知る人ぞ知る“天津飯の名店”と呼ばれる中華店

2020冷やし中華
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中華料理 鍋善

管理人が幼い頃ですから40年ほど前でしょうか、中華料理店に関してある説がまことしやかに流れていました。それは“汚い店ほどおいしい”という説で、周りの大人が真剣に語っていたのを記憶しています。そんな説を一蹴したのがグルメ漫画の巨人である「美味しんぼ」。汚い店とは衛生観念の薄い店であり、プロ意識に欠けた店なのだから、調理も当然いい加減でおいしい訳がない、という意味の発言をされていました。“汚い店ほどおいしい説”の根拠は、通常であればわざわざ行こうと思わない汚さにも関わらず、長年営業していて潰れていない(お客さんで繁盛している)のだからおいしいに違いない、といったところでしょうか。一方、「美味しんぼ」の“汚い店がおいしい訳がない説”も論理的で納得できます。管理人的には、不潔・不衛生な店は味以前に論外ですが、中華料理店は大量の油を使った調理が多く、長く営業すればするほど薄汚れてしまうのは仕方がないとも思うのです。特に昭和から営業していてリフォームなどされていない個人経営のお店は、毎日掃除されていても劣化してしまいます。そんなお店は入りにくいハズにも関わらず、実際にはお客さんも多く、長年繁盛しているとなればやはり「本物」でしょう。もちろん外観や店内の印象も大切ですので、“このお店はちょっと…”と抵抗感がある方は、いくら評判がよくても利用しない方がいいかも知れませんが。今回は初めての方はちょっと入りにくい雰囲気ながら味は本物、という昭和の大衆中華店をREPORTしてみました。

川端通七条通の交差点(川端七条/七条大橋)を南へ300mほど行き、塩小路通川端通師団街道)の交差点(塩小路橋)を東へ100mほど行ったところにある「中華料理 鍋善(ちゅうかりょうり なべぜん)」。いつから営業されているのかは定かではありませんが、年季の入りっぷりから昭和の中華店であることは間違いありません。ちなみになぜか食べログでは「掲載保留(2020年7月18日現在)」となっていますが、しっかりと営業されています。ただ、かつてと比べて営業時間を短縮されていて、昼は12時〜ラストオーダー13時、夜は17時〜21時となっていますので、特に“以前は夜遅くに利用していた”という方はご注意ください。時刻は12:20、早速店内へ入ってみましょう。

この昭和の映画に出てきそうな雑多な雰囲気が個人的には気に入っています。サイン色紙が10枚ほど貼られていますが、騎手や調教師など競馬関係者が多く、滋賀県にある栗東のトレセンから自動車で通われているのでしょうか。昼時の訪問ということもあり、店内はグループやお一人様で混雑していて、しかも管理人も含めてすべてオッサンだったのがこのお店を物語っていると言えるでしょう。今ではすっかりと居場所を失ったオッサンのパラダイスとして記憶しておいてください。女人禁制ではありませんので女性のお一人様やグループであれば、それなりの覚悟を勇気を持って訪問しましょう。ではメニューを確認してみます。

定食やセットメニューも豊富で、お一人様でも利用しやすいメニュー構成となっています。また、一品料理をツマミにお酒を飲む方にとっても便利ではないでしょうか。今回も当然、「冷麺」¥900(大:¥1,000)なのですが、こちらでぜひ食べていただきたいのが「天津飯」¥750です。普段は「天津飯」をまず注文しない管理人が、こちらを訪れた際にはほぼ間違いなく注文する個人的にはイチオシのメニュー。麺+飯はもう卒業したものの、当ブログをご覧いただいている皆様にはこちらの「天津飯」をどうしてもご覧いただきたい。そこで皆様のために仕方なく、「冷麺」と「天津飯」を注文してみました。これほど読者愛にあふれた管理人のブログなぜ過疎っているのか、本当に不思議です。

まず「天津飯」が到着しました。関西地方ではお馴染みの茶色の餡。関東地方ではケチャップベースの赤い餡の天津飯が一般的だそうで、東京で天津飯を食べたときはちょっとしたカルチャーショックを受けました。関西では醤油や塩をベースとした餡が主流なのに対し、関東がケチャップベースなのは、天津飯の成り立ちが異なるからだそうです。関西では“カニ玉(芙蓉蟹)丼”から生まれたのが天津飯、関東では“酢豚丼”から生まれたのが天津飯の発祥なのだとか。“えっ?酢豚丼???”と思われましたよね?管理人がデマを流していると。実は裏取りができなければ書くつもりはなかったのですが、幸いlivedoor NEWSに「東西で人気も味もまったく違うのはナゼ? 今、プチブームの「天津飯」研究」という記事がアップされていました。興味がある方はぜひご参照いただき、管理人を嘘つき呼ばわりするのは止めてください。では評判の「天津飯」を早速いただきましょう。

旨味が濃い醤油ベースの餡と絶妙な火加減のカニ(?)玉、白ご飯との相性が抜群です。関西では天津飯は日常的な食べ物でファンも多いとされていて、京都でも以前REPORTした「マルシン飯店」をはじめ“天津飯の名店”が存在しますが、実はこちらも“天津飯の名店”として知る人ぞ知るお店。全国放送の人気テレビ番組でも取り上げられたそうです。こちらの「天津飯」のポイントは、やはり餡。京料理の銀餡と同様、旨さのかたまりの味わいに醤油味や甘みなどが調合された、玉子焼きにもご飯にもよく合う餡ではないでしょうか。こちらに訪問された方は、絶対にご賞味いただきたい「天津飯」です。

そして「冷麺」が到着。キュウリ、チャーシュー、錦糸玉子がどっさりと乗った、大衆中華店らしい豪快な一品です。チャーシューは脂身の少ない赤身肉メインで、冷たい麺やスープにもピッタリ。湯剥きされたトマトの爽やかな酸味とキュウリの新鮮な味わい、作りたての錦糸玉子も人肌まで冷まされていておいしい。王道な具ながら、これだけボリュームがあると、ちょっと贅沢な気分になります。ではいよいよ麺をいただきましょう。

麺は細めの中華麺、スープは酢醤油ベースで酸味抑えめ・甘み強めの正統派スタイル。底に氷が仕込んであるのも昭和流で、冷たいまま最後までいただけます。麺の量が多いめなのも高ポイントです。暑い夏にガツガツと食べたい、本当に昔ながらの中華店の冷やし中華と出会うことができました。「天津飯」や「冷麺」だけでなく、各種定食や一品料理も間違いのないクオリティです。イマドキの中華店にはない、なつかしい味がここにはあります。ひとりでフラっと利用するにも便利なお店ですので、お近くまで来られた際には立ち寄られてみてはいかがでしょうか。

[2020年7月11日訪問]

中華料理 鍋善
●住所…京都市東山区一橋宮ノ内町2(Google マップ
●TEL…075-200-3820
●定休日…日曜日
●備考①…「冷麺」は通年提供?
●備考②…分煙
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「鍋善」で検索してください。

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