イスラム文化を味わえるハラール認証店

その他料理編
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サルマン&ソエル ハラール キッチン 京都

世界の三大宗教として信者数が特に多いキリスト教、イスラム教、仏教。信者の数だけで言えば仏教よりもヒンズー教の方が多いものの、ヒンズー教がほぼインドおよびその周辺だけで信仰されているのに対し、仏教はアジア各地を中心に広く信仰されています。欧米をはじめ全世界で最も信者が多いキリスト教、そしてアラブ地域を中心にアフリカやアジアにも広がっているイスラム教が2番目。日本ではあまり馴染みのない宗教で戒律などが厳しいイメージですが、実際は他の宗教に比べても比較的信仰しやすいのだそうです。その証拠に東南アジアなどでは“これまでの仏教よりも面倒でないから”という理由で、後発のイスラム教が勢力を拡大しています。日本であまりイスラム教が根づかないのは、お盆やお彼岸には仏式で墓参りをし、クリスマスにはキリスト教式(?)のパーリーで盛り上がり、お正月には神式で初詣に出かけるというイイ加減な日本人が多いため、わざわざイスラム教まで取り入れる必要がなかったからかも知れません。また、ごく一部の過激組織の所業がイスラム教のイメージを大幅に低下させているのも否めないでしょう。しかしキリスト教にせよ仏教にせよ過激派や原理主義者、カルトは一定数存在し、残忍な行為をしているのも事実。イスラム教は基本的には他宗教以上におだやかな宗教なんだそうです。京都では荒神口に「京都イスラーム文化センター」があり、イスラム教の教えや文化などを発信されています。そしてその近くには、イスラム教信者(以下、ムスリム)御用達のお店「サルマン&ソエル ハラール キッチン 京都」があり、京都では珍しい料理の数々を提供されていて人気です。

店名に付いている“ハラール”とはイスラム法で合法とされている食材などを指します。よく“イスラム教ではブタがタブー”と言われますが、他の食材に関してもハラール認証を受けたものでない限りムスリムは口にできません。きちんと説明し出すとそれだけで3日分ぐらいの文章量になりますので、興味のある方は日本ハラール協会のホームページでご確認ください。で、河原町通荒神口通の交差点(荒神口)を北へ30mほど行ったところにあるこちらのお店、夜は23時まで営業されていて夜遅くの食事にも対応されています。

電光看板に“インドをペルシャの料理が楽しめます”と書かれているとおり、インド料理とペルシャ(現在のイラン)料理を提供されているこちら、実は京都と滋賀でインド料理店を9店舗展開している「インド料理 RAJU(ラジュ)」の1軒。ただ、ペルシャ料理を提供しているのはこちらだけとなっています。時刻は21時、早速店内へ入ってみましょう。

何となくインド風というか中近東風の店内ですが、インド料理店などにありがちなヒンズー教の神様はまったく見当たりません。そんなものを飾ろうものならムスリムが利用できなくなるからでしょう。もちろんイスラム教の唯一神であるアラーを飾ってもいけません。イスラム教は偶像崇拝を禁じているため、アラーを目に見えるカタチで表現するのは大罪となります。皆さんも決してアラーの似顔絵などを描いたりしてはいけませんよ。そもそも管理人は今“アラー”を連呼しまくっていますが、これも本当はダメだったけ?とかなりドキドキしています。当ブログを読んで“アラ〜これはダメだ”と気づかれたお詳しい方は、ぜひお知らせください。ソッコーで書き直しますから。ではメニューを確認してみましょう。覚悟しておいてくださいね。

