関西風の香ばしい鰻がいただける鰻和食店

和食編
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碓屋

管理人は鰻が大好きです。どれぐらい好きかと言うと、お金さえあれば毎日でも食べたいぐらい大好きで牛丼チェーン店の鰻でもなくおいしくいただけます。しかし本音を言えば鰻は鰻屋で食べたい。なぜなら鰻屋独特の上質な空間が流れる雰囲気も好きだから。和食店や寿司店よりも気軽に入れるものの、上品なお客さんしかいない絶妙なポジションを確立しています。鰻を食べる人に頑固そうな人や気難しそうな人はいっぱいいますが、下品な人は滅多にお目にかかれません。そして価格面。“鰻は高い”イメージがあるものの、実際には一般的な鰻屋の鰻丼ならだいたい¥2,000前後で収まり、しかもその一品で満足できます。もちろん鰻職人の存在も重要です。いくら質のいい鰻でも焼き方が下手だと魅力は半減。鰻を専門に扱う職人だからこそ出せる味は確かにあり、それこそ鰻屋の真価と言えるでしょう。そこで今回は京都三条会商店街にある「碓屋(うすや)」へ伺いました。

管理人は7〜8年前、ほぼ毎週にように京都三条会商店街へ通っていましたが、その当時にはなかったお店です。オープンは2015年とまだ最近のお店ながら、ランチタイムなどには上品なマダムやダンディー、そして若い観光客などで満員状態となります。管理人も以前からチェックはしていたものの、なかなか訪問することができませんでした。実は訪問した8月12日も特に目的もなく商店街をブラブラしていてお店の前で入店を決めた感じです。ただ、お昼は14時閉店で現在14時。ダメモトで入ってみると愛想のいい女将さんから“大丈夫ですよ”と言っていただいため、お言葉に甘えて入店しました。

上品なマダムお一人様が食事をされていましたが、さすがに閉店時刻だけあってお客さんはその1名のみ。清潔感があり落ち着いた町家カフェのような店内です。老舗の鰻屋は敷居が少し高く感じますが、こちらは若い人でも入りやすいと思います。入店時に女将さんから“丼しかできませんがよろしいでしょうか”と伺っていましたので、「うな丼(半身)」¥2,100を注文しました。念のため今後の参考としてお昼のメニューをご紹介しましょう。

こちらのお昼の一番人気は「ラ飯重」¥1,500です。「ラ飯重」は一の重に煮しめ、二の重にう飯(うなぎのまぜご飯)のセットメニューで、この「ラ飯重」を求めて連日お客さんで賑わう盛況ぶり。また、食事とセットで各種ケーキなどのスイーツも用意されていて、カフェっぽいのもうなずけます。もちろん正統派の「うな丼」も提供されていて、「上うな丼(1尾)」¥4,200もあり、鰻好きならペロリと食べられるでしょう。余談ですが、鰻屋の鰻重や鰻丼でランク付けされている“松・竹・梅”や“特上・上・並”などはすべて鰻の量の違いです。松・特上と梅・並は同じ品質の鰻であり、松は天然鰻で梅は外国産養殖物とかではありません。一番安い梅・並の鰻重や鰻丼であっても松・特上とまったく同じ鰻の蒲焼きですので、その日の食欲やお財布事情で選べばいいでしょう。

「うな丼(半身)」が運ばれてきました。まずは吸物をすすろうと手に取ると、ぷっくりとした肝が入った肝吸いです。一般的な鰻屋では肝吸いは別料金のことが多く、大抵は吸物か赤だしですので、肝吸いがデフォなのはありがたい心遣いではないでしょうか。あっさりとした上品な吸い地に肝の濃厚な味わいがたまりません。そして漬物。“鰻屋の漬物はおいしい”のは定説で、こちらのタクアンとウリの糠漬けも絶妙な味加減です。これは「うな丼」にも期待がもてます。

こちらのご主人は大阪の鰻屋で修行を積まれたそうで、蒲焼きは炭火焼きの関西風。関西風らしく炭火が薫るパリッとした香ばしい仕上がりで、鰻の旨味が凝縮された濃厚な味わいです。江戸前(関東風)のように蒸す工程はなく、ふわふわとした食感ではありませんが、しっかりとした食べごたえと鰻そのものを食べている野趣あふれるおいしさは格別でしょう。こちらでは国産の鰻にこだわられていて、伺った日は愛知県産の鰻だそう。また、米は甘みが強く日本で最も贅沢な米とも呼ばれる滋賀県産のえんこう米を使用されているなど、素材の一つ一つを吟味された「うな丼」をいただくことができました。

鰻の旬は厳密に言えば夏ではありませんが、夏は鰻を食べる機会が増えます。しかし天然ものに関しては数十年前からすでに幻レベルであり、国産の養殖物であっても生産量は減少の一途を辿っていて、価格も右肩上がりなのが現状です。これまで以上に庶民の口には入りづらくなってきていて、将来的には鰻そのものが食べられなくなる可能性もゼロではありません。比較的安価な外国産の鰻であっても大量消費することで鰻の稚魚の枯渇へとつながりますので、管理人も年数回の贅沢として鰻屋の国産鰻を楽しみたいと考えています。京都三条会商店街に来られた際、たまには少し奮発して「碓屋」で本物の鰻をぜひご堪能ください。

[2019年8月12日訪問]

碓屋
●住所…京都市中京区上瓦町58
●TEL…075-823-0033
●定休日…水曜日
●備考…禁煙
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