招福亭
若い頃から薄々気づいてはいました。“自分は福の神に愛されていない”ということを。幸せな家庭を築くという大それた望みは今世では無理、来々世ぐらいで何とか頼む!という感じでとっくにあきらめていて大丈夫なんですが、このブログは相変わらず過疎ってるわ、ちっとも痩せずむしろ太ってるわ、お向かいの赤ちゃんは管理人の顔を見た瞬間にギャン泣きするわと、不幸せを絵に描いたような毎日です。ひょっとして身の回りに貧乏神と疫病神しかいないのでは?と疑念を持ち、“福”を探しに六条新町へ向かいました。

五条通と新町通の交差点(五条新町)を南へ200mほど行ったところにあるそば・うどん店「招福亭(しょうふくてい)」です。以前は新町通を挟んだ真向かいに店舗があったのですが、3年ほど前に現在地へ移転・改装されています。店舗面積も大きくなり、外観も立派になって、さすが“福を招き続けているお店”だけのことはある発展ぶり。こちらは昔から蕎麦粉に抹茶が練り込まれた「茶そば」が有名で、“茶そばと言えば招福亭”という京都人も多いのではないでしょうか。茶そばをはじめとする色鮮やかな蕎麦は「変わり蕎麦」と呼ばれ、もともとは縁起物だったそうです。「招福亭」の福を招くパワーと「茶そば」の縁起に期待をしつつ、店内へ入ってみました。
こちらは11時〜20時までの通し営業でいつも混雑していることもあり、ランチタイムをはずした14時に入店したもののほぼほぼ満席状態。家族連れからグループ、カップル、お一人様と、さまざまな客層で賑わっています。近隣に東本願寺があることから、観光客も多いように感じました。とにかくお客さんが多過ぎなため店内の撮影はあきらめ、グランドメニューを撮影します。


実は「サービスメニュー」と書かれたセットメニューが掲出されていたのものの、撮影できませんでしたのでイメージを作成し、アップロードしてみました。

単品の「他人丼」¥840やセットメニューの「カツ丼セット」¥1,100など、魅力的なメニューが満載です。関西で「かやく飯(かやくごはん)」と呼ばれる炊き込みご飯のセットも捨てがたい。セットメニューで「そば」を選べば自動的に茶そばをいただけます。しかしどうせ「招福亭」に来て縁起物の茶そばをいただくなら、“福”を最大限に高められるメニューを選んで少しでも、ほんのわずかでも幸福になりたい。そこで今回は名物にも謳われている「福そば」¥850を注文してみました。

ご覧ください、このめでたいビジュアルを。色鮮やかなエビが2尾にカマボコ、シイタケ、ノリ、ホウレンソウなどが玉子でとじられていて、しかもゆで玉子まで入っています。具はいわゆる“しっぽく”ながら、一般的なしっぽくうどん・そばと比べても豪華で福々しい感じがしませんか?早速、汁をすすってみましょう。

少し甘めでダシが効いた、京都らしいはんなりとした味わいです。玉子とじにより、マイルドでやさしいおいしさ。塩っぱくはありませんので、汁をゴクゴクと飲みたくなります。これならお子さんからシニア世代まで、老若男女に受け入れられる味ではないでしょうか。寒い時期なら心にしみるおいしさだと思います。

いよいよ茶そばです。茶そばの「緑」、エビの「赤」、玉子の「黄」、カマボコの「白」、ノリの「黒」と五味五色。管理人は詳しくありませんが、一説によると五味五色は健康によく、幸運になるという話を聞いたことがあるような気がしないでもありません。茶そばについて、正直に告白すると抹茶の風味はほとんど感じられませんでした(あくまで個人の感想です)。コシはあるものの少し柔らかめに茹でられた茶そばは汁とからんでホッとするしみじみおいしい味わい。食べ進むにつれ、身体がポカポカとじんわりと温かくなってきます。身体の中から幸福が感じられる「福そば」なのかも知れませんね。
多くのお客さんで混雑していますが、食べているお客さんがみんな幸せそうな顔をされていて、店内が福に包まれているように思えました。おいしいものを食べて幸せを感じられることこそ、人にとっての福なのでしょう。そんな居心地がよく、茶そばで有名な「招福亭」へ福のおすそ分けをいただきに立ち寄られてみてはいかがでしょうか。管理人も小さな福をいただけたような気がしますので、まずはお向かいの赤ちゃんから笑顔をいただけるよう、精進したいと考えています。
[2019年10月27日訪問]
招福亭
●住所…京都市下京区艮町891-1(Google マップ)
●TEL…075-351-6111
●定休日…なし(盆および年末年始は休業)
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「六条新町 招福亭 」で検索してください。
コメント