ひゃくてんまんてん
京都も冷え込む日が多くなってきて、すっかりカレーうどんの季節となりました。もちろん大好きですよ、カレーうどん。…でも、あまり大きな声で言いたくないのですが、本当は“カレー中華”も好き。と、当たり前のように書いているものの、どうも京都人でも共感していただける方が少ないようです。“カレー中華”とはカレーうどんのうどんが中華麺、もしくはラーメンのスープがカレーの食べ物を指します。あまりメジャーな食べ物ではない、ということは薄々勘づいてはいました。特にうどん好きが多い大阪の人とこの話題になると“中華麺?ないわ〜”とか“カレーうどんもラーメンもカレーライスも冒涜してるよね”とか“ド変態やん”とか、もう性癖まで批判される有様。大阪市で仕事をしている以上、余計な発言をして変な人と思われるのは損でしかなく、同調圧力に屈して“カレー中華好き”を封印していました。しかし。もう50歳に手が届きそうな年齢となり、周りの目など気にしなくなったことに加え、そもそも職場や得意先からすでに変人・変態扱いされていますので“カレー中華好き”をカミングアウトしようと決意。そこで今回は、京都市民がこよなく愛するカレー中華の名店を求めて、烏丸三条までやってきました。
三条通と烏丸通の交差点(烏丸三条)を東へ250mほど行ったところにあるカレーとラーメンのお店「ひゃくてんまんてん」。近くには以前REPORTした本格派のカレー専門店「カマル」があります。カレーとラーメンのお店という時点で、こちらは本格派ではないように思うでしょ?何となく学食や模擬店のノリに近いと思われるのも無理はありません。しかし、かなり昔から営業されていて、近隣の学生やビジネスパーソンが足繁く通う人気店なんですよ。まずは店頭の看板を確認してみましょう。
「京都で一番うまい!こだわりの味」ということで、こちらが京都で一番うまい飲食店であることが認定されました。またまた〜ご冗談を!と言いたくなるのもわかりますが、もし何も考えずテキトーに「京都で一番うまい!こだわりの味」なんて表明しようものなら、京都の名だたる飲食店の店主やオーナーがお店に押しかけ、はんなりと罵詈雑言を浴びせ倒した挙げ句、閉業に追い込まれていたことでしょう。カレーとラーメンのお店であるこちらの1番人気はもちろん「カレーラーメン」¥850です。本格的なラーメン店ではまず置かれていないメニューで、ジャンクフード感が漂いますね。時刻は21:15、店内へ向かいましょう。
お店は2階にあり、階段を上りますよ。
思った以上に広いキャパの店内です。平日の夜はビジネスパーソンがちょい呑みや〆に利用されることが多いと思います。たまにガッツリ呑みの方もいらっしゃいますが。そしてお一人様が利用しやすい雰囲気であり、女性のお一人様も頻繁に見かけられます。管理人のように飲まない人も気軽に利用できるありがたいお店です。22:30までの通し営業で、遅めの食事にも便利ではないでしょうか。では、改めてメニューを確認してみましょう。
一品料理やアルコール類も充実していて、飲む人にとってもオススメ。1番人気の「カレーラーメン」を注文される際は、四の五の言わずにライスも併せて注文してください。理由は後で必ずわかりますから。今回は「カレーラーメン」にトッピングとして「生卵」¥70、セットで「ライス+ミニキムチ」¥170を注文しました。
「カレーラーメン with 生卵」と「ライス+ミニキムチ」のセットが到着。「カレーラーメン」は本来、ラーメンスープがカレー味の料理であり、カレーうどんのうどんを中華麺に置き換えたカレー中華とは厳密に言えば少し異なります。が、どちらも変態度高めのメニューであることには変わりありませんし、何より絶対においしい!と断言できる禁断の味だと個人的には評価しています。まずはスープからいただきましょう。
あぁ〜…と思わず声を漏らしてしまうほど、しみじみ心身に染み渡る味わいです。ダシは鶏ガラと豚骨で、カレーは濃厚なお家カレーといったところでしょうか。ダシの土台がしっかりとしていて思った以上にコクがありスパイシーなスープは、さすが1番人気だけのことはあります。そして意外にジャンキーな味ではなく、立派な一品料理として成立しているのも高ポイント。他のラーメン店もカレーラーメンを提供すれば、そこそこの需要はありそうな可能性があるように感じました。
麺は細めの中華麺で、トロミのあるスープとからまりベストマッチ。うどんではなく中華麺だからこそ味わえるおいしさです。九条ネギがアクセントとなっていて、ズルズルといくらでも食べられます。「生卵」はしばらくスープに沈めておくと、予熱で火が通り絶妙な半熟具合に。ちょっと辛めな味のスープを緩和する効果もあります。いい頃合いで「生卵」をスープにかき混ぜるとトロットロなかき玉になりますので、ぜひお試しください。
そしてチャーシュー。カレーに負けるか?と思いきや、チャーシューの個性は失われていません。“そもそもチャーシューにカレーは合うの?”という意見もあるでしょうし、個人的には豚しゃぶ風に茹でた豚コマの方が合うのでは?と感じるものの、不思議なおいしさがあるのも事実です。そして…中華麺をほぼ食べ終えた丼鉢には、スープとチャーシューや九条ネギなどのカケラが残っているハズ。そこにライスを投入して食べると、“チャーシューで正解”となります。おそらくチャーシューの醤油味とライスが生み出すマリアージュでしょうか、とんでもなくおいしい。“マリアージュ”という言葉がこれほど似合わない料理もありませんが、とにかくおいしい。ライスを注文した人にだけ与えられる特権的な味わいです。
カレーうどんもラーメンもカレーライスも冒涜する背徳感のあるおいしさを堪能することができました。こういう料理が好きな人は絶対にいい人ではないでしょうか。少年少女の心を持ったメルヘンチックでヘンタイチックな、百点満点の味と言えるでしょう。烏丸三条付近にお越しの際には、この背徳の味わいをお試しください。新たな官能の扉が開かれるかも知れませんよ。
[2020年2月13日訪問]
ひゃくてんまんてん
●住所…京都市中京区菱屋町47(Google マップ)
●TEL…075-213-2292
●定休日…年中無休
●備考…喫煙可
●ホームページ
※さらに詳細は食べログ「ひゃくてんまんてん」で検索してください。
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