メニューも写真も多過ぎでしょ。最初のメニューなんてすっかり忘れてしまうレベルです。この膨大なメニュー数は、インド料理店と中国人が経営する中華料理店あるあるですね。珍しいのは「ビーフカレー」¥1,200などの牛肉料理が用意されていること。通常、インド人やネパール人が経営するお店で牛肉はまず提供されません。なぜならインドではほとんどがヒンズー教を信仰していて、ヒンズー教では牛は聖なる動物とされ食べるのはタブーだからです。こちらのメニューは膨大過ぎて、正直何がインド料理で何がペルシャ料理なのかサッパリわからないのですが、最近カレー頻度が高いこともあり今回はカレーではない、つまりインド料理ではないモノから選びます。…多過ぎて面倒になってきたので何となく馴染みのある「Lamb kabab set(ラム肉のケバブ〈6切れ〉とサフランライス)」¥1,600を注文してみました。インドやアラブの方は食事をするたびに、こんな膨大なメニューから食べたいものを選ばれているのでしょうか?

まずはセットのスープが到着。ポタージュのような淡い乳白色ですが牛乳などの乳製品や豆乳は入っていません。コンソメのようにサラサラではなく少しトロッとしています。スプーンでひとくち食べてみると、野菜の滋味あふれる、やさしい味わい。味付けはおそらく塩コショウだけで、普段濃厚な味に慣れている現代人にとっては薄味に感じられるものの、素材の旨味をシンプルに味わえる家庭料理のようなホッとできるスープだと思います。

そしていよいよメインディッシュの「Lamb kabab set(ラム肉のケバブ〈6切れ〉とサフランライス)」です。ケバブは見た目に“よく焼き”のウエルダンで、金串からはずされて提供されます。こちらの料理も当然、すべてハラール認証済み。ハラールは宗教的な側面だけでなく、おそらく1400年以上昔の人が考えた、食中毒や食物摂取による体調不良を防止する役割があったのでしょう。気温が高い中東地域では食材が痛みやすかったり、毒をもつ動植物などが多く、生きるための知恵の集大成だったように思います。では、ケバブを食べてみましょう。

ウエルダンのため肉汁などは感じられませんが、ラム肉の少しクセがある獣肉らしい野趣あふれる味わいがおいしい。味付けはシンプルに塩のみ、それも最小限です。素材本来の味わいを改めて知ることができました。じっくり味わって噛むたびにゆっくりと肉の旨味が立ち上がってくる、一般的な料理ではなかなか出会えない貴重な体験ができたように思います。

サフランライスは“シラス?”と勘違いしてしまいそうな長粒種(インディカ米)です。日本で一般的に食べられている短粒種(ジャポニカ米)に比べて水分と粘り気が少なく、さっぱりとした味が特徴。日本ではあまり食べられていませんが、世界的に見れば生産・消費とも長粒種(インディカ米)が圧倒的で、インドや東南アジア、ヨーロッパ、北米・南米など世界中で食べられているお米と言えます。ピラフやカレーなど使われていることが多く、また野菜扱いされていてライスサラダとしても食されているようです。こちらも肉をオカズとしたご飯というよりは、肉の付け合せといった味わい。さっぱりとしていて軽い感覚で食べることができます。

セットについているのでしょうか、食後にマンゴーラッシーが運ばれてきました。これはもうインド料理の定番ですね。飲んでみると“ウン、激甘!”と思わず目が覚めるガツンとした味わいです。これまでのスープからケバブ、サフランライスに至るまですべてあっさり薄味だったため、“おいおい、どうしたどうした?”と少し戸惑ってしまいました。不二家のネクターピーチのマンゴー版と思っていただければイメージできるでしょうか。辛いカレーの後ならともかく、食事の〆としてはかなりのインパクトだと思います。何はともあれ、日本では珍しいムスリム仕様のペルシャ料理をいただける貴重なお店です。イスラム教に入信しようと考えている方もそうでない方も、中東料理の入門編として一度試してみられてはいかがでしょうか。

[2019年11月16日訪問]

サルマン&ソエル ハラール キッチン 京都
●住所…京都市上京区宮垣町88-3(Google マップ
●TEL…090-3993-3511
●定休日…年中無休
●備考…禁煙
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