京の町家でいただくハイレベルな中華料理店

2020冷やし中華
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中華 六六

先日、得意先の若い女性と話をしていて管理人が京都市民であることがバレ、“京都憧れますぅ〜、住んでみたいですぅ〜”とか言ってました。親切心から“やめときなはれ”と忠告したところ、“あぁ…やっぱりお茶漬けを勧められたり、子どものピアノを褒められたりするからですか?”と尋ねられました。「お茶漬けを勧められたり」や「子どものピアノを褒められたり」をご存知ない方はこちらをご参照ください。要するに「京都の人はウラオモテがあり、遠回しに非難・注意している」という京都人独特の言い回しを指しています。

と、さも京都人がこれらの言い回しを駆使して会話しているかのように聞こえますが、大間違いです。タチの悪いことに専門家・研究者と称する人々やマスメディアが肯定していて、他都道府県の人、場合によっては京都人自らによって悪意を盛られながら全国区へ広がっています。まず「お茶漬」ですが、これは一説には上方落語をベースとしているらしく、いわゆる都市伝説でしょう。管理人の感覚ですが、身内やよほど親しい人でもない限り、お茶漬けなどという貧相なものは勧めません。そもそもお茶漬けは朝食が基本。電気炊飯器がなかった時代、夕飯にお米を炊いてお櫃に移し、余ったら翌朝食べる訳ですが、特に冬の京都は底冷えが厳しくお櫃のご飯も凍っているぐらいに冷たい。そこで熱いお茶でお茶漬けとして食べる節約・倹約術です。来訪客が長居しているから早く帰ってほしい合図が「お茶漬けを勧める」では、わかりにく過ぎでしょ。「これから来客がありまして」や「今からお届け物に伺う用事がありまして」など、もっとわかりやすくヤンワリと追い出せますからね。「ピアノ」はひょっとしたら言っている人はいるかも知れません。が、別に京都人だからではなく、どこの地域でも遠回しに話をされる方はいくらでもいらっしゃいます。そもそも無遠慮に長居をしたり、近所迷惑な音量でピアノを弾くことこそ、人の迷惑を省みない行為であり、糾弾されるべきではないでしょうか。“京都の人は長年に渡ってご近所づきあいをされているため、自然とカドが立たないよう会話する”といったもっともらしい説も聞いたことはあるものの、それこそどこの地域でもご近所づきあいはあり、揉め事が起きないよう気をつけて話をするハズです。それとも他地域の方々は「もう帰れやデブ!」とか「オマエの子どものピアノ、うるさいんじゃデブ!」とか言い合っているのでしょうか。そんなの殺人事件に発展してもおかしくないと思うのですが。

ただ、個人的には他都道府県の人が、通勤や通学で仕方がない場合を除き、わざわざ京都市内に住むのはオススメできません。まず、夏は湿気が強くとにかく暑く、冬は底冷えと呼ばれる寒さでゲンナリします。次に物価が割高。特に食料品や日用品などは大阪市内と比べても高めな印象です。道も古い街だけあってかなり狭く、駐車スペースも人口の割に少なめ。繁華街や歓楽街も一部地域にしかなく、かといって大自然を満喫するためにはかなりの郊外まで行く必要があります。もっとも、歴史や神社仏閣が好きな人、古い街並みに惹かれる人ならイイかも。京都だけでなく近隣府県にも歴史の舞台となった建造物が多く、数年は楽しめると思います。まぁ、別に住むまでもなく、休日を利用して年に数日泊まるだけで十分でしょう。例えば京都の町(街)家で宿泊したり、食事を取ることもできますし。今回は実はお盆特集ということで、まことしやかに噂されている京都人気質の真実(?)を書いてみました。思った以上の長文となりましたが、決してイヤガラセではありません。そして今回のREPORTは“京都の町家で冷やし中華”どすえ〜。

北大路通堀川通の交差点(堀川北大路)を西へ150mほど行ったところにある「中華 六六(ちゅうか ろくろく)」。京都の町家をリノベーションされ、こちらも含め複数の店舗が立ち並んでいます。開業は2018年(平成30年)とまだ新しいお店ながら、すでに多くのお客さんで賑わう人気店となっていました。地元の方はもちろん、近隣には大徳寺などの古刹をはじめ、船岡山公園などの観光スポットにも近く、観光目的の方も利用しやすい立地です。また、佛教大学大谷大学も近くにあるため、学生の利用も多いのではないでしょうか。まずは店頭のメニューを確認してみましょう。

