天府 四川料理
インターネットなどで最近、“ガチ中華”というワードを目にするようになりました。“ガチ中華”とは、これまで日本で親しまれてきた日本人好みの中華料理や中国料理ではなく、本場の中国本土や台湾、香港などで食べられている、まさにガチな中華料理・中国料理を指すようです。京都市内でも中国の人が経営や調理をするお店が増えて当ブログでも何軒かはREPORTしていますが、どうやら都市部を中心として全国的に“ガチ中華”を提供しているお店が増加しているのでしょう。管理人は日本らしい中華も大好きですが、本場の味も好き。今まで出会ったことがないスパイスや調味料、食材などの味に触れることができ、チョッピリ海外旅行気分も楽しめるからです。管理人が小学生の頃、さだまさしさんが監督・主演をされたドキュメンタリー映画「長江」を観て、内容はサッパリ覚えていないものの、当時の雄大な中国大陸の風景などは割りと鮮明に覚えており、日本とは随分違う自然や暮らしぶりにいずれは行ってみたい!とすら思っていました。未だ実現できていないのですが、中国人シェフが作るガチ中華を食べると、なぜか異国への憧れのようなものが強く感じられるのです。“じゃぁ、サッサと中国でもどこでも出かけろよ”という声もお有りでしょうが、管理人は基本、デブ出不精ですので本当は国内旅行すら億劫な性格。まして海外、コトバも通じず文化や風習なども理解できず、政治体制が日本とは異なる国や地域など怖すぎて行きたいとも思いません。ただ、困ることが少ない便利なパック旅行などは少し違うのでは?と思いますし、できればひとりで現地の暮らしを体験したい。テレビのロケ番組のように海外コーディネーターにガイドしていただくのが理想なのですが、もちろんそんなお金はありません。そのため日本、しかも京都市内で本場の食事を知ることで海外旅行気分も味わおうという寸法なのです。あまりにお手軽過ぎる考えで自分でもあきれるしかないのですが。京都市内で“ガチ中華”をいただけるお店は、四条河原町などの繁華街や歓楽街、そして叡電「元田中駅」周辺エリアや地下鉄「竹田駅」周辺エリアといった京都市内のチャイナタウン的な地域が挙げられます。そこで今回は、管理人の自宅に近い叡電「元田中駅」と近い叡電「一乗寺駅」から徒歩5分程度の場所にあるガチ中華なお店へと向かいました。

東大路通と北大路通の交差点(高野)を北へ700mほど行き、北泉通を西へ50mほど行ったところにある中華料理店「天府 四川料理(てんふ しせんりょうり)」。こちらは以前REPORTして二条城近くに移転された「小皿中国料理 よかっと」の跡地に2023年(令和5年)2月にオープンされたお店です。管理人はこちらの前は頻繁に通っていますので、オープン時から気になっていました。お店の看板に“ガチ四川料理”と書かれているとおり、本場の四川料理をいただけるのでしょう。本場の四川料理と言えば麻婆豆腐やエビチリと思いがちなものの、それは陳建民さんと陳建一さん父子が日本に広めた代表的な四川料理であり、実際にはもっとマニアックな料理が数多く存在します。四川料理は中国大陸の西南に位置する成都を中心としたエリアで発展してきた料理であり、三国志の蜀の国でもお馴染みです。玄徳さんや孔明さんが食べていた料理なのかどうかはともかく、ネット情報ではこちらの名物料理はワンタンらしく、普段あまり食べる機会がないだけに心躍ります。時刻は12:30、まずは店頭のメニューを確認してみましょう。

ワンタンをメインに、麺類も充実しています。こちらは一乗寺ラーメン街道にあるお店ですので、ラーメンマニアでも食べたことがない麺料理を楽しめるのではないでしょうか。ワンタン3種類と麺類5種類にプラス¥280で3種類のチャーハンを選べるのもリーズナブルで好印象です。本格的な四川料理については、おそらく一般の人よりは多く食べている管理人でも食べたことがない料理が並んでいて期待値もふくらみます。では早速、店内へ入ってみましょう。

カウンター5席と4名テーブル席2卓のコンパクトな店内。成都の象徴でもあるパンダの小さなオブジェに思わずニッコリです。オープンして半年足らずですので清潔感のあるキレイな雰囲気で、小汚いラーメン店などと比べて女性のお一人様でも利用しやすいと感じました。さすがオープンしてまだ日も浅いためか、あまり知られていない穴場店です。まぁ、特にこの近辺はとにかくラーメン店がゲキ強ですので、中華料理店というラーメン店と近しい飲食店形態はあまり流行らない傾向にあるワケですが、こちらは麺類も充実していて、ぜひ発展してほしい1軒だと個人的には応援しています。では改めてメニューを確認してみましょう。






