洋食屋 香港スタイル 港式餐廳
管理人が大好きな“洋食”は、京都人にも昔から愛されてきました。では“洋食”とはどんなジャンルの料理なのか?と、ネットの無料辞書である「Weblio 辞書」で検索してみると、「デジタル大辞泉」には“西洋風の料理や食事。西洋料理。⇔和食。”と記載されています。ウ〜ン…「デジタル大辞泉」は小学館から発行されている、世の中に数多く存在する国語辞典の中でもトップクラスの言葉の収録数とクオリティを誇る国語辞典。日本屈指の言語学者や国語学者、言葉のプロ中のプロたちが編纂しているのは間違いなく、ケチを付けるなどは大変おこがましいのですが、失礼は承知のうえで管理人の考えとしては「洋食=西洋料理」ではありません。まず西洋料理とは西洋、つまりフランスやイタリアなど主にヨーロッパ文化圏の料理を指し、例えばフランス料理のポトフやイギリス料理のビーフステーキなどが日本でも知られています。一方、洋食は日本に西洋料理の技術や技法が伝わった後、西洋料理を礎として日本で独自に発展した料理文化だと思うのです。例えば洋食には欠かせないデミグラスソース。確かにフランスの古典的な料理本にそのレシピの原型を見ることはできるものの、現在のフランス料理ではほぼフォン・ド・ボーに置き換わっていて、日本でも一般的なフランス料理店でデミグラスソースのメニューは皆無に等しいでしょう。オムライスやエビフライなどもフランスをはじめとするヨーロッパの飲食店には存在しないハズ。最近、イギリスでカツカレーがブームのようですが料理ジャンルとしては日本食であり、何だったら日本の国民食と捉えられているそうです。しかもカツが乗っていない欧風カレーまでカツカレーという日本食に勘違い?されているようで、イギリス人に“カツカレーのトンカツと欧風カレーはヨーロッパの料理なんですよ”と教えてあげたら、さぞビックリされるのではないでしょうか。当然、日本ではカツカレーは日本食・和食でもインド料理でもなく洋食です。そして洋食にはもはや起源であるヨーロッパ文化圏の料理とは似ても似つかわないものも少なくありません。また日本以外にも西洋料理をベースとしながら独自の料理として発展した国や地域があるのだとか。その1つが世界でも有数の美食大国でもある香港です。そこで今回は、京都でも香港式の洋食を提供しているお店があると聞きつけ、訪問してみました。

御池通と天神川通の交差点(天神川御池)を西へ220mほど行き、三条通を北西へ110m、細い道を北へ70mほど行ったところにある香港式洋食店「洋食屋 香港スタイル 港式餐廳(ようしょくや ほんこんすたいる こうしきさんちょう)」。店名の“港式”は香港式、“餐廳”はレストランを意味します。こちらは2021年(令和3年)5月にオープンされたお店で、当ブログでも先日REPORTした昭和の町中華店「天鳳」の北西向かいにあり、いにしえの町中華と最新の香港式洋食店が共存しています。「天鳳」を訪問した際にも営業されていて、その以前から気になっていました。管理人は香港に行ったこともなく、香港式の洋食も食べたことがないため、楽しみで仕方ありません。こちらのお昼の営業時間は11:30〜14:30、夜は17:30〜21時のようです。時刻は14時、まずは店頭のメニューを確認してみましょう。

「LUNCH MENU SET」は10種類記載されていて、料金は¥980や¥780と、¥1,000でオツリがくるリーズナブルさ。メニューも豊富で手軽なので利用しやすい印象です。メニュー的には日本の洋食ラインナップとはかなり様相が異なっており、あくまでメニュー名だけの感想ですが、中華料理にフランス料理などの技法を取り入れた香港発祥のヌーベルシノワに近いかも?と感じました。「〈4〉自家製ミートソースハンバーグ」¥980といったTHE・洋食といったメニューから、「〈5〉酢豚」¥980のようなモロ中華なメニューもあるバラエティ豊かなお店で、当ブログのカテゴリーとしては「中華編」としてREPORTさせていただきます。では早速、店内へ入ってみましょう。

6名テーブル席3卓とカウンター3席の清潔感あふれる真新しい店内。さすがにお昼の営業時間ギリギリの時刻だったため、おそらくご近所のマダム2名組だけが食事を楽しまれていました。ヌーベルシノワの中華料理店は高級店が多く、普段使いできるお店は多くないのですが、こちらはカウンター席もあり、お一人様でも入りやすいでしょう。では改めてメニューを確認してみます。


