食堂からカレーに転身されたスパイスカレー専門店

その他料理編
スポンサーリンク

スパイス食堂 ヤグラ

先日の「せんなり」のREPORTでも感じたのですが、昭和から営業されている食堂は閉業されているお店が少なくないものの、現在でも営業を続けておられるお店には、3タイプの生き残り戦略があるように思います。1つは創業以来、メニューなどを変えず、地域のミドル・シニア層が足繁く通う“THE 昭和”なお店。うどん・蕎麦・丼を中心に、巻き寿司や京都市内ではばら寿司と呼ばれることが多いちらし寿司、ぼた餅やおはぎなどの餅メニューがラインナップされていて、ほとんどの場合、手軽に炭水化物を摂取して即エネルギーへと変えられる昭和らしい発想となっています。2つ目は麺類や丼メインではなく、定食類メインのお店。和定食だけでなくハンバーグやフライ系の洋定食も充実していて、何なら麻婆豆腐やレベニラ炒めといった中華定食まで用意されており、客層もミドル・シニア層に加え若者にも人気があるお店が多いでしょう。そして最後の3つ目は、ガラリと業態転換をされたお店。かつての食堂メニューは姿を消し、例えばレトロなカフェなどに変化したお店が当てはまります。こうなるともう管理人のような昭和のオッサンにはついていけないのですが、実は珍しいパターンではなく昔から店主や二代目・三代目などによって業態転換されたお店は少なくありません。東京にある有名な人気喫茶店も実は40〜50年?ぐらい前はうどん店だったりするのですが、その頃を知る人がどんどんいなくなり、代替わりなどもあって当時の面影などはまったくなくなっています。今回はまたまた管理人の自宅近所で少し気が引けるものの、昭和の食堂からカレーに業態転換されたお店をREPORTしてみました。

東大路通北大路通の交差点(高野)を南へ410mほど行き、東鞍馬口通を東へ360m、南へ200mほど行ったところにあるスパイスカレー専門店「スパイス食堂 ヤグラ」。店舗外観はかつての「やぐ羅食堂」そのままです。こちらは1935年(昭和10年)創業の食堂で2018年(平成30年)ご子息に代替わりされ、スパイスカレー専門店になったのだとか。80年以上、街の食堂として親しまれてきたのに随分と思い切った決断だったのだろうと推察されます。ただ、この地域は近隣に京都芸術大学京都大学など学生が多いエリアでもあることから、スパイスカレー専門店は学生などの若者にアピールできるため、正しい戦略転換なのかも知れません。こちらの昼の営業時間は12時〜14時、夜はテイクアウトのみ17:30〜となっているようです。時刻は12:10、まずは店頭のメニューを確認してみましょう。

おおっ、本当にカレーのみのメニューラインナップとなっています。管理人は未確認ながら日によっては「きつねうどん」や「カツ丼」、「他人丼」などの「やぐ羅食堂」時代のメニューをいただけることもあるようです。訪問した日は「あいがけカレー」¥800を基本メニューに「あいがけカレープラスカツ」と「あいがけカレープラス揚げ野菜」ともに¥1,000、そして「スパイスカレーうどん」¥700の4種類でした。小さく書かれた“etc…”の文字が気にならないこともないものの、今回はスパイスカレーをいただきます。では店内へ入ってみましょう。

アレ?狭くなってない??と感じました。店内南側はカーテンのようなもので隠され“STAFF ONLY”となっていて、現在は4〜6名程度が座れるテーブル席1卓と2名?テーブル席1卓となっています。たまにお昼どきに店頭を通った際、行列を見かけることがあったのですが、この収容人数ならすぐに行列ができるでしょう。管理人はたまたま先客に若い女性客2名組だけだったため、あっさりと待つことなく2名?テーブル席に座ることができました。本当にラッキーです。梅雨時期とは言え晴れていればほぼ夏、タダでさえ行列に並ぶのがイヤな管理人にとって夏の行列は、マジで心折れる5秒前。と、タイムリーな芸能ゴシップネタをブチ込んだところで、「やぐ羅食堂」時代と変わらないお母さんに接客していただけましたので「あいがけカレープラスカツ」を注文してみました。

