温かい十割蕎麦も楽しめる哲学の道近くの蕎麦店

和食編
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倖元

銀閣寺のほど近く、哲学の道周辺は住宅街でもあり観光地でもあることから、飲食店が密集しています。中でも蕎麦店も多いエリアで、管理人はすべてのお店を知っている訳ではないものの、蕎麦処が多い京都市内でも有数の地域です。さらに老舗店では取り扱っていないことが多い十割蕎麦のお店も増えてきて、蕎麦の世界でも日々技術革新が進んでいると感じます。蕎麦マニアの間では“十割蕎麦か、二八蕎麦か”といった論争が絶え間なく続いているらしいのですが、一般人にとっては“おいしくて安ければどちらでもいい”というのが本音でしょう。管理人は立ち食い蕎麦はもちろん、カップ蕎麦ですらおいしくいただける幸運の星のもとに生まれてきましたが、やはり蕎麦専門店の蕎麦は別格と言わざるを得ません。そこで今回は、哲学の道近くにある人気蕎麦店をREPORTしてみました。

白川通今出川通の交差点(白川通今出川)を南へ550mほど行き、西向き一方通行の細い道(東第三緯40号線)を東へ100mほど行ったところにある「倖元(ゆきもと)」。地元の方はもちろん、銀閣寺哲学の道などの観光ついでに立ち寄られる方も多い人気店です。住宅街にあり、ちょっとわかりにくい場所にありますので詳しい道順はGoogle マップをご参照ください。こちらは11:30開店で11:30前に伺うとすでに2組ほど並んで開店を待ち構えておられました。3組目であれば座れるだろうと管理人も行列に加わります。しばらくして開店されましたので、店内へ入ってみました。

カウンター席だけのこじんまりとしたお店です。管理人の後に並ばれていたお客さんで店内は満席。並ぶのがイヤな方は開店前に訪問すれば、おそらくそんなに並ばずに済むと思います。こちらは十割蕎麦も二八蕎麦も用意されていますので、それぞれの派閥に属している方どうしでも仲良く蕎麦を楽しむことができるでしょう。開店前に並ばれていた3人組の中で蕎麦マニアのお客さんでしょうか、連れの方に十割蕎麦と二八蕎麦の違いを解説されていて、本格蕎麦店に来たと改めて実感できました。こういうウンチクを語るのも外食の醍醐味です。管理人のようにプロでもないのにブログでそれらしく語っているのは、もはや病的なレベルですが。ではメニューを確認してみましょう。

今回、食べる蕎麦は決めていました。昨年ズルズルと(蕎麦だけに)食べる機会を逸していて結局年明けに食べることとなった「鴨南蛮(鴨としろ葱)」¥1,550です。昨年はなぜか鴨南蛮のないお店へ行ったり、蕎麦店で鴨南蛮以外のタネ物を食べていたりと自分でも理解できない状況だったのですが、冬の蕎麦店でのご馳走はとにかく鴨南蛮です。蕎麦マニアの中には“ツウは冬でもざるかもり”とこだわっている方も見受けられますが、個人的にそんなものはツウとは認めません。アツアツの鴨南蛮の味を知らずして蕎麦を語るなど100年早いわ!と蕎麦のプロでもツウでもない管理人は言いたい。ただ、温かい蕎麦で十割蕎麦と二八蕎麦、どちらを選ぶかは思案のしどころです。これまで、温かい十割蕎麦はあり得ないのが普通でした。蕎麦粉100%でツナギを入れず水と塩だけで打つ蕎麦は本来、温かい汁に入れるとプツプツとちぎれるからです。しかし、最近では蕎麦打ちの技術も進化したのでしょう、温かい十割蕎麦を提供するお店も増えてきて、こちらでも提供されています。ボソボソとした食感の蕎麦はイヤだなぁ…ここはセオリー通り二八蕎麦にするか…と熟考したものの、やはり温かい十割蕎麦を試したい。そして「お昼のサービスセット(お好みのそばにかやくご飯、小鉢、香の物が付きます)」¥150も食べたい。そこで今回は十割蕎麦の「鴨南蛮(鴨としろ葱)」とドサクサにまぎれて「お昼のサービスセット」を注文してみました。もう麺と飯はセットのような感覚になっていて、痩せない原因が何となくわかったのが収穫だということにしておいてください。

「鴨南蛮(鴨としろ葱)」と「お昼のサービスセット」が到着。¥150プラスでこれほどの絶景となったので正解です。そして鴨肉がたっぷりと入った「鴨南蛮(鴨としろ葱)」も正解であり正義。蕎麦ダシの芳醇な香りに食欲もかきたてられます。「お昼のサービスセット」の小鉢は牛すき煮とだし巻き玉子、そして野菜のお浸しで、ツマミとしても有能。こちらは“蕎麦屋で一杯”も人気のお店として知られ、「おでん」を始めとする一品メニューにも定評があります。まずは気になる十割蕎麦の「鴨南蛮(鴨としろ葱)」をいただきましょう。

蕎麦ダシ、ミツバ、ユズの香りがたまりません。そして驚かされたのが蕎麦。十割蕎麦でありながら、温かいダシでもボソボソすることなく、なめらかな舌触りです。とは言え、二八蕎麦とは食感が微妙に異なります。素朴ななめらかさ、とでも表現すればいいでしょうか、ツルツルではなくスルスルがしっくりとくる食感と喉越しです。蕎麦の風味も楽しめ、しかも舌触りは損なっていないおいしさ。鴨(合鴨)から出た滋味深い味わいのダシとの相性も抜群と言えるでしょう。

そして鴨(合鴨)肉。こちらの鴨南蛮では軟骨などが入ったツクネは入っておらず、鴨(合鴨)のロース肉のみで勝負されています。この肉の旨味がおいしい。脂も甘く、肉も濃厚な味わいで、食べると身体がポカポカと暖まります。これが古来より珍重されてきた鴨の効能です。鶏ではこの味にはなりません。鶏よりも野性味あふれる味わいで好き嫌いは分かれるかも知れませんが、フランス料理など海外では牛肉よりも高値で取り引きされています。日本では大昔から食べられていたものの、鳥肉の主役の座を鶏に奪われてしまいました。現在では料亭や割烹などで高級食材として使用されていますが、もっと普及して鶏肉並の低コストになれば、料理などでも手軽に使えるようになると思います。

鴨南蛮の影の主役は白ネギです。さまざまな旨味をたっぷりと含んだ焼きネギのおいしさは、尋常ではありません。これだけで立派な一品料理です。ネギは風邪の予防にも効果的で、何より鴨との相性もピッタリ。ぜひじっくりと味わっていただきたいおいしさだと断言できます。

かやくご飯(炊き込みご飯)も絶品です。シメジや油揚げ、鶏肉の旨味がご飯に移り、ちょうどいい塩梅に仕上がっています。これも食べないと絶対に損。昼ならプラス¥150で小鉢とともに味わえるのですから、ランチであればぜひ蕎麦と一緒に堪能していただきたいと思います。常に混雑するお店ですが、哲学の道銀閣寺などへの観光ついでにでも立ち寄ってみてください。並ぶだけの価値はある蕎麦や一品料理を存分に楽しめますよ。

[2020年11月22日訪問]

倖元
●住所…京都市左京区浄土寺下南田町37(Google マップ
●TEL…075-746-4108
●定休日…月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「倖元」で検索してください。

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