昼は定食、夜は一品料理が充実しています。この中華店とは思えない京風のオシャレな外観ながら、価格は街ナカの大衆中華店レベルのリーズナブルさ。管理人は祖父母が町家住まいだったこともあり特に感慨などはない、むしろ町家の欠点を知っているため住みたいとは思わないのですが、京都に住みたい方はタワーマンションではなく町家に住みたいのだそうです。もっとも、京都市内は条例によりタワマンなどの超高層ビルは建設できないのでご注意ください。時刻は13:20、早速店内へ入ってみましょう。

室内へは靴を脱いで上がる町家っぷり(?)です。メンドクサ、とか思ってはイケマセンよ。店内もリノベーションされているようで、レトロな和モダンながら清潔感もあり、センスが光る内装。カウンター席は掘りごたつ式になっていますので、イス生活に慣れてあぐらや正座が苦痛となった管理人でもゆったりとくつろげます。お一人様だけでなく、グループでの利用や、デートにもピッタリ。いやらしい。では改めてメニューを確認してみましょう。

定食類にもそそられますが、ここはやはり夏季限定の2種類の冷やし中華である「棒々鶏冷麺」と「特製冷やし中華」(共に¥950)から選びます。2種類の冷やし中華にプラス¥50でごはん or 杏仁豆腐が付くSetがお得。今回は「特製冷やし中華Set(杏仁豆腐)」を注文してみました。

目にも鮮やかで涼しげな「特製冷やし中華」が到着。具は水菜、キャベツ、白ネギ、キュウリ、トマトの野菜類に、蒸し鶏とボリューム感も満点です。ホンノリと赤いスープはおそらく赤酢を使われた酢醤油ベースなのでしょう。野菜たっぷりでヘルシーかつ女子ウケしそうな冷やし中華ですが、騙されてはいけません。冷やし中華はビジュアルもさることながら、問題はやはり味。まずはスープから試してみます。

酢醤油ベースのスープとしは珍しく、やさしいまろやかな味わいです。この赤酢は中国のものでしょうか、普段調味料として使っている酢と比べてもおだやかな味となっています。高級な中華料理のような奥深い味わいで、とにかくおいしい。ゴマ油も効いていて、ゴマの風味もしっかりと感じられます。これはハイレベルな技術と素材でしか生み出せない冷やし中華ではないでしょうか。

麺は中細の少しウェイブがかかった中華麺で、スープや具ともよくからみます。少し固めの茹で加減も完璧で、シコシコとした食感が素晴らしい逸品。具のトマトがフルーツトマトのように甘く、全体のアクセントとなっています。一般的な冷やし中華とは別物の、贅沢な味わいを楽しめる冷やし中華だと感心しました。

鶏モモ肉の蒸し鶏も絶品です。特に酢醤油ベースとの相性が抜群で、ゴマダレベースなら少ししつこく感じるかも知れません。この蒸し鶏の濃厚なコクと旨味は、上質な鶏のモモ肉だからこその味わいなのでしょう。柔らかくも弾力のある身肉にプルンプルンの皮が2層となっていて、旨味が口の中であふれ出るおいしさでした。

そして問題はこちらの「杏仁豆腐」です。生クリームで仕上げられたイマドキの「杏仁豆腐」ですが、管理人がこれまで食べた杏仁豆腐の中でも、おそらくベスト3には入るおいしさ。「特製冷やし中華」を食べた段階で相当な技量をお持ちなのはわかっていたものの、この「杏仁豆腐」も丁寧に作られています。パンナコッタのようなクリーミーで濃厚な味わいは、他店ではなかなか味わえないのではないでしょうか。すべてにおいてハイレベルな味を堪能することができました。こちらはテイクアウトにも力を入れておられ、店内メニューのほぼすべてをお持ち帰りできます。地下鉄「北大路駅」から徒歩11分程度ですので、お近くにお越しの際にはぜひ立ち寄られて店内飲食やテイクアウトでご利用ください。

[2020年7月24日訪問]

中華 六六
●住所…京都市北区紫野西御所田町23(Google マップ
●TEL…075-406-7774 【営業時間外は→080-4011-1564】
●定休日…月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
●備考①…「棒々鶏冷麺」「特製冷やし中華」は夏季限定
●備考②…禁煙
●ホームページ…Instagram

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