ビストロ暖蘭
先日「洋食屋 香港スタイル 港式餐廳」をREPORTした際、日本トップクラスの国語辞典に異を唱える暴挙を決行して“洋食≠西洋料理”をギャーギャーと書き散らかしてしまいました。ただ、少し補足すると、西洋料理の日本での発展型が洋食であることから、洋食と西洋料理は異なるものではあるが、まったくの別物、とまでは言い切れません。特に本格的な洋食店ほど西洋料理の範疇に入る料理を提供していることも珍しくなく、そこが洋食と西洋料理の区分けを難しくしている要因ではないかと思い始めました。そこで今回は、以前にTwitterのフォロワーさんからオススメいただいていて、管理人も過去に数回伺ったことがある南仏料理のビストロであり本格派洋食店をREPORTしてみます。
京阪国道(国道1号)と新城南宮道の交差点を東へ270mほど行き、脇道(中書経18号線)を南へ40mほど行ったところにある「ビストロ暖蘭(だんらん)」。こちらは1986年(昭和61年)5月に開業された35年以上の歴史をもつお店です。引っ越しや工事、家相などの災いを除く「方除(ほうよけ)の大社」であり、車のお祓いでも人気の神社である「城南宮」の東隣にあります。京都市内を車やバイクで走行していると、交通安全祈願を目的とした「城南宮」のステッカーを頻繁に目にするほどメジャーな神社です。こちらは公共交通機関の利用でも地下鉄「竹田駅」から徒歩14分程度と徒歩圏内で行きやすいお店ではないでしょうか。また、ファッションホテルが多いエリアでもあるため、人によってはワクワクするかも知れません。まぁ、当ブログをご覧いただいている品行方正・清純潔白な皆さんには、まったく関係のない不必要な情報であることを切に願っているのですが。こちらの昼の営業時刻は11:30〜ラストオーダー14:30で、人気店のためランチタイムは平日でも混み合う日が多いようです。そこでラストオーダーギリギリの14時に到着。まずは店頭のメニューを確認してみましょう。
ランチの洋定食はおおむね¥1,000〜¥2,000程度でいただけます。そしてこちらでは“みなもと牛”と呼ばれる国産牛(交雑種)のステーキやビフカツを提供されており、名物料理とも言えるでしょう。みなもと牛は和牛ではないものの品質は高く、比較的リーズナブルな価格なのが特徴です。お財布に余裕のある人は、こちらのステーキやビフカツをお試しいただくのがオススメ。価格以上の牛肉の旨味とクオリティを存分に味わえるハズです。では店内へ入ってみましょう。
さすがにラストオーダー間際だけあって、お客さんはいらっしゃいませんでした。古い洋食店らしい重厚な店内は、まさに昭和の高級レストランです。12時〜13時のランチタイムをはずせば、ほぼ待たされることなくお一人様で気軽に入店できると思います。メニューが運ばれてきて今回は意外とこちらでは食べたことがなかったハンバーグにしようと決めていたものの、注文と同時にメニューを下げられたしまいました。そこで店内のいくつかのメニューを掲載しておきます。
王道洋食あり、コーンポタージュスープとパンまたはライス、コーヒーが付く「シェフのおすすめメニュー」には「鴨もも肉のコンフィ」¥3,080や「ホタテ貝とエビのムニエル プロヴァンス風」¥3,520といったフランス料理、いわゆる西洋料理も提供されています。洋食店のシェフの多くはフランス料理店やイタリア料理店で修行を積まれた人でしょうから、ご自身のお店を開業する際に洋食特化型と洋食・西洋料理混在型のお店に分かれるのでしょう。こちらは店名に“ビストロ”と付いているようにフランス料理、とりわけ南仏料理志向のメニューも存在しています。ちなみにホームページのメニューで料理の確認は可能ですが、長らく更新されていないためか価格は参考になりません。今回はランチメニューからカップスープとライスが付く「ハンバーグステーキ デミグラス」¥1,240を注文してみました。
「ハンバーグステーキ デミグラス」が到着。ハンバーグがかなりボリューミーなのがうれしい。そしてデミグラスソースの芳醇な香りもたまりません。付け合せも単なる野菜サラダではなく、南フランスの定番野菜料理でもあるラタトゥイユが添えられていて、ビストロらしさも感じられます。まずは大きな麩のように見える焼いたフランスパンをクルトン代わりとしたカップスープからいただきましょう。
オォ、これはうまい!見た目からてっきりコンソメスープと思い込んでいましたが、南フランスらしくアサリと野菜の魚介系スープでした。とにかくアサリのむき身たっぷりでアサリのダシが濃く、水菜やタマネギなどの野菜の旨味も溶け出していて、これはカップスープどころではなく立派なスープです。アサリと野菜の旨味を十分に吸ったフランスパンも絶品。小さなクルトンではこのおいしさにはなりません。カップスープ1つで、さすがは老舗人気店の実力をヒシヒシと感じられます。
いよいよメインのハンバーグです。大きめサイズのハンバーグにデミグラスソースがたっぷり、そしてハンバーグの下にはマッシュポテトが隠れています。ハンバーグは当たり前ですがマズいワケがなく、少し甘めながら本格的なデミグラスソースとの相性も抜群。そしてこのデミグラスソースとマッシュポテトも良く合います。クリーミーでコクのあるマッシュポテトにデミグラスソースの濃厚な味わいが互いを引き立てていて、さらにハンバーグの旨味が加わった三位一体のおいしさ。この贅沢な味わいで¥1,000ちょっとですから、コスパ的にも相当優秀と言えるのではないでしょうか。
付け合せも手抜きは一切ありません。ラタトゥイユはトマトの甘みと酸味で野菜の旨味が際立ちます。世界一の美食大国であるフランスの定番家庭料理だけのことはあるおいしさです。パスタサラダもそんじょそこらのスパゲティサラダやマカロニサラダとは明らかにレベルの違う味わい。コンデンスミルクのようなクリーミーさで適度な甘さが箸休めにピッタリです。野菜サラダも野菜の鮮度が素晴らしく、シンプルなフレンチドレッシングでここまでおいしいのは驚きでした。フランス料理店の野菜サラダらしい上質な味をリーズナブルなランチメニューでいただくことができます。メインのハンバーグはもちろん、カップスープも付け合せも妥協のない味わい。洋食や西洋料理好きなら「城南宮」近くまでお越しの際に、ぜひこちらの洋食や南仏料理などの西洋料理をご賞味いただき、老舗店の味を存分にご堪能ください。
[2022年10月27日訪問]
ビストロ暖蘭
●住所…京都市伏見区竹田東小屋ノ内町85(Google マップ)
●TEL…075-602-2215
●定休日…月曜日
●備考…禁煙
●ホームページ
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