とんかつ専門店 とん吉
街の精肉店、いわゆる“お肉屋さん”の揚げ物っておいしいお店が多くないですか?コロッケは言うに及ばず、管理人がオススメするのはトンカツです。理由は2つあり、1つ目はしっかりと手当された豚肉が手に入るから。自分の店で精肉にする訳ですから当然ですね。2つ目は豚を解体する際に出る不要な脂を揚げ油として使えること。ラードやヘッドといった脂は売り物としても安く、そもそも一般家庭でラードやヘッドはほとんど使わないため、大量に余ります。それに水を加えて熱すれば、極上の揚げ油に大変身。近年の健康志向で飲食店の揚げ油もキャノーラ油やべに花油などの植物性オイルが多く使用されるようになりましたが、味の面ならラードやヘッドに軍配が挙がります。しかし最近では洋食店やトンカツ専門店でも揚げ油に植物性オイルを使う店が増えてきました。ラードやヘッドが身体に悪いという説自体、相当あゃしぃにも関わらず。そんなラードやヘッドを頑なに使い続けて40年以上の歴史をもつ人気店が「とんかつ専門店 とん吉(とんかつせんもんてん とんきち)」です。
「とん吉」と聞くと思わず“に…にいさん!”と言いたくなる、管理人にとってはなぜかとても親しみが感じられる店名です。白川通と曼殊院道の交差点を西へ100mほど行ったところにあり、一乗寺ラーメン街道や詩仙堂などからも徒歩圏内。管理人が物心ついた頃にはすでに営業をされていましたので、営業年数は確実に40年を超えているでしょう。現在は大将とご子息の親子鷹で切り盛りされているようで、名店だけに後継者がいらっしゃるのは喜ばしく感じます。22時営業終了で30分ぐらい前までに入店すればほぼ断られることはありません。時刻は21:30、急いで店内に入ってみましょう。
実は管理人が本日最後の客でしたので、お会計直前にはお客さんがほとんどおらず店内を撮影できましたが、入店した時はカウンター2席のみあいている状態でした。相変わらず人気店だなぁ…と感じながら改めて客層を見ると、ミドル世代と若い人たちがほぼ半々。学生街ですがそんなに安いお店ではないにもかかわらず、こちらのトンカツの魔力に老若男女が虜となっているようです。実際、若い女性のお客さんも多く、お店の実力を伺い知れます。ではメニューを確認してみましょう。
当然、トンカツがメインです。一品メニューの「生姜焼き(ダブル:¥1,200・シングル:¥750)」や「味噌焼き(ダブル:¥1,200・シングル:¥750)」、「とんステーキ(味噌焼き 又は 生姜焼き)」¥1,200、各種コロッケやエビフライも人気ですが、初めての訪問であればトンカツを味わってみてください。今回はこちらではスタンダードなメニューの中から「こんびエル定食(トンカツとコロッケ)」¥1,100を注文してみました。定食メニューは全品「ご飯、とん汁付き」ですのでお得ですよ。
ドーンとボリューム満点、Lサイズな「こんびエル定食(トンカツとコロッケ)」が到着しました。揚げられたトンカツとコロッケから香ばしい匂いが立ち込め食欲をそそります。これもラードやヘッドなどで揚げられた効果です。植物性オイルでこれほど豊かな香りがするのはゴマ油ぐらいではないでしょうか。江戸前の天ぷらが格段においしいのも、上質なゴマ油を贅沢に使って揚げているから。植物性オイルを使った軽い仕上がりのトンカツも悪くはありませんが、パンチの効いた昔ながらのトンカツはラードやヘッドで揚げないと作れません。まずはとん汁をひとすすり。濃厚で少し甘めの味噌味に豚コマの脂がよく合います。こちらのとん汁には最初から粉山椒が振ってあるのも特徴で、粉山椒の鮮烈な香りとわずかなピリ辛がとん汁の味わいを増幅させている逸品。そしてコロッケはバターを贅沢に使ったジャガイモの旨さがダイレクトに味わえるポテトコロッケです。これはもうビールでしょう。ノンアルコールビールを置いているかわからなかったため注文しませんでしたが、ダメ元で尋ねればよかったと激しく後悔しました。付け合せのサラダで口をサッパリとさせ、いよいよトンカツへ向かいます。
ちょうどいい肉厚のロースカツの脂が甘い!ラードやヘッドで揚げられているため、風味も旨味も強調されている絶品トンカツです。さらに特筆すべきはソース。一般的なウスターソースやトンカツソース、デミグラスソースではありません。お店オリジナルの秘伝のソースでもちろん門外不出なのでしょうが、例えればウスターソースとダシ醤油、ポン酢醤油を混ぜ、おろしタマネギで甘みを整えたようなイメージです。濃厚ながら甘酸っぱい不思議な味わいで、これがトンカツ、そしてご飯によく合います。個人的にはご飯に一番合うトンカツだと思っているほど。トンカツ自体も柔らかでジューシーな旨味を存分に堪能できる逸品です。
以前REPORTした「とんかつ処 おくだ」とともに、京都市内で5本の指に入るトンカツ店ではないでしょうか。決して上品な味ではなく、庶民のご馳走的な奥深い味わいが、現在でも多くのリピーターを生み出している理由のように感じました。揚げ物が苦手な方にはオススメしませんが、昔ながらの本物のトンカツのおいしさがここにはあります。トンカツや揚げ物がお好きな方なら、ぜひ一度訪問してみてください。必ずもう一度食べたいと思うハズです。
[2019年6月18日訪問]
とんかつ専門店 とん吉
●住所…京都市左京区一乗寺宮の東町51-5
●TEL…075-721-0619
●定休日…木曜日
●備考…店内喫煙可(?)
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「とん吉」で検索してください。
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