麺匠たか松 京都本店
京都ラーメンの主流と言えば現在は濃厚ドロドロの鶏白湯スープ、少し前までは豚骨醤油背脂チャッチャ系と、いずれも京都のイメージとはかけ離れたコッテリ味です。京料理に代表されるアッサリ味が好きなハズの京都人が、ことラーメンに関してはコッテリ味を好むのはまったくの謎。しかしアッサリ味のラーメンであってもおいしければ人気が出て繁盛店となるのが飲食店の難しいところではないでしょうか。今回は京都発祥で2011年11月に1号店(現:京都本店)を開業され、すっかり人気店となられた「麺匠たか松 京都本店(めんしょうたかまつ きょうとほんてん)」を訪問しました。

現在、京都市内に3店舗と大阪市内に2店舗を展開されていて、実は管理人の職場近くにも「心斎橋店」があります。わざわざ京都でREPORTしなくてもいいのでスルーしていたのですが、「京都本店」と「四条店」で夏季限定の「冷やし貝だしらぁ麺」(並盛:¥880、大盛¥980)を提供されているのを発見。各種のイベントに出場・受賞されている有名店の冷たい麺をいただかなければ!と考え「京都本店」に伺いました。時刻は22時、早速店内へ入ってみましょう。

月曜日にも関わらず店内はお客さんで混雑しており、ほぼ満席状態でした。烏丸蛸薬師の交差点を西へ100mほど行ったところにあり、繁華街だから混雑しているという訳ではありません。現に訪問当日の周辺は多くの店舗が閉店していて人通りもまばら。その人の少なさを狙っての訪問にも関わらず、数軒の飲食店だけが混雑している雰囲気でしたので、こちらの人気が伺い知れます。注文は券売機で食券を購入するスタイルですので、券売機のタッチパネルからメニューを確認しましょう。

こちらの人気メニューは「つけ麺(鶏魚介)」(並盛:¥850、大盛:¥950、特盛:¥1,050)と「煮干し香るらぁ麺」(並盛:¥680、大盛:¥780)。「つけ麺(鶏魚介)」は上品なコッテリ味で、濃厚ながら意外とサッパリ食べられる看板メニュー。「煮干し香るらぁ麺」はアッサリ味ながらコク旨な煮干しの風味を楽しめる一品です。今回はもちろん「冷やし貝だしらぁ麺(並盛)」を注文してカウンター席へ向かいます。

「冷やし貝だしらぁ麺(並盛)」が到着しました。具はハマグリ、鶏チャーシュー、メンマ、煮卵、白髪ネギ、刻み大葉、梅肉で、ハマグリが貝ダシ感をアピールしています。梅肉は味変用で最初は普通に食べ、途中で梅肉をスープに溶いて味変するそうです。全体に軽く振られた粗挽きコショウの香りに食欲も高まります。まずスープからいただきましょう。

淡い琥珀色の“THE 貝ダシ”という感じの上品なビジュアル、ひと口すすると口の中いっぱいに貝の滋味深い味わいが広がります。冷たいスープなこともあり、貝のクセや磯臭さもまったく感じず、旨味だけをじっくりと味わうことができるおいしさ。もともとシジミやアサリなどの貝類は旨味成分が豊富で、貝の味噌汁や吸物(貝汁)はダシではなく水で作ります。こちらの貝ダシは麺に合うよう鶏ガラスープとブレンドされていると思いますが、貝の味が強く身体にもやさしい味わいがとても気に入りました。では麺をいただきます。

麺は細めのストレート麺でスルスル・ツルツルと何の抵抗もなく心地いい喉越しが絶品です。貝の旨味で脂っぽいしつこさがないアッサリとした味わいは、老若男女に好まれるでしょう。具のハマグリや鶏チャーシューもスープと麺によく合うおいしさです。あっさり味のラーメンは食べ進むにつれて少し単調になってしまいがちですが、味変用の梅肉で爽やかな酸味をプラスすると、不思議と食欲がまた湧いてくる感じがして、とても有効だと感じました。

食欲が湧いてきてしまったので「鴨の炙り丼」¥380を仕方なく注文します。こちらの鴨ロースは合鴨ロースで、鴨独特の野性味やクセはまったくなく、上等なソーセージのような味わいで食べやすくご飯にもよく合う一品。身肉の旨味と脂身の甘みで十分に満足できます。アッサリ味の「冷やし貝だしらぁ麺」にもピッタリなサイドメニューだと感じました。
飲食店激戦区の烏丸三条・四条界隈にあって、開業以来10年近く繁盛しているラーメン店です。観光でも商用でも立ち寄られる機会が多いエリアだと思いますので、お近くにお越しの際は京都らしいアッサリ味のラーメン各種を楽しまれてみてはいかがでしょうか。年中無休・23時まで営業されていて、飲んだ帰りの〆に「冷やし貝だしらぁ麺」を食べれば、翌日の二日酔いも少しは軽減されるかも知れませんね。
[2019年8月19日訪問]
麺匠たか松 京都本店
●住所…京都市中京区一蓮社町312
●TEL…075-252-8270
●定休日…年中無休
●備考①…「冷やし貝だしらぁ麺」は夏季限定
●備考②…禁煙
●ホームページ
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