旨さ凄い新感覚でアバンギャルドなうどん店

和食編
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UDON MAIN

京都は古都であるため保守的な土壌や思想があると思われがちですが、京都人は意外と新しいモノ好き。新しいモノはとりあえず試してみようの精神が息づいていて、文化だけでなく学問や政治でもその傾向が色濃いように感じます。ただ、よく知らない人への警戒心がハンパではないため、他都道府県の方から見ると京都人はとっつきにくいと思われているかも知れません。“京都は営業しにくい”とおっしゃるビジネスパーソンのお話をよく伺いますが、最初は門前払いが当たり前のイヤな気質があります。それは売り込まれた商品に不満があるのではなく、営業に来られた人を警戒しているからで、いったん気を許すと案外営業しやすい地域と言えるのではないでしょうか。そんな新しいモノに興味津々な京都人が足繁く通う、一風変わったうどん店が祇園の近くにあります。

川端通三条通の交差点(川端三条/三条大橋)を南へ300mほど行き、新門前通を東へ100mほど行ったところにあるうどん店「UDON MAIN(うどん めーん)」。店名からしてアバンギャルドな感じがしますね。この辺りは古きよき京都の街並みが色濃く残る地域であり、京都ナンバーワンの歓楽街・祇園から近いこともあり、コロナ騒動の前までは多くの外国人観光客で賑わっていました。現在、他都道府県からの観光客が徐々に増えている状況ではあるものの、夜は閑散としています。こちらは2018年(平成30年)11月にオープンされたうどん店で、京都に古くからある町家をリフォームされているようです。時刻は21時、早速店内へ入ってみましょう。

おそらくお金持ちだった方が住んでいた京都の町家を上手にうどん店とされています。土間沿いに部屋があり、奥に中庭がある、鰻の寝床の典型的な町家です。町家は当然古いこともあり維持するのも大変と聞いたことがあるのですが、もともとは畳であったであろう部屋をフローリングにされているなど、現代的に改装されています。カウンターもあり、お一人様での利用も入りやすい雰囲気。祇園から徒歩圏内なこともあり、舞妓・芸妓も通われているようです。ではメニューを確認してみましょう。

一般的なうどん店では定番のきつねうどんなどは見当たりません。“トンポーロー”や“パクチー”、“グリーンカレー”といった、うどん店のメニューとは思えない斬新な料理用語が並んでいます。かと思えば「うどんすき」¥5,000のような、関西の冬の宴会では定番のメニューもあり、一品料理も充実しているなど、新感覚のうどん店と言えるでしょう。中華やエスニックのエッセンスをうどんに採り入れた、タダモノではなさそうなうどん店です。今回はこちらのオーナーのお祖父様がかつて中華料理店で腕を振るわれていて、そこから学ばれたトンポーロー(豚の角煮)を使った「トンポーローうどん」¥1,000と自家製の鰹節佃煮とゆかりの2種類の「おにぎり」¥400を注文してみました。

「トンポーローうどん」と「おにぎり」が到着。「トンポーローうどん」は一見、角煮ラーメンのラーメンをうどんに置き換えたようなビジュアルです。正直、ラーメンをうどんに置き換えただけなら、さほど驚きはなく、アイデア先行のメニューにも思えます。なぜなら、どう考えてもうどんよりラーメンの方が合うからです。ただ、こちらの「トンポーローうどん」は違います。フワッと鼻腔をくすぐるダシの香りは、正統派のうどんダシ。とにかくダシからいただいてみましょう。

鰹節と昆布の香りが広がる極上のうどんダシです。そこにトンポーローのコクもプラスされていて、さまざまな旨味が融合されています。ただでさえおいしいダシをさらにおいしくするためのトンポーローというのがハッキリとわかる深い味わい。決してアイデア倒れのうどんではありません。

うどんは「氷見うどん」を使用されているそうで、細めながら幅広のうどんのやさしい食感に癒やされます。京都人が好むフニャフニャのコシがないうどんに近い柔らかさですが、一般的な細うどん以上になめらかな舌触りと喉越し。ダシとの相性も抜群で、ある意味、京都らしいおいしさだと感じました。

トンポーローもさすがは自慢に逸品だけはある味わいです。八角などの香辛料を使われた本格的なトンポーローで、しかも特筆すべきは皮付きであるということ。管理人の私見ですが、京都の精肉店で皮付きの豚バラブロックは見たことがありません。実は社会人になって大阪市内に住んでいた頃、在日韓国・朝鮮人が多いエリアにアパートがあり、その近辺のスーパーの精肉コーナーでは皮付きの豚バラブロックが当たり前のように販売されていました。中華料理店や韓国料理店で皮付きの豚バラ料理は食べたことはあったものの、どうやって調理していいかわからず、結局一度も購入しなかったのですが。この豚の皮がおいしい。ネットリとしたゼラチン質の豊かな味わいは、脂とはまた違った旨味とコクがあります。京都の中華料理店ではなかなかお目にかかれない豚の皮付き角煮、興味がある方はこのためだけに来ても損はないと断言できるでしょう。

うどんには炊き込みご飯(かやくご飯、五目ご飯)かおにぎりがよく合います。最近おにぎりを食べる機会がすっかり減ったのですが、おそらく炊きたてのご飯なのでしょう、このシンプルな味わいとの出会いは、日本人に生まれてよかったと思う瞬間です。やさしいうどんとの取り合わせも絶妙で、胃も心も満たされた夕食となりました。こちらはアルコール類も豊富なため、飲んだ後の〆だけでなく、2軒目・3軒目として利用されてもいいでしょう。祇園周辺で飲食された方は、ぜひこちらにも足を運んで京都の新感覚うどんをご賞味ください。

[2020年10月14日訪問]

UDON MAIN
●住所…京都市東山区西之町201-1(Google マップ
●TEL…080-4561-5100
●定休日…なし
●備考…禁煙
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