なるかみ
“京都ラーメン”と言えば今でこそ天下一品のこってりに代表される“鶏白湯系”が主流となり、多くのラーメン店が生まれてほとんどのお店が繁盛しています。しかし管理人のようなアラフィフ世代にとって“京都ラーメン”と言えば“醤油豚骨背脂チャッチャ系”です。当ブログでも「珍遊 京都一乗寺本店」や「しらかわ」などをREPORTしてきましたが、京都で“醤油ラーメン背脂チャッチャ系”の代表格として知られているのが「ますたに 北白川本店(以下、ますたに)」。全国のラーメン愛好家からも知られている超有名店と言えるでしょう。そんな「ますたに」の系譜に連なるラーメン店で、本家「ますたに」を超えているのでは?と一部で噂になっているお店があります。
千本通と今出川通の交差点(千本今出川)を北へ650mほど行ったところにある「千本ゑんま堂 引接寺」。あっ、こちらはラーメン店ではありません。お目当てのラーメン店の近くでしたので引き寄せられるように到着してしまいました。
こちらの古刹のご本尊は閻魔(エンマ)様として知られる閻魔法王で、嘘つきは地獄で舌を引っこ抜かれるそうです。世の中には残念ながら嘘つきが大勢います。もしかすると当ブログを楽しまれている方の中にも、嘘つきがいらっしゃるかも知れません。嘘つきの自覚をお持ちの方は、こちらで悔い改めてみられてはいかがでしょうか。管理人は嘘とゴキブリが何より嫌いで嘘つきの自覚もまったくありませんが、何となく週イチレベルでお参りに行かないといけないような気がしました。
そんな「千本ゑんま堂 引接寺」から南へ250mほど行ったところにあるラーメン店が「なるかみ」です。なぜ「千本ゑんま堂 引接寺」に立ち寄る気持ちになったのかまったくわかりません。こちらは2000年(平成12年)にオープンされ、今年で20周年。地元の方を中心に連日多くのお客さんで賑わっています。スープがなくなり早仕舞いをされることも多く、11:30の開店直後からお客さんで満席になることも珍しくありません。時刻は11:45、「千本ゑんま堂 引接寺」でちょっとタイムロスをしてしまいましたが行列はできていませんので、早速店内へ入ってみましょう。
満席でした…。と、思いきや、カウンター席が1席だけ空いていて、案内していただくことができました。閻魔様、ありがとうございます!と、ご利益に感謝。店内はお客さんだらけですので写真撮影はしていません。こちらはカウンター10席と奥に4名テーブル席1組という、ラーメン店らしいコンパクトな造りとなっています。客層は老若男女でだいたいはお一人様か二人組ぐらいでしょうか。こちらのお店はこれまで“醤油豚骨背脂チャッチャ系”のラーメンを提供されていて、最近「味噌ラーメン」¥850の提供も開始されました。「味噌ラーメン」のみ提供されていた時期もあったようですが、2020年(令和2年)現在はこれまでの“醤油豚骨背脂チャッチャ系”ラーメンも食べることができます。そしてこちらの名物「エビめし」¥680(スープ付き¥50UP)も健在。正直に告白すると、管理人がこちらのお店で絶対にいただくのはラーメンではなく「エビめし」です。「エビめし」とは簡単に説明するとエビチャーハン。こちらで「エビめし」を注文せずラーメンだけを食べている人は、管理人の中では甲殻類アレルギーなどの方を除きド素人と認定せざるを得ません。これ以上ほざくと管理人が偏見まみれの人間だと思われ、好感度もダダ下がりですが、それでもこちらでは「エビめし」を食べていただきたい。そもそも好感度なんてまったくないことに気づき、ちょっと落ち込んだものの気にせず続けます。今回は「エビめし(フルサイズ)」とこれまた人気の「餃子(5個入)」の「Cセット」¥930にしようかとも思ったのですが、さすがにラーメン店でラーメンを食べないのはいかがなものか?と考え、ラーメン+エビめし(ハーフ)の「Bセット」¥1,020を注文してみました。
