カフェ・マノワール
管理人が洋食好きなため、当ブログでは洋食店のREPORTが多いと思います。そして昭和のオッサンが好きな洋食と言えば“デミグラスソース”です。ハンバーグやビフカツなどにかかっている、いわゆるブラウンソースですね。今でこそハンバーグのソースはテリヤキソースやトマトソース、ホワイトソース、和風のおろしポン酢ソースなどなど…さまざまなソースで食べられているものの昭和の時代、外食ではデミグラスソース、家ではウスターソースやトンカツソース、ケチャップベースのソースが一般的でした。本当はみんな家でもデミグラスソースが食べたかったのでしょうが、作ろうにも一般家庭ではまず作れなかったのです。今でこそ市販のデミグラスソース缶などが販売されており、それらを使ってちょっと工夫すればそれなりの味のデミグラスソースを作れてしまうワケですが、本当は4〜5日ぐらいかけて作るのが一般的。当ブログでもREPORTした京都市内屈指の老舗洋食店「グリル小宝」では、ナント18日間もかけてデミグラスソースを作られているそうです。ちなみにデミグラスソースはドミグラスソースやドビソースなどとも呼ばれています。そんなデミグラスソースの発祥はフランスで、かつてはフランス料理の代表的なソースとして知られていましたが、現在は本場フランスではほぼ絶滅状態なのだとか。確かに日本のフランス料理店でもデミグラスソースの料理はまず出てきません。おそらくですが、やはり仕込みに手間と時間がかかり過ぎることや、古典的なフランス料理からヌーベルキュイジーヌと呼ばれる軽めの味が主流となったことにより、デミグラスソースが使われなくなったことが原因と思われます。本場フランスではほどんど姿を消してしまったデミグラスソースも、日本の洋食界では現在でも代表的なソースの地位を守っていると言えるでしょう。とは言え日本でもフランス同様、軽めの味が好まれたり、働き方改革など時代の流れにより、イチからデミグラスソースを作っている飲食店はかなり少なくなったように感じます。そこで今回は、イタリア料理店でありながら、本格的なデミグラスソース作りに取り組まれているイマドキでは珍しいお店をREPORTしてみました。
四条通と西大路通の交差点(西大路四条)を東へ70mほど行き、車1台が通れる細い道を南へ120mほど行ったところにあるイタリア料理店「カフェ マノワール」。大通りの裏手の住宅街にある穴場的?なお店です。2010年(平成22年)2月にオープンされたお店で、京都市内有数の飲食店スポットである西大路四条エリアでも、地元の人などを中心に人気店として知られています。こちらのような一軒家レストランは個人的にはひとりで入りづらいのですが、こちらでは店頭の黒板に“おひとり様でもお気軽にお入り下さい”と書かれていて安心です。全飲食店でこのシステムを採用していただきたい。管理人がフラリとひとりで初めてのお店に入るとたま〜に店員さんがあからさまに“エッ?ひとり??w”といった表情をされて、とても気まずい雰囲気となるのですが、初めての店なら超能力者でもない限りわかるワケがありません。かといってひとりでの利用を断られるワケでもなく、なんやねん…と思ってしまいます。もちろんそんな飲食店は当ブログではREPORTしていませんのでご安心を。一人客がイヤ(なんで?)なら、店頭にでも“一人客お断り”と明確に書いていただきたい。そもそもですよ、管理人は極度の人見知り&小心者ですので普段からまったく縁のない高級店などは、ひとりでは利用できませんが、本来ドレスコードさえ守っていれば会員制や一見さんお断りの店は別として、最高級の料理店でもお一人様の利用はまったく問題ないハズです。実際に管理人は人生で何回かは知り合いなどに連れられて高級店で食事をしたことはありますが、お一人様のお客さんも普通に利用されていましたし、むしろ皆さん紳士・淑女で凛とされていてカッコ良く感じました。一人客がイヤ(だからなんでや?)なのはお店の方針でしょうし、そこに意義を唱えるつもりは毛頭ありませんが、せめて利用する前にわかるようホームページなりSNSなり店頭なりでハッキリと告知しておいてください。と、愚痴を垂れ流し切ってスッキリしたところで時刻は14時、まずは店頭のメニューを確認してみます。
こちらはイタリア料理店ですのでランチでは特にパスタなどのイタリアンが主流となりますが、実は一週間コトコト煮込んだ自家製ドミグラスソースも知られており、ドミグラスソースを使った洋食をいただくことができます。イタリアン・本格洋食の両方を楽しめる良店です。ランチの価格は¥1,000前後とリーズナブルなため、老若男女を問わず使いやすいお店でしょう。しかも昼の営業時間は11:30〜ラストオーダー14:30と少々遅めの時刻でも大丈夫。夜は17時〜22時となっていて、仕事帰りなどでも気軽に立ち寄れるお店です。では早速店内へ入ってみましょう。
さすがに昼のラストオーダーギリギリの時刻であったため、先客は女性のお一人様1名だけでした。ランチどきは混み合いますので、時間をズラして訪問すれば落ち着いて食事できるでしょう。2名テーブル席3卓に3名テーブル席2卓、4名テーブル席2卓と思った以上に広めの店内です。お一人様はもちろん、カップルやグループでの利用もしやすいカジュアルな雰囲気なのも高ポイント。それでは改めてメニューを確認してみます。
