ぐりる 椥 【閉業】
※お知らせ※
「ぐりる 椥」は2020年8月25日で閉業されました。52年の歴史に彩られた昭和の京都洋食を代表する1軒だっただけに洋食好きの管理人にとってもショックですが、それ以上に地元の方は寂しい思いをされていることでしょう。リーズナブルで本格的な絶品洋食の数々の記憶と記録に残すことができ、本当にありがとうございました。
縄文時代や弥生時代などの古代にはロマンがあふれています。管理人は特に古代史を勉強した訳ではありませんが、遺跡や遺構でテンションがアガるタイプです。石器や土器を見ると2000年以上前の人々の暮らしが何となくわかり、もし自分がその時代にタイムスリップしたら、現代のアイテムを使いどうやって王になろうかと妄想します。王になって最初に実行するのは国造りでも領土拡大でもなく、ハーレムを作ること。速攻で暗殺されそうな勢いですが、これぞ男のロマンと言えるでしょう。古代のロマンってそんなんだったけ?という気がしないでもないものの、とにかく魅力的な時代ではあります。
京都市の洛東地域、山科あたりには中臣遺跡と呼ばれる広大な遺跡群があるのをご存知でしょうか。発掘調査で弥生時代の遺跡であることがわかり、多くの出土品が保存されています。写真の出土品は遺跡で撮影したものではなく、地下鉄「椥辻駅」の構内に陳列されているもの。「椥辻駅」は地下鉄「山科駅」から上り(南)方面へ2つ目の駅で、周辺には京都橘大学があり学生もよく利用しています。また、平安時代の本当の意味での征夷大将軍として有名な坂上田村麻呂のお墓がある西野山古墓など、日本史好きなら一度は訪ねてみたいエリア。さらに京都刑務所も近く、身内が入所されている方は面会時にこの駅を利用することになるかも知れません。ご自身が入所される場合は専用車で向かうことになりますので地下鉄は使わなくても大丈夫です。で、「椥辻駅」から徒歩5分ほどののどかな住宅街に山科屈指の洋食店として知られる「ぐりる 椥(ぐりる なぎ)」があります。
お店の向かいには5台程度が停められる駐車スペースもあり、ドライバーにとっても利用しやすい洋食店。“山科で洋食”と言えばほぼ必ず名前が挙がる1軒だけあって、昼も夜も常に混雑している人気店です。管理人は以前、知り合いに車で連れられて2回ほど伺ったことがあるのですが、どちらも地元の方で賑わっていました。いつものようにランチタイムの混雑を避けた13:15、早速店内へ入ってみましょう。
撮影したのは14時、昼のラストオーダー時刻です。入店時はテーブル席が満席で、カウンター席のみ空いている状況でした。店内は昭和の喫茶店のような雰囲気で、お一人様でも安心して利用できる入りやすい洋食店です。カウンターから厨房へ目を向けると、古くから営業されている洋食店らしさを見ることができます。
デミグラスソース作りの真っ最中であることが伺える寸胴。管理人にとって寸胴は洋食店や西洋料理店のシンボル的な存在です。最近ではラーメン店でも頻繁に利用されているので見かけられた方も多いのではないでしょうか。こちらでは昔ながらの人気洋食店だけあって、デミグラスソースも手作りされています。ではメニューを確認してみましょう。
どのメニューを食べても間違いのないお店ながら、昼はほぼすべてのお客さんが「なぎ弁当」¥1,210を注文されています。ハンバーグ・海老フライ・とんかつ・クリームコロッケが詰め込まれた店名を冠したお得弁当です。管理人も一度食べたことがあり、リーズナブルで内容の充実度は保証します。しかし今回は久しぶりの訪問でもあり、またしばらくは伺う機会もないだろうということで「なぎ弁当」の上位互換版でもある「スペシャル弁当」¥1,980を注文。¥800近くお高い価格ながらハンバーグ・海老フライ・唐揚げ・ローストポーク・チキンステーキ・クリームコロッケが付く牛・豚・鶏・海老のオールスター級弁当の実力を試してみましょう。
ジャジャーン!と昭和の効果音で「スペシャル弁当」が到着しました。いかがでしょうか、この圧倒的なボリューム感は。手軽なファミレスなどでも、それなりのものを注文すれば¥2,000前後はかかります。カジュアルながら本格的な洋食店で¥2,000以下とは思えない内容ではないでしょうか。クリームコロッケは洋食店らしいミルキーでバターの風味が香る安定感のある味わい。ローストポークはチャーシュー風の醤油味がご飯にもよく合います。唐揚げも鶏モモ肉を使った竜田揚げ風で、思わずノンアルコールビールが飲みたくなりました。
3尾も盛り込まれた中サイズの海老フライはカラリと揚がっていて、たっぷりのタルタルソースとの相性も抜群。あっさりめのタルタルソースにより、エビの甘みが引き立っています。海老フライはエビにコロモ(小麦粉→溶き卵→パン粉)をつけて揚げるだけなのですが、自宅で何回作っても洋食店の味にはなりません。エビの火のとおし方が重要なのか、エビの旨味がしっかりと感じられるプロならでは味を堪能することができました。
チキンステーキはテリヤキソースがかけられた王道スタイルです。こちらも鶏モモ肉を使用されていて、鶏の濃厚な旨味と脂の甘み、そしてテリヤキソースが抜群のおいしさ。テリヤキソースですので当然甘いものの、クドさはほとんどありません。大人でもおいしいと感じるテリヤキソースではないでしょうか。
そして洋食の王様・ハンバーグです。丁寧に作られていることがわかるハンバーグの味わいと食感は文句のつけようがありません。ソースは自家製のデミグラスソースにマッシュルームが添えられた、まさに“THE 洋食”と呼ぶにふさわしい逸品。クセがなく軽やかなデミグラスソースにマッシュルームの味が渾然一体となったおいしさです。地元の老若男女に愛されているのもうなずけるクオリティだと感じました。
山科屈指の洋食店と評判なだけのことはあるお店です。椥辻通と京都外環状線の交差点(椥辻)を西へ300mほど行ったところにあり、地下鉄や市バスと徒歩でも利用しやす場所にあります。山科区役所も近くにありますので、山科エリアまでお出かけの際には一度訪問されてみてはいかがでしょうか。夜もカジュアルに本格的な洋食をいただけますので、グループでの利用もオススメですよ。
[2020年1月25日訪問]
ぐりる 椥
●住所…京都市山科区椥辻封シ川町23-1(Google マップ)
●TEL…075-591-6601
●定休日…日曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「グリル 椥」で検索してください。
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