新潟カツ丼 タレカツ 京都本店
“カツ丼”と言えば卵でとじたカツ煮の丼が一般的です。と、京都・大阪で生活している管理人はウッカリ書いてしまいましたが、地域によってさまざまな“カツ丼”があるようです。福井県およびその周辺で“カツ丼”と言えばトンカツをウスターソースで浸したソースカツ丼が一般的。管理人が25年以上前、滋賀県の近江今津へ仕事で行った際、ごく普通の定食店へ立ち寄り何も考えず“カツ丼”を注文して出てきたのがソースカツ丼で、かなり驚いた記憶があります。卵でとじたカツ煮の丼だと思い込んでいただけに、ソースカツ丼が目の前に置かれた時には騙された感を強く覚えてしまいました。もちろん、お店は何ひとつ悪くはないのですが。卵でとじたカツ煮の丼は完全に和食ですが、ソースカツ丼は立派な洋食で、もはや別物。むしろデミグラスソースがかかったカツライスに近い食べ物です。そんなカツ丼の失敗(?)を新潟市でも経験しています。やはり深く考えずに“カツ丼”を注文して実際に出てきたのがタレカツ丼。日本海側の人々はカツ煮を毛嫌いしているのでは?と本気で考えてしまいました。とは言え、タレカツ丼を食べて“あっ、これは和食的な洋食だ”と認めたのも事実です。そして何よりおいしいし、自分の口に合う。それ以来、タレカツ丼は機会があれば積極的に食べようと思っていて、京都でタレカツ専門店があると聞きつけ訪問してみました。
四条通と烏丸通の交差点(四条烏丸)を東へ400mほど行き、柳馬場通を南へ120mほど行ったところにある「新潟カツ丼 タレカツ 京都本店(にいがたかつどん たれかつ きょうとほんてん)」。2018年(平成30年)のオープン以来、新潟のタレカツ丼にこだわり、人気店となっています。なぜ新潟のご当地料理なのに“京都本店”なのかは定かではなく、しかも本店は東京の神田にあり、他には東京都内に7店舗を展開しているという“新潟無関係”状態。まぁ東京−新潟間のアクセスは悪くないため、新潟県出身者か関係者が東京で店舗展開をし、調子に乗って京都にも1軒作ってみた、といったところでしょうか。京都本店は22時(日曜日および祝日は21時)ラストオーダーで、夜遅めの食事にも利用できます。時刻は21:30、早速店内へ入ってみましょう。
まだ2年もたっていない店内は清潔感があり、カジュアルなダイニングバーのようなオシャレな内装です。こちらは11時からの通し営業でランチタイムは混雑するそうですので、昼は少し時間をずらして訪問された方がいいかも知れません。京都から見た新潟市は距離以上の遠さを感じ、あまり馴染みがないと思われているのではないでしょうか。しかし新潟県まで範囲を広げれば日本有数の米どころ&酒どころであり、上杉謙信や田中角栄、魔夜峰央といった偉人も多く、知らず知らずのうちに新潟と関わっていることも多そうです。京都人にもタレカツ丼を味わっていただき、異文化交流を推進していただきたいと思います。ではメニューを確認してみましょう。
ここではもちろんタレカツ丼を食べるべき。ただ「海老丼」¥1,080や「野菜カツ丼」¥880も気になります。そこでカツ、海老、野菜がすべて入ったスペシャル丼「特製合もり丼」¥1,100を試すことにしました。しかし、いつも食べている卵でとじたカツ煮丼ではないため、不安がまったくないと言えば嘘になります。一応、保険の意味も込めてトッピングの「ぶっかけ温玉」¥120も注文。卓上に醤油が完備されていたこともあり、もしカツを食べ尽くしてご飯が余ってしまったら温玉かけご飯にして完食しようという万全の体制を整えます。
「特製合もり丼 with ぶっかけ温玉」が到着しました。まさに揚げ物祭的なビジュアルで、天丼の天ぷらがフライになったようにも感じます。タレカツの“タレ”はウスターソースではなく、醤油ベースの甘じょっぱいタレ。地域によっては“甘ダレ”や“旨ダレ”と呼ばれているもので、フライに醤油ベースのタレ?と一瞬躊躇しますが、実はよく合います。野菜はプチトマトにカボチャ、ナス、ブロッコリーなどで、甘じょっぱいタレとの相性も抜群。ご飯がよく進みますし、ビールのツマミとしても有能ではないでしょうか。
薄めに伸ばされた大きめのロースカツもタレとよく絡み、絶妙なおいしさです。サクサクとしたカツの歯ごたえが心地よく、豚ロースの濃厚な旨味と甘みがたまりません。卵でとじたカツ煮丼とは味の方向性が異なるものの、やはり醤油ベースのタレなこともあり、和食的な味わい。おいしいお米の産地でもある新潟県の方々がソウルフードとして愛しているだけあって、ご飯のオカズとしても最強レベルの味わいだと感心しました。
海老フライを注文時、お店の方からタルタルソースをつけることもできますよ、と案内していただけましたのでお願いすることに。別皿にたっぷりと盛られたタルタルソースにお店の親切さを実感でき、思わず涙を流します。こういうちょっとした気遣いがうれしい。京都には一部でしょうが海鮮系のフライを提供しておきながら卓上のウスターソースで食べさせようとするフトドキな店が存在します。そういう店に足りないのは料理に対する気遣いであり、お客さんへの心配りです。こちらのようにタレに格別のこだわりと思い入れがあるにも関わらず、海老フライだからタルタルソースを勧める柔軟さを見習っていただきたいと強く願います。海老フライにはタレがかけられていて、タルタルソースをからめることでエビの旨味や甘みと調和したおいしさを堪能することができました。
関西人が食べ慣れているカツ丼ではありませんが、受け入れやすい味ではあると思います。新潟市民が愛してやまないタレカツ丼を京都で手軽に食べられるお店です。阪急「烏丸駅」または地下鉄「四条駅」から徒歩6分程度と便利な場所にありますので、四条烏丸近辺にお越しの際には一度立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。お一人様でも気兼ねなく新潟市のソウルフードを楽しめますので、ぜひお試しください。
[2020年1月29日訪問]
新潟カツ丼 タレカツ 京都本店
●住所…京都市下京区塩屋町44(Google マップ)
●TEL…075-341-8350
●定休日…年中無休
●備考…禁煙
●ホームページ
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