115年の歴史が流れる京都の老舗食堂

和食編
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篠田屋

“794(なくよ)ウグイス平安京”でも知られる平安京(現在の京都市)は、794年(延暦13年)に遷都され、明治時代初頭まで千年の都として栄えていました。平安遷都から1200年以上たち、京都は奈良と並んで日本を代表する古都と呼ばれています。連綿とつむがれてきた歴史がある街なだけあって、古くから商売を営んでいる企業や店舗が多いのも特徴です。特に浮き沈みが激しく“つくりやすくてつぶれやすい”いわゆる水商売と呼ばれる飲食店でも、百年以上続いている老舗は珍しくありません。とは言え庶民的な価格の飲食店は景気の影響を受けやすく、また収益も薄いため、長く続けるのは相当に難しいと言えるでしょう。そんな中、百年以上営業されていて、今でも多くのお客さんで賑わっている奇跡の定食店・食堂「篠田屋(しのだや)」へ伺いました。

京阪「三条駅」から東へ50mほど行った、先日REPORTした「本格江戸前寿司 江戸京」の3軒隣にあるお店。創業は1904年(明治37年)と115年の歴史をもつ立派な老舗です。近隣オフィスのビジネスパーソンや観光客が訪れやすい立地なのは確かなものの、それだけで百年以上に渡り定食店・食堂を維持できる訳がありません。実際、営業時間中は昼夜を問わず混雑するほどの人気ぶり。京都の情報誌など各種メディアでも頻繁に取り上げられているほか、定食店や食堂にはやたら厳しい評価をつける「食べログでも3.57(2019年10月25日現在)と高得点を叩き出しています。とりあえず店頭のメニューを確認してみましょう。

知名度が高い名物料理としてまず「皿盛」¥750が挙げられます。簡単に説明するとカツカレーのカレー部分がカレーうどんのカレーに置き換わったもの。カレーカレーうるさいわ!詳細や誕生秘話については「HOT PEPPERグルメ」のコラム「メシ通」でしっかりと取材されていますのでご参照ください。次に「デラックス丼」¥800も人気メニュー。エビ天、牛肉、半熟玉子、青ネギで作られた鍋焼きうどんのうどんがご飯に置き換わった丼で、これが粉山椒とよく合う絶品丼。どちらも他店では食べられない「篠田屋」ならではのオリジナルメニューです。今回のREPORTでも当然このガッツリメニュー2種類のうち、どちらかを食べると思うでしょ?本当はどちらかどころか両方REPORTしたいところなのですが、ついさっきタルタルまみれになってきたところで本当に満腹なんですよ。そこで今回は「篠田屋」の一番人気「中華そば」¥550を求めて、店内へ入ってみました。

14:30入店。ランチタイムは15時までにも関わらず、8割程度の座席がお客さんで埋まっています。お客さんのほぼ半数は「中華そば」を注文。お店の雰囲気からミドルやシニア世代が多そうに見えますが、若い方もかなりいらっしゃいます。そしてこのご時世でも各テーブルには当たり前のように置いてある灰皿。灰皿がある(喫煙可)の時点で食べログのレビュアーの多くは当たり前のように「マイナス1〜2」の評価を無慈悲に下すことを考えれば、やはり3.57(2019年10月25日現在)の高得点は健闘されているように感じました。では早速、「中華そば」を注文します。

昔なつかしい、“ラーメン”ではなく“中華そば”のビジュアルです。コショウはデフォルトでたっぷりめにかけてあるのが篠田屋流。コショウが苦手な方は注文時に“コショウぬきで”とお願いしましょう。豚ロース肉が使われているチャーシューは小さめにカットされたものが5枚。赤身と脂身部分が混在していますが脂身多めがお好みなら注文時に“中華そば、白”、赤身多めが好きな方は“中華そば、赤”と言えばそれぞれ対応してくださいます。が、これは常連さんの注文方法です。初めて訪問される方は両方のおいしさを味わっていただきたいので、普通に注文してみてください。それではいただいてみましょう。

スープは強めの鶏ガラ&控えめな豚骨のダブルスープで、心持ち強めの醤油味が食欲をそそります。幼児の頃に近所の食堂で食べたあの中華そばの味わいです。正直に告白すれば、こちらの「中華そば」よりおいしいラーメンは、京都にはたくさんあります。しかし、なぜかこちらの「中華そば」を無性に食べたくなるときがあるのです。おそらく単に子どもの頃に食べ慣れた味だから、というだけではありません。今回感じた一番のポイントは、多少満腹でもスルスルと食べられてしまう舌に馴染むおいしさということ。ごく自然と胃に収まっていくこちらの「中華そば」は、やはり特異な味わいであり、存在と言えるでしょう。

具のチャーシューもやわらかでやさしい旨さです。そばの味をジャマしない程度のおいしさなのも見逃せません。もっとコクがあり濃厚なチャーシューを提供しているお店は結構ありますが、スープや麺と合わせて調和の取れた味となると微妙な気がします。すべてにおいてバランスの取れた味であり、¥550という低価格かつオヤツ感覚で楽しめる「中華そば」こそ、100年以上の歴史が生み出した一番人気の味の秘訣なのかも知れません。そばやうどん、丼各種をはじめ、「ビフかつ定食」¥820や「とんかつ定食」¥820などの洋食もいただけますので、京阪「三条駅」付近に来られた際には、満席を避け12時から13時を前後少しずらしてお立ち寄りください。

[2019年10月22日訪問]

篠田屋
●住所…京都市東山区大橋町111(Google マップ
●TEL…075-752-0296
●定休日…土曜日
●備考…喫煙可
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「篠田屋」で検索してください。

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