本マグロと島ごはん ぱなり
海に縁がない京都市民にとって海の魚、取り分け鮮魚は憧れの食材です。現在でこそ物流や冷凍技術の発達により、日本中の鮮魚を食べることができるようになったものの、やはり産地の鮮度には太刀打ちできません。そして輸送費などのコストがかかるため、京都市内で鮮魚を買い求めると費用も高く感じます。中でも高級魚と呼ばれる魚は食べる機会も少なく、普段は回転寿司店でしか味わえません。握り寿司のネタならタイやヒラメなどの白身魚も高級魚ですが、その王様はやはりマグロ、それもホンマグロでしょう。最近では脂の乗ったサーモンがリーズナブルさもあって人気なものの、脂が乗った寿司ネタと言えばホンマグロのトロが最高ではないでしょうか。トロなら中トロは回転寿司店では比較的お安く食べることができますが、大トロとなるとハナシは別。京都市内の一般的な回転寿司店では1貫¥500前後はするシロモノで、管理人のような底辺の中年には手が出ません。でも大トロを食べたい。奢ってくれる人など当然いない管理人にとって大トロは、宝くじでも当たらない限り食べられない食材であり、そもそも宝くじを購入していないので一生食べる機会など訪れないと思っていました。が、しかし。大トロを食べたい執念からか、手頃な価格で大トロを食べられるお店を見つけてしまいました。しかも握り寿司1貫などという、食べたんだか食べてないんだかよくわからない量ではなく、丼で食べられるお店です。当ブログでは最初で最後になるかも知れない憧れの大トロを求めて、河原町三条へと向かいました。
河原町通と御池通の交差点(河原町御池)を南へ150mほど行き、姉小路通を東へ40mほど行ったエリゼビルの2階にある沖縄料理店「本マグロと島ごはん ぱなり」。沖縄料理店ではあるものの海鮮料理にも定評があり、ホンマグロを使った各種料理で人気の居酒屋風のお店です。地下鉄「京都市役所前駅」から徒歩3分、京阪「三条駅」から徒歩4分程度とアクセスも便利で、繁華街にある立地でもあり使いやすいお店だと思います。営業時間は11:30〜0時の通し営業のようですが、大トロが売り切れていたりアイドルタイムに休憩されていたりしてありつけないのを避けるため、開店時間の11:30に到着。3〜4段ある階段を上り、エレベーターで2階のお店へと向かいます。
開店1番乗り!でした。靴を脱いで下駄箱に預け、カウンター席に着席します。まだ新しいお店のようで、沖縄風のゆるやかな時間が流れているような気がする店内。外観からはわからなかったのですが意外とオオバコで、グループでの飲み会や宴会にもピッタリな感じです。もちろんランチならお一人様でも利用しやす気軽な雰囲気で安心でしょう。ではメニューを確認してみましょう。
沖縄料理とマグロ料理のお店らしいランチメニューが並びます。だいたいのメニューは¥1,000前後でいただけるので普段遣いにも最適です。しかし今回のお目当ては“ホンマグロの大トロ”であり、「唐揚げ定食」¥930ではありません。「大トロ丼」¥1,980。ハイ、純粋に大トロを楽しむなら「大トロ丼」一択です。当ブログのルールである一人前¥3,000以下の条件にも許容範囲内。…ただ、底辺の管理人にはハードル高めのキヨブタ(清水の舞台から飛び降りるの勝手な略語)級なため手汗が止まりません。そこでお昼のNo.1メニューらしい“赤身と大トロが両方味わえる”「ミックス丼」¥1,380ならどうか。ホンマグロはもともと赤身の味わいこそ、その真髄です。江戸時代では赤身こそ珍重され、大トロなどは捨てられていたというハナシも聞くほど。ツウな人ほど赤身、とも見聞きします。これだけ言い訳を重ねれば「ミックス丼」でも大丈夫ではないか?何より手汗と心臓のドキドキが少し落ち着いてきましたので、「大トロ丼」は宝くじが当たったときにでも挑戦するとして、今回は「ミックス丼」を注文してみました。
「ミックス丼」が到着。赤身と大トロが交互に盛り付けられていて沖縄らしい海ブドウがあしらわれ、真ん中に温泉玉子が乗っています。味噌汁の具は豆腐とアオサで、海の風味がするアオサがおいしい。京都市内では味噌汁の具材としてあまりポピュラーではない海藻ですが、全国的に食べられており、海に近い地域ではよく提供されます。海の恵を味噌汁で感じられたところで、大トロをいただきましょう。
甘い!!!大トロの脂の甘みを存分に堪能できます。この旨さたるやウッカリ天に召される勢いです。なぜこの味が江戸時代では捨てられていたのか理解できません。もしタイムマシンがあれば江戸時代へ行き、捨てられている大トロをすべて回収して商売をすれば、明治時代には三菱や三井に匹敵するほどの大財閥の長となることができるでしょう。世間の人は後から大トロのおいしさとその価値に気づくでしょうが、もう遅い。大財閥の長である管理人が日本中の大トロをすべて買い占めているからです。大トロを独り占めする先見の明を発揮してトヨタ自動車以上の企業となり、いずれは日本の経済や政治に深く関与し、大河ドラマのモデルとして描かれる…という妄想を延々と垂れ流すほどのおいしさ、と言えば大トロの実力をご理解いただけると思います。
赤身も素晴らしい味わいです。マグロの赤身のイヤや臭いやクセなどは一切なく、濃厚な旨味と赤身らしい酸味がワサビ醤油と良く合います。「ミックス丼」のご飯はホカホカご飯タイプの丼で、赤身や大トロとの相性も抜群。海ブドウのプチプチとした食感もアクセントとなっていて、相当にハイレベルなマグロ丼を味わえます。
温泉玉子とともにいただくと贅沢感がさらにアップ!丼物には温泉玉子を乗せておけば万に一つも間違いはありません。温泉玉子さえ乗せておけば良いという風潮に懐疑的な人もいらっしゃるようですが、管理人は何にでも温泉玉子を乗せたい派。丼物だけでなく、何だったらスマホにも乗せたいぐらい。無機質なスマホにアクセサリーとして温泉玉子を乗せておき、イザというとき黄身を潰せばかなりバえて大バズリ間違いナシです。実行される場合はもちろん自己責任でお願いします。とにかく、比較的手頃な価格でホンマグロの大トロや赤身などを楽しめるお店です。マグロのさまざまな部位の食べ比べもできますので、マグロ好きな人はぜひお試しください。
[2022年6月8日訪問]
本マグロと島ごはん ぱなり
●住所…京都市中京区恵比須町534-6(Google マップ)
●TEL…075-251-0540
●定休日…不定休
●備考…喫煙可?
●ホームページ/Instagram
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