かぼちゃのたね
京都ナンバーワンの歓楽街と言えば祇園です。祇園にある八坂神社の祭礼は日本三大祭にも数えられる「祇園祭」で、年間を通じて多くの観光客が訪れます。芸能人や文化人を頻繁に見かける地域でもあり、管理人が若い頃は京都で映画やドラマなどの撮影終わりの俳優や女優、歌手などによく遭遇しました。最近では「よしもと祇園花月」ができたこともあり、芸人もしばしば目にするようになったそうです。そして「京都四條 南座」があることから、昔も今も歌舞伎役者をよく見かけます。祇園には“歌舞伎役者御用達”の飲食店も多く、舌の肥えた歌舞伎役者のお墨付きなら間違いないだろうということで一般人からも人気です。そんなお店の中から、鰻とお惣菜(おばんざい)で評判の「かぼちゃのたね」へ伺いました。

今回は大阪の知り合いから京都での昼食を誘われ、鰻をリクエストされたのが発端です。祇園には鰻の名店がいくつかあり、祇園という土地柄から京都らしい雰囲気も楽しめるのでうってつけ。そんな中、手頃な価格で本格的な鰻をカジュアルに食べられるお店として人気の「かぼちゃのたね」を選びました。ただ、ランチタイムには行列ができるほどの繁盛店ですので前日に予約を入れます。そして当日の12時、四条通と東大路通(東山通)の交差点(祇園)を西へ300mほど行ったところにある祇園了郭ビルに到着しました。

祇園了郭ビルの1階は黒七味で有名な「原了郭 本店」。こちらでは黒七味をはじめ、各種薬味や香辛料などを購入することができます。以前は本店の店内でも黒七味を使ったカレーを提供されていましたが、現在本店では店内飲食ができなくなってしまいました。「原了郭 本店」を右に見ながらビルの奥へ進むと「かぼちゃのたね」が見えてきます。

12時開店ですぐ店員さんが出てこられ、店内へ案内されました。こちらも歌舞伎役者御用達の1軒で、歌舞伎関係のポスターなどが貼られています。早速店内へ入ってみましょう。

カウンター席とテーブル席があるのですが、予約をしていたため人気店にも関わらず個室を用意していただいたようです。ちょっと恐縮しながら個室へ向かいます。いつもはたまにフラリと鰻丼を食べに伺うお店で、座るのはもちろんカウンター席。活気ある雰囲気の中でカジュアルに鰻を食べるのですが、個室では落ち着いた雰囲気で食事ができます。ではメニューを確認してみましょう。




普段は昼であれば鰻丼に小鉢と汁物、漬物が付く「うなぎ丼定食」¥2,420をいただきます。祇園という立地で本格的な鰻丼を¥2,000台でたっぷりといただける奇跡的なお店です。鰻料理だけでなく「お造り膳」¥1,760や「おひるのおばん菜膳」¥1,760などもあり、鰻が得意でない方でも楽しめるメニュー構成となっています。今回はせっかくですので鰻もお惣菜(おばんざい)も味わえる「きまぐれ昼ごはん」¥2,970を注文。うなぎかば焼き御飯もしくは鰻丼に前菜3種盛とお造り2種盛、かぼちゃコロッケ、汁物、漬物が付く贅沢なセットです。


「きまぐれ昼ごはん」が到着しました。うなぎかば焼き以外の副菜も充実しています。まず小鉢の胡麻和えやぬたなどは家庭の惣菜レベルではなく立派な京料理です。写真右下にある赤レンガのようなものは赤こんにゃく。滋賀県近江八幡市の名産で、京都では滅多にお目にかかれません。一般的なこんにゃくよりも少し固めで心地いい歯ごたえが特徴。小鉢1つをとっても丁寧に調理されているのがわかります。造り(刺身)は旬のブリとサーモン。旬のブリは脂の乗りも最高で青魚独特の生臭さは一切なく、口の中で脂がとろけます。そして和食店なのに!と驚かされたのが、かぼちゃコロッケでした。

店名の「かぼちゃのたね」からもわかるように、かぼちゃにかなり自信がお有りなのでしょう。このかぼちゃコロッケはクリームコロッケタイプなのですが、かぼちゃの濃厚な甘みと旨味をしっかりと味わえる逸品。かぼちゃの風味もしっかりと感じられ、ベシャメルのコクとマッチしていて、洋食店のクリームコロッケにも匹敵するおいしさではないでしょうか。腕の立つ料理人は何を作っても水準以上の味になると改めて感心しました。

ではいよいよ、うなぎかば焼きへ向かいましょう。御飯の上に載せてセルフ鰻丼スタイルにしてみました。こちらのご主人は鰻の名店「衹をん 松乃」で修行されていたそうで、その味は本物。香ばしい蒲焼きに心が踊ります。粉山椒をかけていただくとふっくらとした鰻の味わいが口の中に広がり、スーッと消えるも旨味の余韻が残るまさに絶品と言える鰻です。焼き方は江戸焼きで一度蒸されているため、ふわふわと柔らかく、適度な脂の甘みを存分に堪能できます。タレの味加減も申し分ありません。鰻を食べ慣れているであろう歌舞伎役者も贔屓にするお店だけのことはあるおいしさでした。
鰻だけでお腹いっぱいになりたい方にも、いろいろな料理をちょっとずつ楽しみたい方にもオススメのお店です。京阪「祇園四条駅」から徒歩3分程度とアクセスも便利。祇園にお越しの際にはリーズナブルな価格で味わえる鰻とお惣菜(おばんざい)をぜひお試しください。ひょっとしたら有名人のお客さんを見かけられるかも知れませんよ。
[2020年1月12日訪問]
かぼちゃのたね
●住所…京都市東山区祇園町北側267 祇園了郭ビル1F(Google マップ)
●TEL…075-525-2963
●定休日…火曜日(祝前日は営業)
●備考…禁煙
●ホームページ
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