一麦七菜
京都自体は蕎麦処も多いのですが、そもそも関西はうどん文化圏であり独自のうどん文化が育まれてきました。ただ、関西系うどんのメッカである大阪と、うどんも蕎麦も愛する京都では、同じうどんでもかなり違いがあります。まず京都のうどんの特徴として最もわかりやすいのがうどんの細さ。大阪のうどんが中太なのに対し、京都では細うどんが主流です。そして青ネギ。京都のうどん店の多くは京野菜である九条ネギを使用されています。薬味も大阪は七味唐辛子ほぼ一択ですが、京都では七味唐辛子・一味唐辛子・粉山椒と3種類をお客さんが選べることが多いようです。隣同士でありながら何かといがみ合っている京都府民と大阪府民は、うどん1つを取っても互いに特徴的。そりゃ世界平和なんて絶対ムリ、と感じざるを得ません。日々京都府民のスパイとして大阪市に潜入している管理人としては、うどんはやはり京都風が好み。そこで今回は、京都らしいうどんをREPORTしようと、紫野エリアへ原付を走らせました。
北大路通と千本通の交差点(千本北大路)を東へ250mほど行き、船岡山の入口を左手に見ながら南へ50mほど行ったところにあるうどん店「一麦七菜(いちばくななさい)」。船岡山公園や建勲神社とほぼ隣接していて大徳寺も近く、観光客にも人気のエリアです。また、佛教大学も徒歩圏内にあり、学生が多い地域でもあります。こちらは2016年(平成28年)、現在地に移転オープンされてのですが、実はもともと神奈川県平塚市でお店を経営されていたそうです。そういう意味では関東風うどんで京都風のそれではないと思いきや、地元民の管理人でも京都風のうどんとしか思えない不思議。連日混雑する繁盛店ですのでお昼時を少しはずした14時に訪問してみましょう。
この時刻でも7割程度のお客さんがうどんを楽しまれていました。写真は管理人が食べ終わるぐらいのタイミングで撮影したものです。カウンター席とテーブル席、そしてお客さんがいらっしゃいましたので撮影はしなかった小上がりの座敷もあり、お一人様でもグループでも利用しやすいお店となっています。和テイストの民芸調で清潔感のある店内は女性客にも人気で、訪問した日も女性客多めでした。ではメニューを確認してみましょう。
一般的なうどん店では提供されていない現代風のうどん各種も豊富です。もちろん王道のうどんメニューも用意されていて、老若男女に対応したイマドキのうどん店と言えるでしょう。サテ、管理人的には「牡蠣南蛮」¥1,600や「鴨南蛮」¥1,600を選びたかったものの、日頃の野菜不足が気になるうえ、店名が「一麦七菜」であることから、今回は「温七菜(季節の野菜の揚げびたし)」¥1,100をチョイス。さらに土・日・祝は炊けているという「五目御飯」(小:¥250・大:¥350)も炊けているなら仕方がないので「五目御飯(小)」を注文してみました。炊けているなら食べないと仕方がないですよね。
ヘルシーで野菜たっぷりの温かいうどん「温七菜」と「五目御飯(小)」が到着。琥珀色の透き通ったダシに九条ネギなどの野菜、唯一のタンパク質であるカマボコと、とても健康的でおいしそうなうどんです。「五目御飯(小)」からもダシのいい香りが漂ってきます。これなら炭水化物&炭水化物の組み合わせでも罪悪感はありません。完全犯罪を成立させたところで「温七菜」からいただきます。
あぁ…滋味あふれるダシの豊かな味わいです。丁寧に取られたであろう昆布カツオだしのスッキリとしたおいしさで塩分控えめなのもうれしい。妙な甘みなどもなく、ゴクゴクと飲み干したくなる上質なダシの旨味を味わえます。
こちらのうどんは細うどん。ご主人の好みらしいのですが、京都人に受け入れられやすい細うどんとしたことで、人気店になったのでしょう。こちらのうどんは京都本来の細うどんではなく少し幅広な細うどんで、少しコシは感じるものの柔らかい食感となっています。この腰抜けうどんも昔から京都人の大好物ですので、もう京都風うどんと言っても差し支えありません。
具はナスやサツマイモ、カボチャ、レンコン、長芋、シイタケ、九条ネギ、カマボコと、名前の通り七つの野菜が入っています。素揚げされているため野菜のエグミやアクが抜けていて、ダシの旨味と野菜の味わいが絶妙にマッチ。野菜のおいしさを実感させてくれるうどんではないでしょうか。
そして「五目御飯(小)」です。ダシの味わいに鶏肉や油揚げ、根菜などの具の旨味とご飯の甘みが素晴らしい逸品。うどん店の五目御飯(炊き込みご飯、かやくご飯)はなぜおいしいのかと言えば、やはりダシの味わいに尽きると改めて感じられます。ダシの凄みを味わえる「五目御飯」は必食と言えるでしょう。開店4年ですっかりうどんの名店として定着した感があるお店です。観光などで船岡山近辺へお越しの際には、京都風の野菜たっぷりうどんを一度試してみられてはいかがでしょうか。
[2020年12月6日訪問]
一麦七菜
●住所…京都市北区紫野下若草町32-3(Google マップ)
●TEL…075-431-4970
●定休日…火曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…facebook
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