「あいがけカレープラスカツ」が到着。スパイスカレーのカツカレーはあまり見かけることはなく、管理人的に食べるのは初体験かも。何となく、あくまで何となくですが、カツの居心地がちょっと悪そうな気がしないでもありません。ホワイトライスの上に乗せら、スライスされた紫オニオンを掛けられたカツが何だかモゾモゾしているように感じるものの、実際にモゾモゾしていたら大騒ぎですので大丈夫。スパイスカレーでは珍しい福神漬と小鉢のポテトサラダから「やぐ羅食堂」感が漂ってきてオールドファンにとっては歓喜でしょう。おそらくご子息であろうマスターから運ばれてきた際、“左のカレーが辛いです”と教えていただいたものの、よく考えれば“何と何のあいがけカレーなのか?”を知らないまま雰囲気で注文していました。見た感じ右はキーマカレー、左の辛いヤツはココナッツミルクの入ったチキンカレーでしょうか。どこかヨソモノ感がハンパないカツを一刻も早く救わねば、とカツに合いそうなキーマカレーからいただきます。

ナルホド、こちらのキーマカレーはカツと良く合います。キーマカレーの辛さはさほどではないものの、濃厚な味わいとなっているうえ、挽肉の旨味もしっかりと味わえ、カツとの相性も申し分ありません。そしてカツは揚げたてで豚ロースの脂身も楽しめて本当においしい。本来であればトンカツとして単独公演できる実力者にも関わらず、こちらのキーマカレーがソース代わりとなって、より深みのある味わいとなっています。カツとこちらのキーマカレーは、欧風カレーに匹敵する相性の良さだと実感できました。

そして左の辛いヤツ。事前に辛いと聞かされていますので用心のためトマトのチカラをお借りしていただきます。ウン、確かにピリ辛。ただ、辛いのが得意ではない管理人でもギリギリ大丈夫な辛さですので、一般的なオトナなら問題ないと思います。こちらのカレーは爽やかな辛さのチキンカレーで夏にピッタリ。トマトの甘みと酸味に加え、レモングラスの風味がミルキーなチキンカレーと絶妙にマッチしています。これは夏カレーの定番となり得るカレーです。管理人はカレー、特に欧風カレーが大好物なのですが、夏に欧風カレーを食べたいとは思わないタイプ。よって、夏場にカレーを食べることはほとんどなかったのですが、こちらのチキンカレーをいただき、“夏こそカレー”の意味を少しですが理解できたように感じました。食べ進むに連れ汗は出てくるものの、この辛さと熱さが心地良い。暑い時期は冷たい料理ばかり好む管理人も、夏のカレーのおいしさを堪能することができました。

そしてポテトサラダです。このド定番の味わいこそ昭和の食堂の真骨頂ではないでしょうか。ジャガイモとニンジンの根菜特有の旨味と甘さにサッパリとしたキュウリが絶品です。管理人は自宅でポテトサラダを作るときはメンドーなので市販の粉末マッシュポテトを使って作るのですが、当たり前ながらやはり別物。ジャガイモを茹でて潰して作る真っ当なポテトサラダは、管理人のエセポテトサラダとは比較にならないおいしさです。このポテトサラダだけで(ノンアルコール)ビールがグイグイいけます。そしてこのポテトサラダはスパイスカレーの付け合せとしても超有能。辛さやスパイシーさを一瞬でリセットしてくれて、またカレーを食べたくなる無限ループとなっています。昭和の食堂からカレーに業態転換されたスパイスカレー店の実力をしっかりと味わうことができました。今夏も猛暑との予想があるようですが、こちらのスパイスカレーで暑気払いをされてみてはいかがでしょうか。叡電「元田中駅」から徒歩5分、近隣にコインパーキングもあり、アクセスも便利ですよ。

[2023年6月17日訪問]

スパイス食堂 ヤグラ
●住所…京都市左京区田中東春菜町11(Google マップ
●TEL…075-781-4533
●定休日…水曜日および不定休
●備考…禁煙
●ホームページ…Instagram

コメント

タイトルとURLをコピーしました