喫茶・軽食 リゲル
他都道府県と同様、京都府にも難読地名がたくさんあります。先斗町(ポントチョウ)などの観光地や繁華街、歓楽街であればほとんどの京都人は読めるのでしょうが、多くの難読地名は漢字マニアや地理マニアでもない限り、地元の人ぐらいしか正確に読むことはできません。ただし、他都道府県の人にはおそらく目にすることすら少ない地名であっても、少なくとも車やバイクの免許証を持っている京都府民であればかなりの高確率で読むことができる難読地名が存在します。それは京都市伏見区の“羽束師”。ハヅカシと読むこの地域、なぜ多くの京都府民に馴染み深いかと言うと、「京都府自動車運転免許試験場」があるからです。京都府の在住地によっては指定の警察署などで試験や更新ができるものの、多くの京都府民は羽束師の「京都府自動車運転免許試験場」で試験や更新を受けます。2016年(平成28年)9月から優良運転者(ゴールド免許)と高齢運転者のみJR「京都駅」前にある「京都駅前運転免許更新センター」で更新手続きができるようになりましたが、それまでは羽束師の「京都府自動車運転免許試験場」一択でした。もちろん現在でも各種運転免許の試験や一度でも交通違反で切符を切られた人の更新は便利なJR「京都駅」前ではなく強制的に羽束師となります。つまり、車やバイクの運転免許を持っているほとんどの京都府民にとって、人生で一度は羽束師へ行くこととなり、そこでこの難読地名を知るワケですね。そして繰り返し交通違反の切符を切られている人ほど、足繁く羽束師へ通ってらっしゃるのでしょう、お疲れ様です。試験時だけでなく違反点数の多い人ほど更新時でも長時間、拘束されるのですが、この「京都府自動車運転免許試験場」の周辺は飲食店が本当に少ない。建物側に2軒ぐらい営業されていたと記憶しているものの、何せ皆が同じタイミングで休憩となるため、食事難民も少なからず発生します。そこで今回は、「京都府自動車運転免許試験場」から徒歩11分、車やバイクなら2分程度の距離にあるガッツリ食事もできる喫茶店をREPORTしてみました。当ブログでは基本、他都道府県から来られる観光客向けの情報提供を心がけているつもりですが、今回は京都府民向けの情報発信となりますのでご了承願います。
京都府道・大阪府道79号伏見柳谷高槻線(京都外環状線/三菱通り)と国道171号の交差点(馬場)を東へ470mほど行ったところにある「喫茶・軽食 リゲル」。普通車を10台ほど停められる駐車場があり、ドライブがてらに立ち寄る人もいらっしゃいます。公共交通機関の利用ならJR「長岡京駅」から徒歩22分、阪急「長岡天神駅」から徒歩29分と行き倒れる人も出かねない距離ですが、JR「長岡京駅」や阪急「長岡天神駅」から市バスや阪急バスが出ており、お店のすぐ側にあるバス停「工業団地前」で下車すれば志半ばに散る無念も回避できるでしょう。バス停の名前のとおり、こちらの周辺は大企業をはじめとするさまざまな企業の工場街となっていて、近くにお勤めのビジネスパーソンにとっても憩いの場となっています。当然、目ざとい「京都府自動車運転免許試験場」利用者も食事や喫茶を楽しまれるため、実は結構な混雑をする人気店です。営業時間は7時〜19時の通し営業となっていて、遅めのランチでも大丈夫。朝早くにはこれから運転免許の試験や更新に臨む人で賑わいます。時刻は15時、早速店内へ入ってみましょう。
昭和の喫茶店らしいクラシカルな雰囲気の店内です。キャパは広く、4名テーブル席10卓程度となっていて、ビジネスパーソンのお客さんが多いからなのか最近の飲食店では珍しく喫煙可。15時とランチにしては遅すぎる時刻であったにも関わらず、おそらく運転免許の試験か更新を済ませた若者グループ2組とビジネスパーソン3組が食事や喫茶をされていました。カウンター奥には大量のコーヒーチケットが見受けられましたので、常連客も多いのでしょう。こちらは店名に“喫茶・軽食”と付けられていながら、喫茶や軽食だけでなく、かなりガッツリとした洋食や洋定食などをいただくことができます。ではメニューを確認してみましょう。