まずは「ラーメン」が到着。これこれ、これが管理人がイメージする“京都ラーメン”です。豚の背脂がたっぷりと浮かんだ豚骨&鶏ガラ醤油スープで、具はチャーシューと青ネギ、メンマというシンプルスタイル。子どもの頃や学生時代を思い出すビジュアルです。なつかしい気持ちになったものの、当時はこれが最先端のラーメンでした。保守的な大人の中にはこの背脂に否定的な方も多く、ジェネレーションギャップを生んだラーメンだったのではないでしょうか。ただ、ラーメンはどのジャンルの料理よりも進化・発展の速度が凄まじく、そのスピードに大人たちがついていけなかったのも今となっては理解できます。とにかく、まずはスープからいただきましょう。
豚骨&鶏ガラのダシと背脂のコクに醤油の切れ味、ほのかなピリ辛が絶妙な味わいです。京都のラーメンとしては醤油味強めで、ガッツリ食べたい系の仕上がりとなっています。もちろんただ醤油辛い訳ではなく、濃厚なダシが十分に活きている、丁寧にスープを作られているのがわかる味わい。ナルホド、一部で本家の「ますたに」を超えていると噂されるのも理解できます。
麺は細めの中華麺で京都ラーメンの王道です。京都では多くの方が太麺よりも細麺を好む傾向があります。うどんでも京都の古典的なうどんは細うどんですし、蕎麦でも太めのものはほとんど見かけません。きしめんなどもあまり普及しているようには見えません。京都の民俗学などの研究対象としては意外にピッタリと思いますので、卒業論文のテーマを探している京都の文系学部に所属する学生さんは一度トライしてみてはいかがでしょうか。
チャーシューは豚バラ肉の味わいがしっかりと楽しめる薄味仕立てで、しかもブ厚いのが特徴。あくまで個人的な意見ですが、ペラっペラのチャーシューは犯罪と言っても過言ではありません。ペラっペラのチャーシュー1〜2枚だけのラーメンには殺意すら覚えます。それでも¥600ぐらいまでならコスト的にも妥当であると認められますが、そんなチャーシューで¥800以上のラーメンは許せません。極刑に処していただきたい。もしくはチャーシューをペラっペラにカットする技術だけは惜しい気もするため、しゃぶしゃぶ店かふぐ料理店に業態変更していただきたい。こちらぐらいブ厚いチャーシューこそ、チャーシューの真髄を味わうことができると改めて感じました。
そして名物の「エビめし(ハーフ)」です。ハーフとは言え、ラーメンのお供としてはしっかりとしたボリュームがうれしい。こちらではラーメンと同時には提供されず、ラーメンを提供し終えてから「エビめし」を作り出されます。この丁寧な仕事が繁盛店の隠れた秘密と言えそうです。炒めた香りに我慢できませんので、早速いただいてみましょう。
プリップリのエビが2尾入ったエビチャーハンです。こちらのチャーハンはしっとり系で、オイスターソースなどの濃厚な味わいと香りがたまりません。以前、どこかのREPORTでも書きましたが、“パラパラチャーハン原理主義者”はチャーハンの本質を理解されていないのではないでしょうか。油分が多い油ご飯状態となっているチャーハンは論外として、米の甘みが残っているぐらいの水分量は絶対に必要です。パラパラチャーハンがおいしいのはもともと水分量が少ない長粒種の米の場合であり、日本の米でパラパラチャーハンを作ること自体、ムリがあるのでは?と常々思っていました。喉につっかえそうになるパラパラチャーハンより、適度にしっとりとしたベチャベチャではないチャーハンの方がおいしいと断言します。こちらの「エビめし」は味付け、具材、そして食感と最高レベルのチャーハンであると言えるでしょう。
「ラーメン」「エビめし」とも、さすがとうなる味わいでした。嵐電「北野白梅町駅」から徒歩18分程度で店舗駐車場もない、交通の便が決していいとは言えない立地にあるものの、多くのお客さんが訪れる人気店です。北野天満宮からも徒歩圏内ですので、近くまで来られた方は散策ついでに立ち寄られてみてはいかがでしょうか。京都ラーメンの1つの完成形とも形容できるラーメンの味をぜひお試しください。
[2020年4月5日訪問]
なるかみ
●住所…京都市上京区花車町481(Google マップ)
●TEL…075-464-6760
●定休日…木曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「なるかみ」で検索してください。
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