京都に手打ち蕎麦を根付かせた老舗蕎麦店

和食編
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有喜屋 京都文化博物館店

烏丸三条近くに用事があったため、ついでに何かおもしろい展示は開催されていないかなぁ〜と考え、「京都府京都文化博物館」に立ち寄ってみました。烏丸通御池通の交差点(烏丸御池)を東へ250mほど行き、高倉通を南へ150mほど行ったところにある博物館で、1988年(昭和63年)に開館。2011年(平成23年)に「ほんまもん」を体感できる博物館としてリニューアルされました。5階・6階はミュージアムギャラリーとなっていて、特別展を開催される4階、京都にまつわる美術品や工芸品などを展示されている2階・3階に加え、3階のフィルムシアターでは京都府所蔵の名作映画を順次上映されています。1階には京都ゆかりの工芸品などを購入できるスペースがあるほか、和食店3軒、喫茶店・カフェ2軒、京都府亀岡市の造り酒屋「丹山酒造」のアンテナショップが立ち並ぶちょっとしたグルメスポットとなっているのも特徴です。各階をウロウロしながら“まだお昼を食べていなかったなぁ…”と気づき、1階へ。芸術より飲食を優先させる姿勢が庶民派で好感がもてます。何を食べようかな〜と考えながら、庶民の大ご馳走と言えば天丼でしょ!という謎の理論が思い浮かび、とある蕎麦店へ向かいました。

13:45、「有喜屋 京都文化博物館店(うきや きょうとぶんかはくぶつかんてん)」に到着。有喜屋は先斗町に本店を構える老舗蕎麦店で、今では蕎麦処としても知られる京都に蕎麦を根付かせた1軒とも言えるでしょう。そのなかでも有喜屋は1970年代に“手打ち蕎麦”を再興されたことでも知られ、現在営業されている新進気鋭の蕎麦店の多くが手打ち蕎麦にこだわられていることを考えると、京都の蕎麦文化における有喜屋の役割は非常に大きいと言わざるを得ません。創業は1929年(昭和4年)と90年を超える歴史がありながら、手打ち蕎麦、しかも国産の蕎麦粉を使用するこだわりだけでなく、創作蕎麦の開発にも力を入れているなど、常に蕎麦の可能性を追求されている稀有な存在のお店です。しかも京都市内に6店舗を展開するなど、地元密着型のチェーン展開をされている新しい老舗蕎麦店のスタイルを確立されています。…と、ここまで有喜屋の蕎麦についてさんざん語ったクセに天丼かい!と思われた皆さんは正しい。管理人も天丼を食べたい欲は抑えて、当ブログの使命として有喜屋の蕎麦をREPORTすべきでは?と思い直し始めました。まぁ何を食べるかはひとまず置いておくとして、早速店内へ入ってみましょう。

4名テーブル4席とお一人様でも利用しやすい7名掛けの円卓、そして4名座れる座敷2席の店内。お一人様だけでなくカップルやグループでも使いやすい構成となっています。ランチタイムを過ぎている時刻ながら、4名のお一人様と1グループが食事を楽しまれていて、オフィス街である烏丸御池エリアでも人気のお店です。老舗の飲食店は基本、お一人様はちょっと利用しづらい雰囲気もあるのですが、蕎麦店は別。むしろ大人数でガヤガヤと利用する雰囲気ではありません。昔から蕎麦店、近年であればラーメン店や牛丼店などは黙食こそ正しいスタイルであり、静寂のなか蕎麦をすする音のみ流れるのが老舗蕎麦店での作法です。最近では外国人観光客や若い人の影響で、蕎麦などの麺類をすする音に不快感を覚える“ヌードルハラスメント(ヌーハラ)”なる言葉も生まれているようですが、すすって食べるからこそおいしいし、日本では麺類をすするのが正当な食べ方だということを強く主張したい。ただしパスタやスパゲティをすするのはNGですよ。ひとくちで食べられる量だけフォークに巻きつけてパクっと食べましょう。…と、ここまで蕎麦のハナシをしてしまった以上、もう最初に思い描いた庶民の大ご馳走である天丼ではなく、やはり蕎麦を食べるべき。天丼を食べたい欲を抑えつつ、メニューを確認してみます。

正統派の蕎麦から創作蕎麦まで多種多様なメニューこそ老舗の底力です。そして天ぷら関連のメニューも充実しています。メニューを眺めれば眺めるほど天丼を食べたい欲が高まってくるものの、ここで蕎麦を食べなければこれまで書いてきたことは何だったのか?もうブログなんて忘れてただただ天丼をむさぼり食ってやろうか?どうせこんなブログ、誰も読んでないんだし…と自暴自棄になりそうになっていたところ、“おすすめセット”に「ミニ天丼せっと」¥1,070があるのを発見!手打ちの二八蕎麦(冷または温)にミニ天丼が付き、しかも¥1,000ちょっというリーズナブルなセットメニューです。これなら蕎麦も天丼も両方いただけます。当ブログの使命を果たせつつ、自分の欲望も満たせて、しかもお得なセットメニューに決定。今回は、蕎麦はその味がよくわかる冷たいせいろとした「ミニ天丼せっと」を注文してみました。

「ミニ天丼せっと」が到着。せいろも天丼もしっかりめのボリュームがうれしく、¥1,070とは思えない陣容です。大根、柴漬け、水菜の漬物も高ポイント。定食店であれ洋食店であれ、漬物が充実しているお店はまず間違いありません。では、まずはせいろからいただきましょう。

そうめんのごとき細さの蕎麦に驚きます。しかも手打ちの二八蕎麦。二八蕎麦らしくコシがありツルツルとした食感が心地よく、蕎麦の風味も味わえる逸品です。京都人はうどんでも中華麺でも細めの麺を好む傾向があり、京都の老舗蕎麦店にふさわしい蕎麦となっています。そして蕎麦ツユは東京風の濃厚ではあるものの少し甘めで、奥深い味わい。こちらの現在の経営者である三代目は東京で修行を重ねられたそうで、東京の蕎麦をベースとし京都人が好むアレンジをされていると感じました。あくまで管理人の独断ですが、東京の食べ物では蕎麦と握り寿司、鰻が素晴らしく、特に蕎麦は名店揃い。冷たい蕎麦のツユに関しては京都に比べて東京の名店が一歩リードしている印象ではあったものの、こちらの蕎麦ツユも負けてはいないと実感できました。

そしてミニ天丼です。全然ミニではありません。大きなエビ天にナス、サツマイモ、インゲン、海苔などが揚げられた充実の天ぷらに、ちょうどいい塩梅の丼ツユがかけられた立派な天丼ではないでしょうか。揚げ加減も完璧。おいしい天丼を味わえる幸せを十分に堪能し、満足することができました。観光や商用などで烏丸三条烏丸御池へ出かけられる機会も多いと思います。新型コロナウイルスはまた新たな変異株が生まれ、再び感染拡大が懸念される状況ではありますが、マスク着用・手洗い・うがい・三密回避を継続して、「京都府京都文化博物館」などの見学ついでにこちらの各種蕎麦や丼をご賞味ください。もちろん「先斗町本店」や他支店でも同様の味を楽しめますので、お近くに立ち寄られた際はランチやディナーにおすすめです。

[2021年12月2日訪問]

有喜屋 京都文化博物館店
●住所…京都市中京区東片町623-1 京都府京都文化博物館1F(Google マップ
●TEL…075-255-2078
●定休日…月曜日(祝日の場合は振替営業)※詳しくはホームページをご確認ください。
●備考…禁煙
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