ドリンクあり、軽食あり、洋食や洋定食あり、うどんや丼からホットケーキやワッフルまである、イメージとしては国道沿いのドライブインのような喫茶店です。そう言えば最近、ドライブインをあまり見かけなくなりました。一般道の道の駅や高速道路のサービスエリアだけでなく、さまざまなチェーン店やコンビニなどが普及すると同時に、ドライブインはその役割を終えてしまったのかも知れません。かつてはドライブインを中心にボーリング場やスケートリンクなどの遊技場にあったうどんやハンバーガーの自動販売機もめっきり目にしなくなりました。そんな昭和のドライブインの面影すら感じる反面、食事メニューはどれも自動販売機などでは絶対に再現できない本格派。とりわけランチなら11:30〜14時限定でブレンドコーヒーまたは紅茶が付く「本日のランチセット」¥1,050や「ランチタイムのカレー・ピラフセット」¥1,000もオススメです。また、洋食メニューも充実していて、特に人気なのは店名を冠している「リゲル風 トルコライス」¥980でしょうか。今回は「リゲル風 トルコライス」と食後に「リゲル オリジナルブレンド」¥450を注文してみました。
「リゲル風 トルコライス」が到着。ドライカレーをベースに、キャベツの千切り、厚めのトンカツ、そこにデミグラスソースがかかっています。長崎県発祥のご当地グルメでもあるトルコライスはドライカレーなどのピラフとナポリタンをはじめとするスパゲティそれぞれ半々をベースに、トンカツを乗せる仕様が一般的でしょう。ただし、トルコライスに厳密なスタイルは存在せず、そもそもトルコにトルコライスはなく、トルコ料理を発祥する料理ですらありません。トルコ人も“なぜトルコ?”と思わざるを得ないトルコライスの由来は諸説あるようですが、いずれにせよ日本の洋食店や喫茶店などではトルコライスを提供されていて人気メニューとなっています。ではこちらの「リゲル風 トルコライス」をいただきましょう。
スパイシーなドライカレーと揚げたてサクサクのトンカツ、デミグラスソースの組み合わせはボリューム満点のおいしさです。ドライカレーはさほど辛くはなく、カジュアルながら濃厚なデミグラスソースのトンカツとの相性も抜群。そこに千切りキャベツが爽やかなアクセントとなっています。一般的なカツライスはホワイトライスまたはピラフにデミグラスソースのトンカツと千切りキャベツが主流だと思いますが、このドライカレーなところが高ポイント。こちらのドライカレーのようにカレー風味をことさら強調しないドライカレーだからこそ、デミグラスソースのトンカツがより活きているように感じました。この“リゲル風”のトルコライスは一皿で満足できて満腹になるリーズナブルな洋食メニューではないでしょうか。
「リゲル オリジナルブレンド」もサイフォンで淹れられた香り豊かな本格派。誰ですか、ドライブインだの何だのと言ってたのは。ストレートで飲んでもスッキリとしたコーヒーの風味を楽しめて雑味などは一切なく、ミルクや砂糖は不要に感じました。苦味も少なめで飲みやすいコーヒーで食後としても最高でしょう。ナルホド、多くの常連客がコーヒーチケットを購入して通うのも納得の喫茶店です。このエリアは飲食店不毛の地で時間つぶしに困ることも少なくないように思いますが、こちらで食事や喫茶を楽しまれてみてはいかがでしょうか。「京都府自動車運転免許試験場」の利用時だけでなく、大阪方面から京都へ向かう道中にドライブついでの休憩として立ち寄られのもオススメですよ。
[2022年12月14訪問]
喫茶・軽食 リゲル
●住所…京都市伏見区羽束師古川町327(Google マップ)
●TEL…075-934-2993
●定休日…日曜日および祝日
●備考…喫煙可
●ホームページ
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