太船
京都市内でも梅雨が明けた途端、雨などまったく降らなくなり、そしてもう毎年の恒例行事になりつつある猛暑日が続いています。連日こう暑いと食欲も落ちますね。管理人も夏になると食が細くなってガリガリになりたいのですが、生まれて50年以上、季節に関わらず食欲が落ちたことなどない困った体質です。とは言え、夏は冷やし中華など、冷たい料理を食べたい。そして夏だけに限れば、もはや主食の勢いで食べているのが冷たい蕎麦です。ただ、当ブログでは蕎麦をあまりREPORTしていません。それは蕎麦ガチ勢の目が怖いから。ラーメンと並んで蕎麦はとにかく詳しいマニアの皆様が大勢いらっしゃる印象で、タダでさえテキトーな食レポしかしていない当ブログには荷が重過ぎます。管理人は冷たい蕎麦は好きなものの、別にどんな蕎麦でもおいしいおいしいと喜んでいただきますし、何ならスーパーで販売されている¥100前後のぶっかけ蕎麦でも良いぐらい。スーパーなどでは、すぐに食べられる冷たい蕎麦が¥100〜¥500ぐらいの価格帯で数種類用意されていますが、正直、値段の差は蕎麦の量と具の充実度ぐらいの認識しかありません。¥100前後のぶっかけ蕎麦でも刻みネギや温泉玉子、ワサビなどのトッピング?を自分で追加すれば、かなり満足してしまいます。そんな蕎麦は好きだけど味オンチな管理人でも、お店の蕎麦はやっぱりおいしい。とか言いながら、天ざるや鴨南蛮など、結局は具のクオリティで評価していると最近気づきました。イヤイヤ、それは邪道です。蕎麦の本質はあくまで蕎麦。と、当たり前のことをそれらしく書いてみましたが、今回は具になるべく頼らない冷たい蕎麦のREPORTにチャレンジしてみます。

宝ヶ池通と白川通の交差点を西へ1.6kmほど行き、国道367号の交差点(岩倉幡枝)を北へ50mほど行ったところにある蕎麦・うどん店「太船(たいせん)」。こちらも昔からある、地元の人御用達のお店です。叡電「木野駅」から徒歩8分、地下鉄「国際会館駅」から徒歩12分程度と交通アクセスも便利。店頭には3台停められる駐車場もあり、車でも利用しやすいと思います。かつて昨年2022年(令和4年)6月に閉校された岩倉自動車教習所に通っていた人などにとっても馴染みある蕎麦・うどん店ではないでしょうか。また、宝ヶ池や深泥池からも徒歩圏内で、京都市北部の人はレジャーついでに立ち寄る機会も少なくなさそうです。管理人的には気軽に普段使いできる蕎麦・うどん店で、それほど混雑していた記憶などはあまりなかったのですが、訪問した日は日曜日だったこともあってか、12時前にはすでにほぼ満員状態。アレ?この日(2023年7月23日)はみんな祇園祭の山鉾巡行(後祭)に行ってるんじゃないの??と、人混みを避けたつもりにも関わらず、地元の下鴨神社でも駐車場は午前中ですでに満員でしたので、京都市内の観光客もコロナ禍以前に戻りつつあると実感できました。時刻は11:40、早速店内へ入ってみましょう。

4名テーブル席3卓と8名テーブル席1卓、2名テーブル席1卓に加え、小上がりには4名座れる座敷2席と、思った以上に多くのお客さんが利用できる収容人数です。客層はミドル・シニア世代が多い印象ではあるものの、若い人もチラホラ。メディアなどではあまり見かけませんが、地元に根づいたお店と言えそうです。管理人が到着した11:40時点で、すでに8割ほどの座席が埋まっている状況となっており、なかなかの人気店となっています。蕎麦は理由はよく知らないものの健康に良い評判の食材と言われていますので、夏バテ気味の人や健康に気をつけておられる人などには特にありがたいお店でしょう。では早速、メニューを確認してみます。


