京カレーうどん お多やん
世界遺産に認定されている「下鴨神社」をはじめ、日本屈指の植物園として知られる「京都府立植物園」などがある下鴨エリア。その下鴨には、かつて京都のみならず全国的にカレーうどんで有名なうどん店「しみず」がありました。昔からあったお店で隠れ家的な名店でしたが、近年はメディアにも頻繁に露出されていたため、営業時間中は常にお客さんで賑わっていた印象です。そんな「しみず」の大将が引退され、お店をたたまれたのが5年ほど前だったでしょうか。もう「しみず」のカレーうどんは食べられませんが、「しみず」で修行された方の何名かはその味を受け継ぎ、独立されています。管理人が知る限り京都市内に3軒あり、今回はその内の1軒「京カレーうどん お多やん(きょうかれーうどん おたやん)」へ伺いました。
白川通と今出川通の交差点(白川通今出川)を西へ30mほど行ったところにあるうどん店です。管理人が知る3軒の内、「お多やん」以外は比較的早い時刻に営業を終了されるため仕事帰りに寄るのが難しいものの、こちらは23時まで営業されていて夜遅くにカレーうどんなどを楽しむことができます。場所柄、京都大学や京都造形芸術大学などの学生も多く、常に賑わっている人気店です。ちなみに「お多やん」も含め「しみず」の味を受け継ぐ3軒は、それぞれが独自の工夫や改良を重ねられていますので「しみず」の味を完全再現している訳ではありません。たまに“しみずの味と違う”と憤慨されている方も見受けられますが、それはお門違いというものでしょう。あくまで「しみず」の味の根幹となる部分を受け継がれているだけで、後はそれぞれのお店ごとにオリジナリティを発揮されればいいと思います。時刻は21:30、早速店以内に入ってみましょう。
2013年(平成25年)開業ということで、古びた様子はなく清潔感のある店内。平日夜ということもあり、近隣オフィスのビジネスマンが居酒屋代わりに利用されていました。もちろん学生さんも多く、お一人様も入りやすいお店です。京都の冬は盆地特有の底冷えで相当寒いこともあり、カレーうどんは昔から親しまれてきた人気メニュー。管理人がこちらへ伺ったのも、原付で走っていて寒さに耐え切れなくなり衝動的に“カレーうどんが食べたい!”と思ったからです。とりあえずメニューを確認してみましょう。
23時まで営業されているだけあって、一品メニューやアルコール類も充実しています。また「親子丼」¥700をはじめとした丼物も人気です。「カレーおでん」(3種盛り¥300/5種盛り¥500)も気になるものの、ここは初志貫徹でカレーうどん。今回は「カレー和牛油かすうどん」¥1,000にプラス¥80でトッピングできる「玉子とじ」、そして「ごはん小」¥100を注文しました。こちらでカレーうどんを食べる際は、必ず「ごはん」(中¥150/大¥200)も注文してください。詳しくは後述しますが、絶対に“ごはんを注文してヨカッタ”と断言しておきます。
「カレー和牛油かすうどん with 玉子とじ」と「ごはん小」が到着しました。“麺と飯を一緒に食べてる”とデブの特徴のように思われるのがイヤなので「ごはん小」は撮影していません。いかがでしょうか、この黄色っぽいトロットロのビジュアル。確かに「しみず」のカレーうどんとよく似ています。しかし、こちらの方がより濃厚そうな雰囲気です。スパイスの香りに食欲も高まります。まずはスープからいただきましょう。
具はシンプルに油かすと九条ネギ。トロトロに煮込まれた油かすのコク、まろやかで味わい深い濃厚なスープの味わいが絶品です。油かすとは牛の腸を油で揚げたホルモンの1種で、大阪を中心に発達した郷土食材。その旨さから近年では全国に広まっています。辛さはさほどではありませんがスパイスの風味も軽やかに感じられ、そこが「お多やん」のオリジナリティと言えるのではないでしょうか。そしてやはり味の核となるスープのダシは「しみず」のそれがベースとなっているのは間違いないでしょう。
うどんをからめて食べると、これぞ京都のカレーうどんです。柔らかく茹でられたうどんとスープのバランスが絶妙。うどんにコシを求める主義の方には不満かも知れませんが、個人的にはトロトロ濃厚カレースープにコシのあるうどんは合わないと思います。スープとうどんが別モノに感じられスープはスープ、うどんはうどん、といった味になりがちだからです。柔らかなうどんだからこそスープとの一体感が生まれ、奥行きのある味わいが楽しめるのだと確信しています。
カレーうどんは普通に食べ進めると、うどんは食べ終えてもスープだけが丼鉢に残りますよね。そのままスープを楽しんでもいいのですが、そこで「ごはん」を投入してください。うどんとはまた違ったおいしさを味わえます。この味を楽しまないのは損としか言いようがありません。人生の2割ぐらいは損をしている感覚です。いいじゃないですか、少しぐらい太っても。健康面はちょっと心配になりますが、たまに食べる分には問題ないでしょう。あまり深刻に考えるとハゲますよ、と自分に言い聞かせているところですので反論は一切受け付けません。銀閣寺周辺に来られた際には、伝説のカレーうどん店の系譜に連なる人気店で京都のカレーうどんを存分に味わってみられてはいかがでしょうか。
[2019年11月15日訪問]
京カレーうどん お多やん
●住所…京都市左京区浄土寺西田町72-3(Google マップ)
●TEL…075-275-4974
●定休日…水曜日
●備考…分煙(?)
●ホームページ…facebook
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