讃岐うどん処 味美庵
12月に入って京都市内でも寒さがさらに深まってきました。寒い時期のランチの定番は“うどん”という人も多いのではないでしょうか。管理人はどちらかと言えばうどんより蕎麦派なのですが、冬に限ってはうどんが優勢となります。冬はご馳走やコッテリとした料理を食べる機会がどうしても増えがちなため、何となく胃腸に優しそうに感じるうどんは重宝するのです。多くの人が同じようなことを考えているのか、うどん屋さんに足繁く通っているのはミドル世代以上のアダルト層が多い印象ですが、実はお店によっては若者も少なくありません。大学近くのうどん屋さんには繁盛店が少なくなく、多くの学生がミドルやシニアに混じってうどんを啜っています。学生ならランチはラーメンやハンバーガーだろう、というのは若者をナメ過ぎです。学生でも20歳以上であれば二日酔いかも知れませんし、夜遅くまでゲーム勉強をしていて体調を崩している場合もあるでしょう。そんな老若男女に愛されているうどん屋さんをREPORTしようと、今回は京都大学近くへ向かいました。

荒神口通と河原町通の交差点(荒神口)を東へ260mほど行き、川端通の交差点(荒神橋東詰)を北へ100m、1車線(南西向き一方通行)の志賀越道を北東へ道なりに300mほど行ったところにある「讃岐うどん処 味美庵(さぬきうどんどころ あじみあん)」。飲食店が多くない住宅街にある穴場的なうどん店です。こちらは2012年(平成24年)12月に開業されてお店で、満10周年を迎えられました。自家製麺と関西風ダシにこだわられていて価格もリーズナブルなため、お昼どきは京都大学など近隣の学生で賑わいます。もちろん地元のミドルやシニアにも人気です。営業時間は11:30〜14:30とお昼のみで、特に知名度が高いワケではないものの、平日でもいつも混雑しています。時刻は13:20、ランチタイムを少しズラしたにも関わらず1名テーブル席が2卓、2名テーブル席1卓、4名テーブル席2卓とコンパクトな店内なこともありほぼ満席。お客さんが多く店内撮影はできませんでしたが、幸い1名テーブル席が1卓のみあいていましたので、どうにか待たずに着席できました。では早速、メニューを確認してみましょう。



寒いこの時期なら「カレーうどん」¥780や、ご飯(小)とから揚げ(3個)が付くセットメニュー「嵯峨野」¥900も人気です。セットメニュー各種の最高価格は¥900と¥1,000未満なお手頃さ。天ぷらなどのトッピングも充実していて、その日の気分に合わせて自由にカスタマイズできるのも高ポイントでしょう。天ぷらはすべて揚げたてで、しかも安い!「かき揚げ」¥180、「えび天」¥160、その他4種類の天ぷらと「唐揚げ(2個)」は¥130と、スーパーの惣菜感覚で揚げたて天ぷらをいただけます。どのメニューもリーズナブルですので、学生に人気なのもうなずけますね。今回はセットメニューNo.1の「えび天」と「ちくわ天」が付く「清水」¥900を注文。だしバリエーションは温かいカケだしをチョイスしました。自家製麺の天ぷらうどんといなり寿司のセットで¥1,000未満ですので、相当お値打ちです。

「清水」が到着。うどんの具は「えび天」と「ちくわ天」だけでなく「のり天」とカマボコ、青ネギ、カツオブシが乗っている豪華バージョンです。ダシの色は関西風の透明度が高いタイプで、ダシの香りがたまりません。アツアツのうどんやオデンは日本の冬の風物詩です。このアツアツうどんにいなり寿司は最強コンビと言っても過言ではありません。“うどんといなり寿司”の組み合わせを最初に発明した人はもはや歴史上の偉人であり、もし大々的に発表していれば今頃は日本史か家庭科の教科書にその名を残していたことでしょう。未確認ですが最近の教科書では武田信玄や上杉謙信、坂本龍馬といった歴史上の偉人すら教科書から消えている可能性があるそうで、うどんといなり寿司のコンビを生み出した人は信玄公や謙信公、竜馬先生以上の偉人になっていたかもと思うと残念でなりません。と、不毛なハナシを延々と続けているとせっかくのうどんがさめますので、まずはダシからいただきましょう。