デハデハ「天ざる」¥1,100を…と言いたいところですが、今回は具に頼らない方向です。いくら好きだからとて「他人丼」¥1,100など蕎麦ですらありませんので、もってのほか。では王道の「ざる」¥750かと問われると、具に頼らないものの具なしはサスガにちょいと寂しい。そこで「田舎(冷)」¥850です。一般的な“田舎蕎麦”は蕎麦殻を付けたまま挽く黒っぽい蕎麦を指しますが、こちらの「田舎」は蕎麦の種類ではなく、薬味てんこ盛りのぶっかけスタイルとなっています。そして京都市内の蕎麦・うどん店でもし提供されているなら迷うことなく本能的に注文してしまうのが“かやくごはん”。“かやくごはん”なんててっきり全国共通の標準語だと思っていましたが関西だけ?の名称で、一般的には炊き込みご飯や五目ご飯と呼ばれているのだとか。またデブのデフォルトオーダーである麺+飯の炭水化物×炭水化物の組み合わせとなりますが、“かやくごはん”はほぼ野菜扱いですので大丈夫、と自らを暗示にかけつつ「田舎(冷)」の「かやくごはん定食(漬け物・小鉢付)」合計¥1,150を注文してみました。ちなみに「田舎(冷)」は温やうどんにも変更可能です。

「田舎(冷)」の「かやくごはん定食(漬け物・小鉢付)」が到着。このビジュアルだけで、もうおいしいは確定です。「田舎(冷)」は花がつおに青ネギ、刻みノリ、シイタケ煮、揚げ玉(天かす)、大根おろし、ウズラの生卵とまさに薬味パラダイス。蕎麦が見えないほどテンコモリの薬味はもはや具レベルでしょう。イヤ、今回は具に頼らないREPORTですので、具ではなくあくまで薬味。シイタケ煮も薬味扱いでオニャシャス。「かやくごはん」もシンプルながら“これぞかやくごはん”といった感じです。小鉢はキクラゲ入りのオカラ。これもミドル・シニア層は大歓喜ではないでしょうか。管理人はお豆腐メンタルでもありますので同族?の豆腐自体は良く食べるものの、オカラは久しぶり。スーパーなどの惣菜コーナーで見かけはするものの、何となく“また今度な”的にスルーしていました。子どもの頃は良く食べていたにも関わらず。何だか不意に、疎遠だった幼馴染と再開したような、ちょっと複雑な気持ちに。久しぶりに食べてみると、シミジミおいしい。ダシは効きながらも薄味のあっさり仕立てでオカラの存在感はしっかりと感じられ、「かやくごはん」との相性も抜群です。しかも食感のアクセントとなるキクラゲなんて入っていて、管理人が知らない間に幼馴染が少しだけオトナになっていました。そんなハートフルな出会いにココロを震わせつつ、気を取り直して「田舎(冷)」をいただきます。

こちらもダシが効いた少し甘めのぶっかけツユと蕎麦、薬味各種の調和がおいしい。蕎麦は京都らしく細めながらコシもあり、ヒンヤリと冷やされていて、特に夏にはピッタリでしょう。そしてやはり多種多様な薬味の威力はスゴい。一般的な盛り蕎麦やざる蕎麦とは異なり、味わいに変化があって食べ飽きません。それに食欲がないときなどでも、この薬味のおかげで食欲も高まります。蕎麦は健康にも良いらしいので、夏になると食欲が落ちてしまうミドルやシニア層にはぜひお試しいただきたい冷たい蕎麦ではないでしょうか。

「かやくごはん」も純粋においしい。ダシの旨味がしっかりとありながら濃すぎない味付け、具も過剰ではなくご飯とちょうど良い塩梅です。「かやくごはん」単体でいただくというよりは、小鉢のオカラや漬け物と一緒に食べておいしさが引き立つ、京都らしいおいしさだと感じました。そこに今回の「田舎(冷)」をはじめ、各種蕎麦・うどんとの相性も抜群でしょう。この胃腸にも優しく、食べ疲れしない味こそ、シンプルながら飽きのこない食事の真髄だと思いました。夏バテ気味の人などにもぜひお試しいただきたい味わいです。岩倉・宝ヶ池方面へお越しの際には、ぜひこちらで身体にやさしい食事をお楽しみください。店内には“人生七十才より”と書かれた額があり、特に蕎麦と長寿の関係は古来より言い伝えられていますので、健康的な毎日を過ごしたい人にはオススメですよ。

[2023年7月23日訪問]
太船
●住所…京都市左京区岩倉南平岡町83(Google マップ)
●TEL…075-721-0249
●定休日…水曜日(ただし祝日は昼のみ営業)
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「太船」をご確認ください。
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