お昼間限定の定食5種類も¥1,000前後の価格帯で興味をそそられます。しかもどの定食にも名物?の「ワンタンスープ」が付きますので、ランチなら定食5種類から選ぶのがセオリーです。しかも肉食獣な管理人は「香辣牛腩面(旨辛牛すじ麺)」(並:¥950・大:¥1,150)や「鱼香排骨面(旨辛スペアリブ麺)」(並:¥950・大:¥1,150)も興味津々。が、しかし。管理人は冷やし中華のオニですので、中華店で冷たい麺料理があった場合、強制的に冷たい麺料理を食べなくてはいけない鉄の掟に従わなければいけません。そこで夏季限定の「鸡丝凉面(蒸し鶏ラー油冷麺)」(並:¥850・大:¥1,050)の並に決定。さらにプラス¥280で3種類のチャーハンから選べるとお店の人に教えていただけましたので、「香肠炒饭(中華ソーセージチャーハン)」をチョイスしました。

「鸡丝凉面(蒸し鶏ラー油冷麺)(並)」が到着。オヤっ?てっきり担々麺ベースのゴマダレ冷麺だと思い込んでいたのですが、スープが真っ赤なのですが。ハテ、四川料理の蒸し鶏と言えば棒々鶏でしょうし、棒々鶏もゴマダレですから、てっきり棒々鶏冷麺だと決めつけていました。いやぁ、困った困った…メッチャ辛そうなんですけど。管理人には当ブログでもう幾度となく“辛いのが得意ではない”と“ラーメンに詳しくない”、“黒ギャルが好き”と言いふらしているほど、辛いのが得意ではありません。こちらのスープをチラ見する限り、もうラー油そのもの。これで辛くなければ逆に詐欺です。頭の中に“牛すじ”や“スペアリブ”、“黒ギャル”などの好物が浮かぶのですが、このラー油冷麺をREPORTしなければいけません。お店の人から“よくかき混ぜてお召し上がりくださいね”と釘を刺されているため、下に沈殿しているラー油の海を避けて上の具材や麺だけを食べるワケにもいけません。…意を決してヤケクソで親のカタキのようにかき混ぜてからいただきます。

う、旨い!イヤ、辛いですよ。当然辛いのですが、アホほど辛いワケではなく、ピリ辛に旨味とスパイシーさがとにかくスゴい。どこかで似たような味に出会ったことがある…としばし考え、やはり四川料理の冷たい汁なし担々麺に少し似ていると思い出しました。とは言え担々麺ではありませんので、マイルドさとコクの要である芝麻醤のような練りゴマは入っていません。では、この旨味の正体は一体何なのでしょう。具材は蒸し鶏とキュウリ、モヤシ、青ネギ、ニラ、ナッツ類など。麺と具材をラー油ベースのタレとさまざまな中華のスパイスがまとめあげている感じです。激辛料理にありがちな、ただ辛い、ひたすら辛い、あぁ辛い、といった罰ゲームのような辛さではなく、旨味強めでアクセントとして辛さがある、料理としてはとても真っ当なおいしさ。これぐらいなら、辛いの得意でない管理人でもギリギリOK。中華麺は日本人が好む食感ではなく、ちょっとボソボソした感じですが、あくまで個人的な意見とはなるものの、これが意外と合います。これぐらいそっけない麺の方が、具材やタレ、スパイスが引き立ち、全体のバランスが撮れていると思いました。本場四川料理の旨辛、恐るべし。ガチ四川の実力を存分に堪能できた冷やし中華(冷麺)だと実感できました。


そして「香肠炒饭(中華ソーセージチャーハン)」。これがまた日本の炒飯とは異なる、本場の味なのでしょうか。ひと口目に食べた印象が“甘い”ですから、炒飯のREPORTではあり得ない感想です。おそらく中国の醤油でも甘めのもの、日本だと九州の甘い醤油に近いもので味付けされているのでしょう、炒飯の概念を覆す味わいとなっています。中華ソーセージはコクがあり、レタスの爽やかさや食感も素晴らしいシットリ系の炒飯ですが、この甘さは東南アジア諸国の料理にも通じる味わいで、人によってはヤミツキになるのではないでしょうか。発酵食品系の風味も楽しめる、なかなか一筋縄にはいかない本場の味を堪能できました。“ガチ四川料理”の名は本物です。四川料理はそこそこ食べてきた管理人でも、四川の真髄にはまだまだ触れられていないと強く認識できた今回のREPORT。こちらの四川料理を食べないと四川料理は語れない、ぐらいのインパクトがある味わいでした。昼の営業時間は11:30〜14:30、夜は17:30〜21時ですので、お近くまでお越しの際には、ぜひ“ガチ四川料理”をご自身の舌と鼻で楽しまれてみてはいかがでしょうか。管理人はまたタイミングをみつつ、各種定食類や麺類などをじっくりと食べてみたいと企んでいます。
[2023年7月9日訪問]
天府 四川料理
●住所…京都市左京区高野泉町6-55(Google マップ)
●TEL…不明
●定休日…第一・第三水曜日
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「天府 四川料理」をご確認ください。
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