ランチメニューは10種類とワンプレートセット2種類です。「8.ボロネーゼスパゲティー」¥780以外はすべて¥980、ワンプレートセットは2種類とも¥780となっています。ディナーメニューは単品料理に加え定食メニューも用意されているため、お一人様でも気軽に夕食として利用できるでしょう。サテ、今回はランチメニュー10種類から選びます。どれも日本の洋食店ではあまりお目にかかることがないメニューで迷いますが、「3.香港式蒸しポークガーリック醤油味」¥980に決めました。このメニューにはライスとサラダ、スープ、葡式蛋撻と表記されているポルトガル式エッグタルト、ホット/アイス香港式ミルクティーやホット/アイスコーヒー、コーラ、野菜ジュースから選べるサービスドリンクが付いています。こちらは香港式洋食店であるため、当ブログとしてはホット/アイス香港式ミルクティーにするべきではあるものの、ウッカリ普段どおりコーヒーにしてしまいました。4年以上ブログでREPORTしているのに、こういうウッカリさんなところが過疎ブログの原因なのでしょう。十分反省しつつ同じ過ちを何度も何度も繰り返すのがカワイイ〜ウケる〜とか思っていただければ幸いでございます。

「3.香港式蒸しポークガーリック醤油味」が到着。付け合せはハルサメサラダとサツマイモの蜜煮、茹でた塩枝豆というちょっと謎な陣容ですが、これも香港スタイルなのでしょうか。ただ、メインの香港式蒸しポークガーリック醤油味以外の付け合せやボリュームたっぷりのサラダもうれしい。そしてスープはまさかの根菜の味噌汁!てっきり中華風ならチキンスープ、洋食寄りならコンソメスープあたりかと予想していましたが、日本人にとって定食の汁物で一番うれしいのは味噌汁ですので、これはうれしい誤算でした。ダイコンやゴボウなどの味噌汁は心身ともに温まります。根菜の郷愁を誘う味わいに心を落ち着かせながら、メインの香港式蒸しポークガーリック醤油味をいただきましょう。

ナルホド、これは奥深い味わいの蒸しポークです。ニンニク醤油に少しピリ辛な唐辛子、そして中華の香辛料が程よい塩梅となった濃いめ味付けとなっています。豚肉も食べごたえを残しつつ適度に柔らかく食べやすい。洋食というよりはTHE・中華!といった味ですが、ご飯のオカズに最適です。もちろんビールなどのアルコール類とも良く合うでしょう。中華の豚角煮とは異なり、蒸されていることもあって脂控えめで豚肉本来の味も楽しめます。ニンニク醤油の香ばしさなどの風味も心地よく、家庭では再現が難しいプロの味だと感じました。


食後のデザートはポルトガル式エッグタルトとアイスコーヒーです。エッグタルトはてっきりマカオの名物スイーツだと管理人は思っていて知らなかったのですが、ポルトガルでは「パステル・デ・ナタ」と呼ばれる比較的ポピュラーなスイーツなのだとか。マカオは1999年(平成11年)までポルトガルの植民地であったため、現在でもポルトガルの文化が色濃く残っています。香港は旧イギリス領ではあったもののマカオとは対岸であり、食へのこだわりが強い香港ではマカオをとおしてポルトガル料理の影響も受けているのでしょう。確かに香港料理店でエッグタルトはかなりの頻度で提供されています。こちらのポルトガル式エッグタルトもサクサクのパイ生地とカスタードをより濃厚にしたクリームの相性が抜群で文句のないおいしさです。コーヒーとも良く合います。できれば香港式ミルクティーを試したかった…香港は旧イギリス領で紅茶に造詣の深いイギリスの紅茶文化を味わうチャンスだったのに…と嘆いていても後の祭り。英語ではアフターフェスティバル、は間違いですが。とにかく、香港式の洋食という、日本ではあまり食べることができない洋食のカタチをいただけるお店です。他のメニューについても、どのように香港式なのかは気になるところ。洋食好き、中華好きなら、ぜひこちらで香港と洋食のハイブリッド料理を試してみられてはいかがでしょうか。
[2022年10月21日訪問]
洋食屋 香港スタイル 港式餐廳
●住所…京都市右京区太秦上刑部町19-32(Google マップ)
●TEL…075-204-4245
●定休日…月曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…Uber Eats
※さらに詳細は食べログ「洋食屋 香港スタイル」でご確認ください。
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