昭和が色濃く残る銀閣寺近くの食堂・定食店

和食編
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大銀食堂

当ブログをようやく再開できることとなり、気づけば秋になっていました。秋は「実りの秋」でもあり、野菜や海産物などさまざまな食材が旬を迎える時期でもあります。当ブログを「京都 B級グルメ REPORT」と名付けている以上、再開一発目は京都らしい旬の味覚をREPORTしようと決めていました。京都の秋の味覚といえば一般的には松茸や落ちハモなどを思い浮かべますが、京都の庶民にとっては松茸も落ちハモもハレの日の特別な食材であり、馴染み深いとまでは言えないと思います。古くより京都で秋から冬にかけて頻繁に食べられてきた魚はサバ。それも煮サバです。最近では国産マサバも高級魚となり、なかなか購入できなくなったものの、管理人が子どもの頃は旬のマサバはとても安価だったこともあって、週1〜2回のハイペースで食卓に上がっていました。脂の乗った秋サバや寒サバを、全国的にはスタンダードな味噌煮ではなく醤油とショウガベースの煮汁で煮る、京都風に言えば“サバの炊いたん”。今回は京都の家庭で昔から食べ続けられている旬の煮サバをいただこうと、銀閣寺エリアへ向かいました。

今出川通白川通の交差点(白川通今出川)を東へ70mほど行ったところにある「大銀食堂(だいぎんしょくどう)」。北向かいには琵琶湖疏水が流れ、哲学の道も通っています。銀閣寺にほど近い観光地で飲食店がとても多いエリアながら、観光客だけでなく地元の方や学生などにも人気の食堂・定食店です。創業は1976年(昭和51年)と半世紀近い歴史があります。この地域では食堂・定食店が数軒営業されている中、こちらは管理人の感想としては、ちょっとハイグレードな食堂・定食店です。学生の頃は“ええモンを食べよう”と思ったときに利用していた印象があります。時刻は14時、早速店内へ入ってみましょう。

こちらはお昼の営業終了時刻が15時とされているものの、実際には14:30ぐらいにお客さんがいなければノレンを下げられますので、14時ぐらいまでに入店された方がいいでしょう。平日の営業終了時刻ギリギリだったこともあり、数組のお客さんが食事を楽しまれていました。店内は昔から営業されているにも関わらず清潔感があり、女性客も少なくありません。今回のお目当てである煮サバをいただける飲食店は京都でも年々減っているように感じますが、昔ながらの食堂・定食店ならほぼ確実に提供されています。ではメニューを確認してみましょう。

うどん・蕎麦の麺類や定食、丼と食堂・定食店らしい豊富なメニューラインナップです。単品のオカズも充実していて、実は昼飲みにも最適。管理人が子どもの頃は、こちらのような食堂・定食店で昼食時にビールを飲んで顔を赤らめている大人がかなりいました。休日ならともかく、昼休みに飲んで仕事に戻るなんて令和の時代なら間違いなくダメ人間確定の烙印を押されるのでしょうが、古き良き昭和でも周囲の人は本当は心の中でダメ人間と思っていたハズです。ただ、昭和の時代は今よりは確かにいろいろとユルかった。ユルさゆえのデメリットや弊害はもちろん承知しつつ、あの頃の寛容さは今にはない魅力だったように感じます。で、お目当ての「煮魚定食」¥920に決めようかと思っていたのですが、単品の「煮魚」¥450もあったことから、今回は単品の「煮魚」と「しょうが焼定食」¥1,000をチョイス。合計¥1,450のハズがなぜか会計時に¥1,300だったので、よくわからないものの多分お値引きしていただいたのだと思います。ちなみに京都で“煮魚”と言えばハモでもタイでもマグロでもなくサバですので、京都の飲食店で煮魚を注文し、“煮魚っててっきりノドグロだと思っていた(怒)”などとブチギレないでください。さらに京都で“焼魚”と書かれていると、だいたい焼いた塩サバなのですが、たまにサケやブリ(ハマチ)、秋ならサンマの場合もありますので、お店の方に確認しましょう。

単品の「煮魚」と「しょうが焼定食」が到着。各種定食類には青菜のお浸しなどの小鉢と冷奴、味噌汁、漬物が付きます。訪問時の小鉢は小松菜と薄揚げのお浸しで、京都の一般家庭でもよく食べられていますね。定食は栄養のバランスが取れているため、健康面でも高ポイント。特に管理人のように自炊しない方は、スキあらば定食類を選んで食べた方がいいと思います。定食といってもラーメンと半チャーハンの半チャン定食とかはダメですよ。では、テリっテリの煮魚(煮サバ)からいただきましょう。

煮汁にたくさんの脂が浮いているのが、おいしい煮サバの証拠です。サバの尾っぽの部分でしたが、かなり脂が乗っています。特に腹身はトロっトロ。煮汁の味付けは濃いめの甘辛味でご飯のオカズにピッタリです。このちょっと甘めの煮汁こそ、昔ながらの食堂や定食店らしい味付けと言えるでしょう。昭和の中期までは特にミリンが高価な調味料であり、一般家庭でミリン、砂糖、酒をたっぷり使った煮魚はあまり作られていませんでした。評判の高い食堂や定食店では料理を商品として提供する以上、調味料をケチることなく煮魚や煮物を作られてきた名残りが、この甘めの味付けで、昔の人にとっては贅沢な味と感じたのではないでしょうか。サバのような青魚はクセがあるため、特においしく感じます。サバの脂の甘みが引き立つ、京都で古くから好まれてきた味わいです。

そしてしょうが焼。こちらも甘辛のコッテリとした味付けで食欲が高まります。千切りキャベツとの相性も抜群。少し厚めの豚ロース肉の食べごたえも楽しめ、ご飯だけでなくビールのツマミとしても最高の仕上がりとなっています。豚の脂やタマネギの甘みと豚肉の旨味がテリヤキ風の甘辛味を渾然一体となり、ショウガの爽やかな風味がプラスされた逸品です。管理人は初めての食堂や定食店ではだいたい豚の生姜焼き定食をチョイスするのですが、それはそのお店の味がわかりやすいから。豚の生姜焼きがうまい店にハズレなし、の名言どおりです。いま思いついた名言ですので、当ブログをお読みいただいている皆様に限り、どうぞご自由にお使いください。こちらは「煮魚」や「しょうが焼」だけでなく、何を食べてもハズレなしのお店です。紅葉が深まるなか、銀閣寺への観光や哲学の道の散策がてらにでも、ぜひこちらで昭和の食堂・定食店の味をご賞味ください。

[2021年10月5日訪問]

大銀食堂
●住所…京都市左京区浄土寺東田町60(Google マップ
●TEL…075-771-0692
●定休日…木曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「大銀食堂」でご確認ください。

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