金ちゃん
管理人は毎日、片道1時間ほど満員の通勤電車に揺られています。朝晩はまだまだ冷え込むこの時期、電車内の暖房と乗客の熱気で結構暑く、駅に着いた頃には喉が渇いていることもしばしば。ただ、駅を降りるとグッと冷えた外気に身も心も包まれるため、春物のコートは手放せません。寒さで身体をすくめながら喉の乾きを覚える夜、飲めない管理人は温かい食べ物とノンアルコールビールを求めてフラフラと街をさまようことになります。とは言え普段、駅に到着するのはだいたい22時ぐらいで、繁華街や歓楽街を除けば開いているお店は多くないのが実情。時刻的にも中華や洋食と言ったコッテリした食事より、あっさりと食べられるうどんなどが恋しくなります。そこで今回は、深夜でも営業されているうどん店をめざして、一乗寺ラーメン街道まで原付を走らせました。
東大路通と北大路通の交差点(高野)を北へ800mほど行ったところにあるうどん店「金ちゃん(きんちゃん)」。以前REPORTした「びし屋」の東隣にあります。一乗寺ラーメン街道はラーメンばかりがクローズアップされているものの、実際にはさまざまな飲食店が軒を連ねている穴場スポット。そもそも地元民が毎日ラーメンを食べているハズもなく、他ジャンルの飲食店も充実しています。こちらは18時〜24:30まで営業されていて、夜遅くに食事したい人にとってはありがたいお店です。時刻は22:10、早速店内へ入ってみましょう。
カウンター10席以上、小上がりには6名まで座れる座敷3組と、かなり広々とした店内です。お一人様からグループまで気兼ねなく利用できるお店で、うどん店でありながら居酒屋使いにも便利。お客さんはほぼ地元の人が中心で、若者からミドル世代まで、年齢層は多岐に渡ります。それでは早速、メニューを確認してみましょう。
カレーうどん各種や「肉うどん」¥700、「きんぴらうどん」¥600なども人気ですが、それ以上に一品メニューが豊富なのもうれしいメニュー構成です。特に注目は韓国料理風の一品で、「生センマイ」¥850などはその辺の焼肉店でも提供されていない本格的なホルモン料理。ただのうどん店ではありません。もちろん「さばの西京焼き」¥580をはじめ、和風のツマミもしっかりと用意されています。うどんは〆にいただくとして、まずはノンアルコールビールと「冷やっこ」¥250と「ホルモン煮込み」¥650を注文してみました。
青ネギと削り節がまぶされたスタンダードな「冷やっこ」が到着。しかも半丁はあろうかというボリューム。チェーン居酒屋などではプリンのような小さい冷奴が多いと思いますが、管理人は豆腐が大好きなので、こちらの「冷やっこ」なら満足です。中華風や韓国風、オリーブオイルと黒胡椒、岩塩でどうぞ的な冷奴もおいしいのですが、やはり青ネギと削り節、醤油の冷奴が豆腐の味が一番わかります。乾いた喉をノンアルコールビールでうるおしつつ、あっさりとした冷奴をつつく幸せ。つくづく庶民でヨカッタと思いました。
タマネギたっぷりの「ホルモン煮込み」が運ばれてきます。こちらは一般的なモツ煮込みではなく、色からして韓国風。小鉢から飛び出す勢いで“真っ先にやっつけてくれ”と言わんばかりのタマネギもよく煮えていておいしい。汁はコチジャンベースでしょうか、さほど濃厚ではなくサッパリとはしているものの、味噌の甘みと程よいピリ辛にノンアルコールビールも進みます。それではホルモンをいただきましょう。
プリップリでコラーゲンたっぷり、しかも臭みなどは一切ないホルモンです。ホルモン(モツ)は下処理が難しく、フッとホルモンの匂いを感じる飲食店も少なくありません。焼くにせよ煮るにせよ、この匂いをごまかすために濃い味付けをするのがセオリーなのですが、こちらの「ホルモン煮込み」は薄味仕立てでも大丈夫。むしろホルモンが本来持っているコクと甘さを存分に堪能できます。韓国料理にも相当に精通されているのがわかるクオリティだと感心しました。さて、いよいよ〆のうどんです。どのうどんにするか迷ったものの、この「ホルモン煮込み」をいただき、ハンパない肉愛を感じたことから、今回は「すじうどん」¥700を注文しました。
青ネギに牛すじがどっさり乗った「すじうどん」です。見ただけで柔らかそうに炊き上げられた牛すじだとわかります。ダシの香りに我慢ができず、七味をたっぷりと振ってスープから味見をしてみましょう。
昆布と鰹節が効いた、王道の京風ダシです。これは京都人が最も愛するうどんダシでしょう。牛すじのコクも加わり、申し分のないおいしさです。先程まで居酒屋や韓国料理店のように錯覚していましたが、まぎれもなくうどん店であることがわかります。やさしい味わいのうどんスープは、夜遅くに食べるには最適ではないでしょうか。
うどんは細うどんで、コシなどはほとんどない京都風。地元の方に人気なのも理解できる、昔から食べ慣れてきたうどんです。“うどんはコシが命”という讃岐うどん派の方には不満かも知れませんが、ここは京都。京都人として、イケズだの感じが悪いだの腹黒いだのといった批判は事実ですので認めます。しかし、この柔らかうどんへの悪口は許しません。讃岐うどんのモチモチとしたおいしさとはまた別の味わいを楽しんでください。
柔らかな牛すじも絶品です。こちらも薄味ながら牛すじの旨味をしっかりと味わえます。京風のダシと細うどんにぴったりのおいしさ。個人的にはこちらの「肉うどん」に匹敵するか、もしくはそれ以上に好みの味でした。とにかく柔らかく煮込まれていますので、牛すじ好きなら絶対に注文すべきでしょう。
韓国料理風のツマミもいただける、ある意味で京都らしいうどん店です。一乗寺ラーメン街道ではラーメンマニアの方がラーメン店をハシゴすると聞きます。さまざまな個性的なラーメンを楽しまれた後、こちらのうどんや一品料理で〆られてはいかがでしょうか。叡電「一乗寺駅」から徒歩5分程度と交通アクセスも便利ですので、夜遅くにお腹が減ったなぁ〜という場合には、ぜひこちらまで足をお運びください。
[2020年4月7日訪問]
金ちゃん
●住所…京都市左京区一乗寺東杉ノ宮町18(Google マップ)
●TEL…075-711-4170
●定休日…日曜日および第3月曜日
●備考…喫煙可
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「金ちゃん」で検索してください。
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