧ください。

おもむきのある外観です。こちらは1929年(昭和4年)創業と100年近い歴史があり、老舗の雰囲気が外観からも醸し出されています。花街にも馴染んでいて、地元の人だけでなく観光客にも人気のお店ではないでしょうか。ちょっと入りにくそうな感じがしないでもありませんが、街のうどん・蕎麦店ですので大丈夫。お一人様でも安心して利用できます。営業時間は11時〜ラストオーダー16:45(売り切れ次第終了)と通し営業ですので、遅めのランチにも便利です。時刻は14時、まずは店頭のメニューを確認してみましょう。

冷たいうどん・蕎麦も用意されていて、まだまだ残暑が厳しい日々にもうれしいメニューが揃っています。こちらで人気なのは「にしんそば」¥1,000や「けいらん」¥850、「しっぽく」¥850などでしょうか。価格的には高級店が多い地域にあって、普段使いしやすい一般的な料金設定だと思います。うどん・蕎麦店ですのでうどんと蕎麦を食べるお客さんが多いものの、今回のお目当ては丼。とりあえず店内へ入ってみましょう。

清潔感はありながら民芸調の店内。4名テーブル席4卓と4名程度が座れる小上がりの座敷が5席と、思った以上に広い収容人数です。ランチとしては遅めの14時にも関わらず、3名ほどのお一人様が食事をされていました。訪問した日の客層については見た目だけの印象ですが、観光客というよりは地元のミドル・シニアが多い感じです。では改めてメニューを確認してみましょう。

メニュー表もありますが、注文するとすぐ店員さんに下げられる奥ゆかしいシステムです。管理人の学生時代、アルバイト先の喫茶店チェーンでもそうだったのですが、このメニュー表を卓上に置かず、水やおしぼりなどと一緒に渡して注文と同時に下げるのは、正直どうなんだろう?と常々疑問でした。別に当ブログでメニュー表を撮影しづらいからということではなく、単純に“誰得?”と思ってしまうのです。客の立場で言えば、例えば食事中に追加注文したいと思っても、メニュー表がなければ何となく注文しづらいように感じてしまいませんか?少なくとも管理人はたまに思います。これは店側にとっても機会損失となり、客・店双方にメリットがないと考えてしまうのです。一方、メニュー表を注文時に下げる場合、客にも店にもどのようなメリットがあるのか、まったく思い付きませんでした。あえて考えられるとすれば、メニュー表が1〜2冊しかなく、卓上に設置すると多くのお客さんが来店した場合に対応できない、といったことぐらいでしょうか。そんなバカな。メニュー表が1〜2冊しかない店なんて見たことがありません。メニュー表を下げるスタイルの飲食店関係者がもしこのブログをお読みなら、ぜひメニュー表を下げるメリットをお教えいただければと存じます。サテ、本日は京都人である管理人が幼い頃から大好きだった食べ物をいただきます。うどんや蕎麦ではなく、丼。他の都道府県でもポピュラーなのかどうかはわかりませんが、古くからの京都人なら「玉子丼」¥980は慣れ親しんだ丼ではないでしょうか。そして「玉子丼」の発展形として、京都では「親子丼」¥1,050や「衣笠丼」¥1,050など、さまざまな丼が生まれ、京都庶民の味として今も人気です。ただ、当ブログを熱心にお読みいただいている人でも、さすがにお忘れでしょうが、管理人は「他人丼推進委員長(自称)」として、「他人丼」¥1,100のことを1日たりとも忘れず生活していました。そう、「玉子丼」の発展形として、肉類の中でも関西では最もありがたがられる牛肉を使用しながら信じられないぐらいにマイナーな「他人丼」にスポットを当てたい。一般的には「牛とじ丼」の名前で…と当ブログで書いたりしているものの、個人的には「他人丼」と「牛とじ丼」は別物である、と力説しておきます。とりあえず久々の登場となる「他人丼」を注文してみました。

「他人丼」が到着。副菜の高野豆腐の煮物は精進料理の代表選手であり、京都人も子どもの頃から食べてきた定番の惣菜(おばんざい)です。そしてメインの「他人丼」の玉子のフワフワ具合たるや!「玉子丼」同様、このスクランブルエッグのような玉子が、京都では昔から主流のスタイルです。“「他人丼」と「牛とじ丼」は別物”説も玉子のとじ方の問題で、黄身と白身がマーブル模様のように半熟でとじられているのが「牛とじ丼」、このフワフワ玉子なのが「他人丼」と個人的には定義しています。では早速いただいてみましょう。

上品なダシでとじられたフワフワ玉子が京都の味。玉子と牛肉以外の具はシンプルに青ネギのみ、と思いきや、少しだけタマネギも入っていました。この少しのタマネギが甘さを補完しているようです。ダシの風味と玉子のコク、青ネギの香りも渾然一体となった典雅な味わいです。そしてデフォルトでかけられている粉山椒も良いアクセント。幼児の頃は「玉子丼」が一番好きだったなぁ〜と少し懐かしく感じながら、皆さんお待ちかね?の牛肉もいただきますよ。

フワフワ玉子の下にたっぷりと入っている牛肉もダシ仕立てで濃厚な旨味はありながら、上品そのものの味わいとなっています。牛肉自体は赤身多め・脂少なめではあるものの、牛肉自体が柔らかく、サッパリといくらでも食べられそう。甘塩っぱい味付けの「他人丼」や「牛とじ丼」もおいしいのですが、京都人が昔から食べ慣れているこちらのようなダシが効いた薄味の「他人丼」もぜひ試していただきたいと思います。花街にあるお店らしい、雅な味の「他人丼」を堪能できました。こちらは嵐電「北野白梅町駅」から徒歩11分程度と交通アクセスもさほど不便ではありませんので、北野天満宮への参拝など観光ついでにでも立ち寄られてみてはいかがでしょうか。もちろん大金持ちなら上七軒で粋に遊ぶ際にでもご利用ください。管理人は花街で遊んだことがないので、テキトーにオススメしていますが。

[2023年9月4日訪問]

上七軒 ふた葉
●住所…京都市上京区七本松西入真盛町719(Google マップ
●TEL…075-461-4573・075-461-7969
●定休日…水曜日および不定休(水曜が25日天神さんの縁日の日は営業。代休あり)
●備考…禁煙
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