60年以上&親子孫の三代に渡り人気の洋食店

洋食編
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グリル生研会館

昔ながらの本格派洋食店は繁盛店であっても後継者不足などを理由に、その数は減少の一方です。後継者問題は洋食店に限らず、小売店全般の宿命とも言えます。また、代替わりに成功したとしても、お店が必ずしも順調に存続する訳ではありません。先代までの事業を忠実に遂行していても、時代の変化に対応できず潰れてしまった店舗もあるでしょう。かと言って、新たな事業の展開や手法が裏目に出て、経営が立ち行かなくなった店舗もあります。商売の成功と失敗は紙一重であり、確たる正解はありません。そう考えると、長年に渡って代替わりを繰り返しながら事業を存続されている小売店は、ある意味奇跡のような存在と言えそうです。特に飲食店、とりわけ洋食店は長年存続するのが難しいジャンルであり、何代にも渡っての人気店はほとんど見受けられません。そんな中、60年以上・3世代に渡って街の人々から親しまれている洋食店下鴨神社の近くにあります。

河原町通今出川通の交差点(河原町今出川)を北へ300mほど行き、葵橋を渡ってさらに北へ500mほど行ったところにある洋食店「グリル生研会館(ぐりるせいけんかいかん)」。こちらはもともと1947年(昭和22年)に京都大学の一室を借りて自然科学系の研究をされていた「生活科学研究所」が1958年(昭和33年)、現在地に自所ビルを新築し移転、1962年(昭和37年)に「生産開発科学研究所」と改称され、現在も活動されている建物「生研会館」の1階にあります。こちらの開業は「生研会館」の開設と同じ1958年(昭和33年)。当時は研究者の宿泊施設も兼ねた建物で、朝食などもサービスされていたようです。初代のシェフは戦前の満州(現在の中国東北部)で随一の格式を誇った「大連ヤマトホテル」で料理の研鑽を積まれ、帰国後にこちらのシェフになられました。その昭和の洋食を味を受け継がれながら時代にあった洋食を追求してこられ、現在は初代シェフのお孫さんが三代目としてお店を切り盛りされています。管理人にとっては子どもの頃から馴染みがある洋食店ですが、最近はすっかりご無沙汰。近年では下鴨神社への観光客が増え、こちらも連日行列ができる人気店となっていて、足が遠のいていました。今回は久しぶりに訪問しようと、友人と2名で18:30に予約をして伺うことに。

新型コロナの影響でテイクアウトにも力を入れられていました。お弁当の袋を下げたお客さんがお店から出ていかれるところを目撃するなど、老舗店だからとあぐらをかかずに工夫されているようです。こちらは日によっては予約客しか入れないことも多く、確実に利用したい場合は電話などで予約してください。もちろん“一見さんお断り”とかではありませんので、初めての方でも予約をすれば安心して利用できますし、お一人様でも大丈夫。では早速、店内へ入ってみましょう。

入ってから気づいたのですが、訪問した日も予約客だけ受け付けられていました。クラシカルながら明るい店内で、誰でも手軽に利用できるカジュアルさもあり、地元の方に人気なのもうなづけます。昔ながらの洋食を求めてシニアの方からも人気が高く、お一人様の利用も多いのが特徴です。昼は12時〜ラストオーダー13:30、夜は17時〜ラストオーダー19:30営業時間が短めなためご注意ください。では、メニューを確認してみましょう。

王道の洋食メニューが並びますが、昭和の洋食として外せないのは「ビーフシチュー」や「タンシチュー」の各種セットメニューでしょう。シチュー類は日によって提供されていない場合もありますので、もしお店に伺ってシチュー類があれば迷わず注文してください。友人はおそらく人気ナンバーワンメニューである「ハンバーグ&エビフライ(サラダ・ライス付)」¥1,400を、管理人は本日のおすすめから「タンシチュー&ハンバーグ(サラダ・ライス付)」¥1,900を注文しました。

「タンシチュー&ハンバーグ(サラダ・ライス付)」が到着。実は料理を見た瞬間、“シマッタ”と思ったのが各種セットメニューにプラス¥400で注文できる「セットポタージュ」をすっかり忘れていたことです。こちらの「セットポタージュ」は古典的なフランス料理のポタージュスープを思わせる本物の味わいで、何か特別な事情でもない限り、必ず頼むべき逸品。セットプレートが到着してからスープを追加注文するのはさすがにマヌケ過ぎるので今回は涙を飲んで諦めます。もし皆さんがこちらへ来られることがあったら、ぜひ「セットポタージュ」をお試しください。それでは、まずはハンバーグからいただきます。

濃厚なデミグラスソースの奥深い味わいに、牛肉のおいしさがしっかりと楽しめる肉汁たっぷりなハンバーグです。やはり特筆すべきはデミグラスソースでしょう。さまざまな上質な素材と時間、手間暇をかけないと絶対に生まれないプロの味。大人の味であり、昭和の味と言っても過言ではありません。もはや失われつつある昭和洋食の味が、こちらではしっかりと息づいています。後世に残すべき味であり、京都の洋食を牽引する味ではないでしょうか。

そしてこのドミグラスソースを使ったタンシチューも絶品です。柔らかく煮込まれ、口の中で溶けてゆくタンのおいしさは洋食の醍醐味。タン塩や焼きタンもおいしいですが、同じタンとは思えない次元の異なる味わいには感動しかありません。こちらのセット「タンシチュー(温野菜・サラダ・ライス付)」¥2,500は、一般的な洋食店のタンシチューよりかなりリーズナブルに提供されています。でも味は超一流。本来であればいくら洋食大好き人間である管理人でも、夏場にシチュー類は食べません。しかしこちらのタンシチューは、時期に関係なく食べたくなる逸品です。これからの季節、気温もどんどんと上昇し、夏バテになる方も増えると思います。だからこそこの梅雨の時期に、栄養価の高い洋食で体力をつけて、厳しい夏の暑さに備えられてはいかがでしょうか。下鴨神社参拝の際にでも、ぜひ予約をした上でお立ち寄りください。

[2020年6月20日訪問]

グリル生研会館
●住所…京都市左京区下鴨森本町15 生産開発科学研究所ビル1F(Google マップ
●TEL…075-721-2933
●定休日…水曜日(夜)および木曜日(終日)
●備考…禁煙
●ホームページ…ホームページtwitterInstagram

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