ディナーでは本格イタリアン主体のメニューとなりますので、詳しくはホームページのディナーメニューをご覧ください。休日のランチメニューでは¥1,000と超お得な「本日のお昼(前菜二種・パスタ・パン・コーヒーor紅茶」が目をひきますが、平日ならメインディッシュにご飯orパン・スープ付きの「本日のお昼」¥800とさらにリーズナブルなランチをいただけます。そして今回のお目当てであるドミグラスソースを使ったメニューは5種類。「オムライス」(並:¥900・小:¥700)から「焼きハンバーグランチ」¥1,140まで、どれも¥1,000前後とお手頃価格です。中でも自家製ドミグラスソースを最も堪能できそうなのが「煮込みハンバーグ 半熟玉子添え(ミニサラダ・スープ・ご飯orパン)」¥1,000でしょう。本格的なデミグラスソースの煮込みハンバーグの定食を¥1,000で食べられるのはうれし過ぎます。管理人はケチンボなクセにナマケモノであり、自宅で本格的なデミグラスソース作りは言うに及ばず、市販の缶詰を使ったデミグラスソース作りすらメンドーなのです。大切な人に振る舞う、とかならまだ作る理由を見いだせるものの、一人暮らしで自分のためだけに作るなんてモチベーション的にも絶対にムリ。余程のお料理好きでもない限り、こちらのようなお店でいただく方がおいしいですし、結局はラク&安く済むと悟りました。単身者や二人暮らしぐらいまでであれば、赤ワインを煮詰めたものに市販のデミ缶とブーケガルニ、コンソメ、ケチャップ、ウスターソース、水を足してさらに煮詰めて塩コショウで味を整えて…なんてやっている間に、近くの確かな洋食店へサッと出かけた方が時間・労力・コストの節約になり、しかも自作よりおそらくおいしいので絶対にオススメすると断言しておきます。と、単身者向け真実の自炊講座を披露したところで、「煮込みハンバーグ 半熟玉子添え(ミニサラダ・スープ・ご飯orパン)」を注文してみました。
まずはミニサラダとスープが到着。ミニサラダはミニとは言えないボリュームで、新鮮な野菜とフレンチドレッシングがおいしい。さらにポテトサラダもおそらく手作りで、ジャガイモの味わいをダイレクトに楽しめる逸品です。このミニサラダだけでもプロの仕事を十分に堪能できる仕上がりになっていると感じました。次にスープをいただきます。
あぁ…これは滋味あふれる優しい味わいの野菜コンソメです。賽の目に切られたナスとニンジン、そしてタマネギというシンプルなスープながら、野菜の旨味にあふれています。フランスやイタリアの家庭で馴染み深いスープですね。塩味はギリギリ最低限となっていて、野菜のおいしさだけをしっかりと味わえます。日本、特に関西の和食ではダシの旨味を重視するため、汁物にも旨味を足すことが多い反面、旨過ぎる問題が発生するのだとか。例えば茶懐石料理などで供される小吸い物や箸洗いといった汁物は、素材の力を引き出す味わいにとどめるのが最上であり、旨過ぎる汁物は他の料理に影響を及ぼすためあまり好まれないと聞いたことがあります。こちらのスープを飲んでみて、一瞬ですが“モノ足りない?”と感じた管理人の舌はかなり鈍感になっていると言えるでしょう。まぁ、こんなブログを運営していて何なのですが、味オンチを公表しておりますので、生暖かい目で今後も見守ってください。
いよいよメインの煮込みハンバーグです。自家製ドミグラスソースの香りがもうすでにおいしいの確定。ご飯とパンは選べる仕様で、ついいつものクセでご飯にしてしまいましたが、自家製ドミグラスソースを1滴残らず楽しむならパンが正解でした。もうこの間違いをこれまで何度犯したことか。ただ、こちらのご飯はツヤツヤの炊きたてで、しかも別添えの柴漬けが何ともありがたい。デミグラスソースのハンバーグはホワイトライスとの相性も抜群なのです。と、パンを選ばなかった後悔をなかったことにして、煮込みハンバーグをいただきます。
やはり、というか当たり前ですがデミグラスソースの味わいが素晴らしい。まず濃厚さや重厚さは本格的で、ハンバーグソースとしては最高レベルでしょう。本格派デミグラスソースには欠かせないビターさもあるものの、そこまで強調されていないため、万人に受け入れられる味ではないでしょうか。ちょっと例えるのは難しいものの、かなりの洋食店を食べまくってきた管理人の印象としては、街の老舗洋食店ではなくホテル洋食のデミグラスソースのような上品さがある、雑味の少ないソースだと思いました。もちろん老舗洋食店にもホテル洋食にもそれぞれの良さはありますので比較はできないものの、どちらかと言えば女性や子ども、シニアも食べやすい、クドさや重さをあまり感じさせない本格的なデミグラスソース、と言えば何となくのニュアンスを汲み取っていただけるでしょう。ハンバーグだけでなくクリームコロッケなどとの相性もきっとバッチリの、手間暇がかかった本物の味を堪能できました。
半熟玉子を崩して黄身を付けて食べても間違いのない味わいです。ハンバーグとデミグラスソースの旨味に玉子のコクとまろやかさが加わるワケですから、もう言葉もありませんし、¥1,000の味でもありません。街の定食店レベルの価格ながら、味は本格洋食です。高級店にも決して負けていないと実感できました。こちらは阪急「西院駅」から徒歩2分・嵐電「西院駅」から徒歩3分程度の場所で店頭に自転車やバイクを停められ、車も1台は停められるスペースがあり、公共交通機関でも車・バイクなどでも訪問しやすいお店です。ランチでは要予約で¥1,800〜のコース料理も提供されているようですので、普段使いだけでなくハレの日の食事などでもぜひ利用してみてください。もちろん洋食だけでなく、イタリアン各種もオススメですよ。
[2023年6月25日訪問]
カフェ・マノワール
●住所…京都市右京区西院三蔵町24-6(Google マップ)
●TEL…050-5263-3114
●定休日…火曜日
●備考…禁煙
●ホームページ/Facebook
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