鯖寿司や蒸し寿司などが絶品な京寿司の名店

和食編
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千登利亭

京都の魚料理と言えばハモやグジ(アマダイ)を使った京料理やおばんざい(総菜)が有名です。確かに京都らしい料理が多く、ハモにせよグジにせよ白身魚で淡泊な味わいも京都らしさに一役買っているのでしょう。しかし、京都の庶民が昔から親しんでいる魚は、ブリ・ハマチ(ブリの幼魚)やサバなどの青魚ではないでしょうか。特にサバは現在でこそ高級魚クラスの価格で取引されているものの、かつてはかなり安い値段で購入できる庶民の味方でした。中でも日本海から鯖街道を通って運ばれる塩サバはどこの鮮魚店でも必ず置かれていて、常に食卓を飾っていたと思います。そしてお祭りやハレの日などで食べられていたのが鯖寿司です。

京都市内には寿司店をはじめ、さまざまなお店で鯖寿司が販売されているだけでなく、各家庭でも自作されている場合も少なくありません。管理人も曾祖母・祖母・母と三代に渡って受け継がれてきた“家の鯖寿司”を食べてきました。曾祖母・祖母・母の作っている姿を見てきたことに加え、鯖寿司の命でもある寿司酢や漬け酢のレシピも遺されていて、管理人も四代目として作ろうと思えば作れるのですが、お一人様では作る量が多すぎて食べきれません。普通は友人や職場などに配るものの、コロナ禍ではそれも難しい。何より鯖寿司にできるクオリティのサバは価格がお高いうえ、しかも自作はやはりメンドくさい。というワケで四代目を襲名せず、“家の鯖寿司”を管理人の代でこっそりと終わらせようと考えていました。そんな時、若さだけが取り柄の姪が“私がおばあちゃん(管理人の母)の鯖寿司を作る”と言い出したのです。ナルホド、社会人1年目で若さだけは有り余っている20歳代前半であれば、鯖寿司作りがメンドくさくないのかも知れない。モノわかりがいいフリをしているアラフィフ叔父としては全面的に応援するべく、レシピやサバの購入先などを若さだけが取り柄の姪にすべて伝えて四代目に任命しました。“鯖寿司ができたらオッチャン(姪は育ちが悪いので叔父様に対してオッチャンと呼びます)にも届ける”と言う若さだけが取り柄の姪の言葉は丁重にお断りし、名店の鯖寿司を食べようと祇園へと向かいます。

川端通四条通の交差点(四条大橋)を南へ200mほど行き、団栗通りを東へ80mほど行ったところにある寿司店「千登利亭(ちどりてい)」。こちらはイマドキの江戸前握り寿司店ではなく、京寿司を提供されている創業1899年(明治32年)の老舗店です。現在の大将は四代目だそうで、「卓越した技能者(現代の名工)」で表彰もされています。どこぞの四代目とはエライ違いです。確か「京都寿司のれん会」という秘密結社親睦団体にも加盟されていたと思うのですが、ホームページの加盟店一覧に店名が掲載されていませんでしたので脱退されたのかも知れません。祇園エリアは鯖寿司の名店が多く、こちらも食べログのTOP5000に選ばれるほどの人気店。ただ、11時〜21:30の通し営業で、昼どきなどをはずせばお一人様でも落ち着いて食事ができます。時刻は14:30、早速店内へ入ってみましょう。

雨模様だったこともあり、お客さんはいらっしゃいませんでした。管理人も久しぶりの訪問で、ある程度の混雑は予想していたためちょっと意外。やはりコロナの影響もあるのでしょうか。こちらでは店内飲食はもちろん、どのメニューもほぼテイクアウトが可能です。鯖寿司はお店であろうと家庭であろうと、それぞれの味付けがあり一概には言えないものの、相対的に家庭の鯖寿司は酸っぱめで甘めなことが多いと思います。家庭では保存性も重要視されているからで、それはそれでおいしい。しかし、サバ本来の旨味をより堪能できるのは名店の鯖寿司です。寿司飯もおだやかな味付けで、漬け酢にサバを浅めに漬ける、家庭の鯖寿司に比べると大人の味と言えるでしょう。ではメニューを確認します。