関西風らしく昆布カツオブシが効いている澄んだ上品なダシです。京都や大阪の伝統的なうどん店のダシと比べると、わずかに塩味が強めなような気がしないではないものの、コシ強めの讃岐うどんや天ぷらなどを合わせるならちょうど良い塩梅と言えるのではないでしょうか。京都や大阪の昔ながらのうどんはフニャフニャな腰抜けうどんが多く、ダシといっしょにズルズルと食べるうどん版雑炊のおもむきがあります。一方、コシが強い讃岐うどん系はうどんの主張が強めであり、ダシにもある程度パンチがないと負けてしまいかねません。この少しの塩味がうどんや具材を引き立てているように感じました。

うどんは自家製麺の讃岐うどんで、コシとモチモチとした食感が心地イイ。とは言え一般的なコシ強めなうどんほどの硬さはなく食べやすいと思います。たま〜に主に関西以外の地域でゴムのようなコシ強めなうどんに出くわすことがあるのですが、細麺の蕎麦ならともかく、うどんでコシが強すぎるのは個人的には考えモノ。アゴが疲れる、は少し大げさですが、それに近い苦痛を感じます。もちろん“うどんはコシが命”派の人も大勢いらっしゃるでしょうから、こればかりは個人の好みなのでしょう。管理人としてはこちらぐらいのうどんのコシが好みとなります。

「えび天」も揚げたてのうえエビが思った以上に大きくて満足です。これもたま〜に?小指ほどのエビなのにコロモで大エビのように見せているエビ天を見かけますが、アレはダメ。コロモによるカサ増しは法律で取り締まっていただきたい。人はエビの天ぷらを食べたいのであって、コロモを食べたいのではなく、コロモだけなら揚げ玉(天かす)があれば十分なのです。ただ、ダシをたっぷりと吸ってモロモロになったコロモはおいしい。世間では“天ぷらうどんの天ぷらも後乗せサクサク派”の人も多いのでちょっと言いづらいのですが、あくまで個人的には天ぷらうどんの天ぷらは、ダシを吸ったモロモロのコロモをダシと一緒に啜るからおいしいと思っています。一品料理の天ぷらよりもコロモが多い天ぷらがうれしいのも、うどん・蕎麦店ならではです。

そしていなり寿司です。甘ギツネに米は酢飯と黒ごまというシンプルスタイル。この甘ギツネの甘辛さと酢飯が良く合います。オヤツや夜食などにも最適でしょう。うどんダシを味噌汁代わりに食べるいなり寿司は、昭和の時代を思わせるノスタルジーすら感じます。子どもの頃に寒い時期の魚釣りの途中、昼食で立ち寄った食堂の味。当時は自然あふれる釣り場近くの飲食店は食堂ぐらしかないのが相場で、温かいうどんや蕎麦といなり寿司は寒さに震えた身には何よりのご馳走だったことを思い出しました。ミドルやシニアの人には昔なつかしい味かも知れません。若者にとってはお手頃価格で満腹になれる味、オトナな人にとっては気持ちも穏やかになって満足できる味、といったところでしょうか。こちらは誰もが入りやすい街のうどん屋さんです。お近くまでお越しの際、寒〜い冬のランチに立ち寄られてみてはいかがでしょうか。
[2022年12月7日訪問]
讃岐うどん処 味美庵
●住所…京都市左京区吉田橘町33-14(Google マップ)
●TEL…075-752-8080
●定休日…日曜・祝日、第二水曜日(正月・GW・盆休み有り)
●備考…禁煙
●ホームページ
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