「鯖寿司(一人前・6切れ)」¥2,376にしようと考えてのですが、せっかくなので京都らしい寿司をいろいろと食べられる「若狭セット(鯖寿司、活鱧箱寿司、巻寿司、ちらし寿司、お吸い物)」¥2,490もイイなぁ…!ちらし寿司をプラス¥460で蒸し寿司に変更できる!!と知り、「若狭セット(鯖寿司、活鱧箱寿司、巻寿司、蒸し寿司、お吸い物)」¥2,950に決めました。蒸し寿司は関西独特のアツアツの寿司で、冬のご馳走です。“熱い寿司なんておいしいのか?”と疑問に思われる方も多く、関西人ですら年配の方ならともかく、ほとんどの人にあまり知られていない蒸し寿司は、京都や大阪では古くから供されてきた伝統の寿司なのですよ。冬に京都へ来られた方には、ぜひ味わっていただきたいと考え、ランチとしては贅沢な価格ながら注文してみました。

「若狭セット(鯖寿司、活鱧箱寿司、巻寿司、蒸し寿司、お吸い物)」が到着。管理人にとって鯖寿司や蒸し寿司以上になつかしい活鱧箱寿司も盛り込まれています。実は曾祖母の得意料理であり、管理人が幼児の頃は鯖寿司よりも好物でした。ハモの身を甘辛く炊いてほぐし身にし、木製の専用型で整形する押し寿司で、“箱寿司”としては大阪の方がメジャーですが、ハモを使うのが京都流。サバアレルギーの方やサバが得意でない方なら、ぜひハモの箱寿司を食べていただきたいと思います。では、活鱧箱寿司からいただきましょう。

煮穴子のような甘辛の味付けにハモの風味が抜群の相性です。少し甘めなこともあり、子どもにも人気のおいしさではないでしょうか。ハモは骨が強い魚で骨切りと呼ばれる包丁技が必要ですが、こちらの箱寿司は骨など微塵も感じられません。これは小骨を丁寧に抜かないとできない食感で、さすがは現代の名工手間ひまがかけられた本物の味わいです。

そしてお目当ての鯖寿司。表面に乗っているのは白板昆布で、家庭の鯖寿司ではまずお目にかかれません。ひとくち食べると、やさしい酸味と甘みの次に塩気が感じられ、そして口いっぱいにサバの旨味が広がります。舌の体温で溶けてゆくサバの脂が素晴らしく、鯖寿司が古くから京都人に愛されてきている理由もよくわかる逸品。もちろん生臭さなどは一切ありません。酢飯もほどよい塩梅で、しかも固くなく、口の中でほぐれます。これほどのクオリティの鯖寿司は京都でも珍しいと思いました。

冬のご馳走でもある蒸し寿司です。湯気も出ているホカホカ具合で、アツアツをいただきます。熱で酢飯の酸味はほとんど飛んでいて、具材や米の甘みがおいしい。ちらし寿司を炊き込みごはんにしたような味わいでしょうか。心の底まで温まるやさしいおいしさです。こちらもクセなどはまったくありませんので、老若男女に試していただきたい味だと感じました。鯖寿司、いや京寿司の実力が実感できた今回のREPORT。コロナ禍で京都観光も簡単ではないとは思いますが、京都へお越しの際にはぜひこちらの京寿司をご堪能ください。鯖寿司や小鯛雀寿司はホームページから地方発送もされていますので、お取り寄せされてみてはいかがでしょうか。

[2021年3月28日訪問]

千登利亭
●住所…京都市東山区団栗大和大路西入六軒203(Google マップ
●TEL…075-561-1907
●定休日…木曜日
●備考…禁煙
ホームページ/facebook

コメント

  1. 美味しそうなお寿司です。

  2. むちむち より:

    コメントありがとうございます。
    京都人のDNAに刻まれているおいしさですので、ぜひ。

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